三段時代の狂気の素振り



こんばんは、みなさん飛車振ってますかー?

「素振り」といっても野球の素振りではなく、ここでの素振りとは、飛車の方の素振りである。

体調を崩してから研究会を全て休んでいるので、深刻な実戦勘不足に陥っていた。これを克服するべく、体調が少し回復しだした2月頃からひたすら将棋ウォーズをやっている。(3分切れ負け)とにかく色んな意味で一番楽なのだ。
誰かと約束して指すのはそれなりに自分が仕上がっていないと申し訳ない。しばらくはネットで名も無き棋士と指す事にしようと思う。

3分切れ負けをたくさん指す上で一つだけ意識しているのは、時間を切らされて負けるのは仕方ないが、相手の時間切れを狙うことは極力しない。という事だ。プロなのでこれは仕方ない。

最近は体調も回復しつつあるからか、1日30〜40局近く指せている。一応真剣にやっているので、これだけ指していると疲れる。
と、同時に自分の中で何かが目覚める感じがするし、少しづつ手が見えるようになってきた。
もちろん三間飛車しか指さない。2月は400局指したが、殆ど三間飛車だ。正直、毎日毎日同じような形。夢に美濃囲いが出てくる。我ながら狂気の沙汰だと思う。
そしてこの感覚… 三段の最後の半年間を思い出した。


あの時も、毎日30局は指そうと決めていて、もちろん全て三間飛車なので月900局近く飛車を3筋方面に素振りしていた計算になる。
たまに先手で勢いが足らずに初手6八飛と指してしまった場合も、すぐにしれっと3筋に振り直していた。
※(その時は研究会が月10回、将棋俱楽部24でも指していたので時間を付けてしっかり読む練習も出来ていた。さらに研究会で指した将棋は全て将棋ソフトで反省していた。
今の練習はあの頃の20パーくらいの状態だが少しづつ増やしていきたい。)

自分が三間飛車ばかりやっている事は、プロでも似たように同じ形を多く指す人もいるし、特段変わっているとも思わない。
しかし、こうやって具体的に異常な局数をこなしていると、段々と変な気持ちになってくる。
三間飛車トランス状態とでも言おうか、とにかく毎日毎日同じような形ばかり指して、それを半年続けたのだ。月900×6=5400局 さらに研究会、三段リーグの本番もほぼ三間飛車。
僕はきっと一途な男なんだと思う。多分。笑

私がプロデビューしたての癖に、異様なほど三間飛車の話ばかり自発的に発信していた理由が、少し分かって頂けると思う。単純に、三間飛車に頭の殆どを支配されているような状態だったのだ。

これだけやっていると、飛車を振っただけで軽い全能感を味わうような状態になっていたと思う。三段リーグで、プレッシャーに負けずに実力を発揮出来たのはこの全能感が大きい。


プロになってからの私は、色んな理由である程度は仕方ないが単純に勉強時間が減って、公式戦で飛車を振るだけで全能感を感じる、みたいな事は殆ど無くなってしまった。
むしろ、自信を持てない中で経験と研究に頼ってお祈りするような気持ちで飛車を振る事が多かった気がする。
これではいかん!!


今回、久々にあの頃の全能感の片鱗に少し触れた気がして、色々思い出した。
あの感覚を取り戻すために、ゆっくり少しづつやります。


山本博志


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