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降り落ちる雨は、黄金色

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2019年1月の記事一覧

降り落ちる雨は、黄金色#最終話

降り落ちる雨は、黄金色#最終話

 デビューしてからは、学校に行くのが楽しくなった。あんなにも憂鬱で嫌いだったクラスメイト達が今では、うつくしく光ってみえた。みんなを執筆のネタにする事にした。 そう考えると、微笑ましい気持ちになってくる。

 教室では私は相変わらず一人きりだったが、デビューする前の様な後ろめたさが無くなくなり、じぶんを許せるようになった。

 書く才能が認められたことで、心の中にずっとあった大きな氷のようなシコリ

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降り落ちる雨は、黄金色#28

降り落ちる雨は、黄金色#28

 書き上げた私の作品は、短期間で数万アクセスをこえた。私の小説のページビューは一日の平均数200〜300だったので、この数字には正直驚いた。こうして私は小説家になった。

「デビューした」

佳代に報告するとすぐに返事が来た。

「おめでとう。アイスいこう」

 この店は、私達の行きつけのジェラード屋さんだ。いい事があった時や、誕生日にはこの店でアイスを食べてお祝いをしている。

頻繁に通っている

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降り落ちる雨は、黄金色#27

降り落ちる雨は、黄金色#27

 津田が逮捕されたニュースのコメント欄を見ると、そこには悪意に満ちた中傷が溢れていた。私はそのコメントを見て吐いた。

 ネットで一度炎上すると、社会復帰できない位に制裁を受ける。本名。顔写真。卒業文集。性癖。家族。住所。すべてが晒される。

 津田は池袋のホテルで未成年に如何わしい行為をした後に、金銭を支払ったとそのニュースサイトは報じていた。

 ふざけんじゃねえ。私の中に怒りがこみ上げてきた

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降り落ちる雨は、黄金色#26

降り落ちる雨は、黄金色#26

 短編作品を百本くらい書いたある日、いつも通りに自分のサイトを開くと見知らぬ人からのメッセージがあった。

 その人はコンテンツプロデューサーと名乗っていた。彼は、マンガやイラストや小説を集めたサイトを運営していた。メールには、私の短編小説を運営しているサイトに載せたいという内容だった。

 運営しているサイトを覗きに行ってみた。水色や白を基調とし、 明朝体の文字を使ったシンプルなデザインだった。

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降り落ちる雨は、黄金色#25

降り落ちる雨は、黄金色#25

 執筆した小説に「シン・桃太郎」と言うタイトルをつけてネット上に作品を発表した。しばらくすると「いいね」が三個ついた。私は反応がもっと増えないかと思い、スマホから何回も自分のページを開いた。

 私の中では「いいね」が十個以上はいくと計算していた。しかし、現実はきびしい。私にはやはり才能がないのかもしれない。憂鬱な気持ちで佳代にこの作品を送った。すると「面白いからもっと続けなよ」と褒めてくれた。

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降り落ちる雨は、黄金色#24

降り落ちる雨は、黄金色#24

前回までのお話↓↓↓

 津田からのメールが突然きた。

 私は返事がもらえると思わなかったので、動揺した。スマホを見ると簡潔な文で「津田です」と書いてあった。私は津田からのメールをすぐに返信した。「ありがとうございます。連絡うれしいです」私は素直に感謝の気持ちを述べた。

 彼は現在新作の執筆をして忙しいが、私の作品を読んでくれると返事をくれた。まさか、あのプロの小説家が読んでくれるとは夢にも思

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降り落ちる雨は、黄金色#23

降り落ちる雨は、黄金色#23

 質疑応答後にサイン会は淡々と行われた。気がつくと私は、くしゃくしゃのメモの裏に自分のアドレスを書き「連絡ください」と文章を添えて津田に手渡していた。なぜあんな事をしたのだろう。

私はその後に頭が真っ白になり、その日はどうやって家に帰ったのかを覚えていない。

 サイン会の後は悶々として過ごしたが、自作の小説をネットに発表する事を決めた。津田のアドバイス通りに好きな小説を書き写す作業もした。とて

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降り落ちる雨は、黄金色#22

降り落ちる雨は、黄金色#22

 いつも通っているパルコの中にある本屋に行くと、見知らぬ小説家のイベント開催の告知の張り紙があった。

 パルコの本屋さんは海外のファッション誌やマニアックな選書が多く、此処に行くだけで慰められた。高感度なバイヤーのセンスにいつも関心した。ここで、対象の本を買うとサインとトークショーに参加できるらしい。私は生の小説家の声が聞きたくて迷わずに買った。

 本屋のレジに持って行くとイベントの参加券をも

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降り落ちる雨は、黄金色#20

降り落ちる雨は、黄金色#20

 遠くで、夕方の五時のチャイムの音が聞こえる。無人の公園。置き忘れた玩具が砂場に埋まっていた。空は、インディゴブルーと橙色の絵の具を混ぜたような色になっている。

 すべてが癪に障る。そして、いつもの絶望ごっこをする。小説何か本当に書けるの?才能なんてない癖に。佳代に依存して、この街で何者にもなれずに就職して生きればいいよ。そのほうが楽だよ。だって君は普通なんだから。そうだ。私なんてこのまま、消え

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