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人が見た目を気にするようになる経緯

『イギリス近代史講義』という本を読んでいる。その中に、田舎で暮らす人より、都会に住む人々の方がファッションを気にするのはなぜか、という記述があった。

ザックリ言って、田舎の人より都会の人の方が、服装に気をつかう傾向がある。

そのカギは、都会の人の匿名性にある。都会の人々は、街ですれちがう人のことを、基本的に知らない。約束なしで知人と会うことは、あまりないだろう。

この場合、初めて見る相手のことは、見た目で判断することになる。なぜなら、その人間性や中身を、よく知らないからだ。

それに対して、田舎の人々は、人口が少ない分、おたがいの人間性をよくわかっている。そこに住む人たちは、長い付き合いであることが多いだろう。そうなると、見た目にそこまで気をつかわずとも、それで信頼を失うことはあまりない。

このように、人がファッションに気をつかうようになるのは、都市化による匿名性の増大が関係している、と言うことが書いてあった。その視点で考えたことがなかったので、非常に刺激的だった。

歴史を知ることで、自分が日常で当たり前だと思っていることに、実はこんなにおもしろいルーツがあったということを知ることができる。

この本の著者である川北稔さんは、『砂糖の世界史』という有名な本も書いている。『イギリス近代史講義』と合わせて読んでみると、楽しいと思う。

参考文献
『イギリス近代史講義』川北稔、講談社現代新書、2010年

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