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スーパーマンさがし【エッセイ】

小さな頃からスーパーマンになりたかった。

スーパーマンそのものではなく、困った人を助け、周りの人が幸せになる、誰からも好かれ誰をも愛する、そんな完璧な人間になりたかった。

誰よりも強く、誰よりも優しい。どんな悪にも心はぶれない。

体は大きいのに力は弱かった。ケンカで勝った事なんて一度もなかった。

将来成功するのはきっとケンカが強いアイツらかもしれないと思う事もあった。

クラスでいじめがあった。毎日違う人が標的になるから、みんないじめに遭う経験があった。
何度も助けてもらった記憶があるけど、一度も僕は助けた事はなかった。

強い力を前にすると、「ぜったいに助けてやる」という想いも、簡単にへし折られてしまう。

あの時のコンプレックスや現実逃避が、そのまま「スーパーマン」に形を変えたのかもしれない。

大人になって力がついた。筋肉というすごく強い武器を手に入れた気がした。

もっと強くなるために勉強もした。

自分が強くなっていく中で、いつの間にかどんどんあの頃の「いじめっ子」は勝負にならないほど、さらに「強く」なっていた。

いつからか自分の中のスーパーマンに憧れは無くなった。

自分がスーパーマンになる事よりも、他人にそれを願うようになった。

すごく尊敬できて、何でもこなす人を見つけると、「この人がスーパーマンかもしれない」と思う癖がついた。

嫌な癖だ。

この癖がついたせいで、ずっと「スーパーマンさがし」を続けている。

僕は一生スーパーマンを探すことになるかもしれない。

本当はわかってる。

スーパーマンはどこにもいない、自分の心の中以外には。

ありがとうございます!先にお礼言っておきます!