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#東京
降り落ちる雨は、黄金色#最終話
デビューしてからは、学校に行くのが楽しくなった。あんなにも憂鬱で嫌いだったクラスメイト達が今では、うつくしく光ってみえた。みんなを執筆のネタにする事にした。 そう考えると、微笑ましい気持ちになってくる。
教室では私は相変わらず一人きりだったが、デビューする前の様な後ろめたさが無くなくなり、じぶんを許せるようになった。
書く才能が認められたことで、心の中にずっとあった大きな氷のようなシコリ
降り落ちる雨は、黄金色#17
「今日はゆきちゃんに機種変付き合ってもらったよ」
私の表情は能面のようだ。
「笑って」
それに気づき佳代は慌てて撮影の手を止めた。
「誰にも見せないでよ」
「二十四時間で消えるから大丈夫」
動画を再生すると、ブサイクな表情の私の映像が流れた。 佳代の馬鹿笑いが止まらない。さっそく二人で撮った写真を待受にした。私のiPhoneは勲章の様に輝きを放っている。
「わん」
携帯ショップを出ると
降り落ちる雨は、黄金色#16
お茶を飲み終えると、佳代は静かにイチョウの葉っぱを拾っていた。
「なにしてるの?」
「キレイだから、バーバリウムにしようかな」
バーバリウムとは植物の標本だ。花やドライフルーツをガラス製の瓶に入れ、専用のオイルを注ぐと完成する。前に花屋さんでバラのバーバリウムの小瓶を見たことがある。美しい花は死骸でも需要があるのかと関心した。
バラの花は、死ぬ前と変わらない真紅の輝きを怪しげに放
降り落ちる雨は、黄金色#15
コンビニに着き、二人の大好物なキャラメルコーティング・ポップーンをカゴに放り込んだ。
新商品の棚を見ると新しい味のポテトチップスを見つけた。醤油味ベースの蟹のエキスが入った新商品の値段は、普通のポテトチップスと比べると割高で五十円ほど高い。二人ですぐに消えそうだねとか、無くなる前に一回位買ってみようかと話した。
コンビニの新商品の棚は、猛スピードで変わっていく。試してみたいと思った時には
降り落ちる雨は、黄金色#14
佳代の家は新築マンションの最上階にある。父親は放送業界の人らしく、インテリアも華やかでテレビのセットの様に生活感がない。
彼女は家の中では花や苺柄のデザイナーブランドのパジャマを着ている。本人曰く、身体の締め付けがなく楽だと話していた。
「あのさ…」
「なに。好きな人でも出来た?」
佳代の瞳が煌々と輝いた。
「小説家になりたい」
「ウケる」
私のやりたい事が決まったお祝いに、コ
降り落ちる雨は、黄金色#13
「今週のMステにちょっと映るかも」
取り巻き達は鈴木奈津美の話に、おおげさにうなづいている。みんな身近のキラキラした人に吸い寄せられる、蛍光灯に群がる蛾みたいだ。くだらない。一箇所にあつめて殺虫剤をかけてやりたい。
彼女の父親は海外で働いている為、奈津美は日本で未発売のブランド品を持っている。クラスメイト達はいつも、奈津美を眩しそうに 見つめる。私はその眼差しが気に入らない。 心底軽蔑する
降り落ちる雨は、黄金色#12
佳代の居ない淋しさから、私は本の世界へ没頭していった。活字を目で追っている間は、嫌なことを忘れられた。想像力の翼を使えばここではない何処かへと行けた。
小説は私にとっての薬だ。崇高な作品のページの隙間からは、悲鳴が聞こえる。その声はとても心地がよく、マイノリティであることに悩む主人公が、足掻きながらも生きる姿にいつも勇気をもらっていた。私はいつも小説の中で希望を探している。
あれから、学
【小説】降り落ちる雨は、黄金色 ver2019.1.17
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高校の頃、日本と北朝鮮の国交状態は最悪でこちらの都合などかまわずに北の将軍様は弾道ミサイルを早朝から派手にぶっ放した。
その時、私は十七歳だった。
ネットニュースの見出しは、連日ミサイルのニュースをトップで飾った。テレビは視聴率を気にしてか、芸能人の不倫ばかりを取り上げる。早朝の駅のホームで電車を待っていると、小学生の話し声がひそひそと聞こえる。
「北朝鮮の人は朝からミサイル