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病気、 事故のときはどうする?〜ハンガリー医学部、コロナ流行、 留学保険など〜

すでにコロナ第二波の兆候(もしくはすでにその最中)も見られている昨今ですが、こうした有事が留学に及ぼす影響は小さくありません。各大学の授業/試験様式のリモート化、例年はブダペスト等で行われていた英語研修の変更、国境を越えるに際しての諸条件と手続きなど、ハンガリー医学部関係でも多くの変化がありました。

留学をする/している学生とその家族にとって、様々な面での「安全」は大きな懸念です。個人のレベルで、普段から「状況を判断して、最善の行動を素早くとるための準備」をしておくことが大切です。何か起きたときにどうするかがわかっていれば、安全にまつわる不安も減り、安心して学生生活を送れると思います。

今回のコロナ禍の大学/学生の対応を振り返りながら、これまでに見た/聞いた緊急事の対応を個人的な視点でまとめておきます。


コロナウイルス大流行、 大学/学生の対応


本格的な変化が訪れたのは3月中旬で、ブダペストで歯学部学生の感染が確認されたのを封切りに一時的な学校閉鎖が即座に伝えられました。当初、その後の方針については各大学で差があったようです。ある大学では比較的早く学生の帰国を促す声明が出され、また別の大学では事態の見通しが立たない状態での移動を控えるように通達があり、情報が錯綜していました。

政府の方針に沿って各大学が細かい対応を発表していく中で、授業と試験をオンラインで行うことが決まり、留学生が母国に帰国するかどうかは各自の判断に委ねられることになりました。このとき、多くの学生の主な関心ごとは「帰国したとして、国境閉鎖が解かれる時期と授業や試験を現地で再開する時期はどうなるのか」だったと思います。タイミングに違いはありましたが、学業において国境の閉鎖等による不利益が生じないと確認がとれた大学の学生から順に日本に帰っていました (大学と学年によってはハンガリーに残った学生が多かったところもあります) 。

また、予備コースでもすぐに対面授業の中止が決まり、入試は日程を延期してオンラインで行なったようです。みんな一様で仕方のないことですが、入試が勉強以外の要素に翻弄されるのは気の毒ではありました。

私の大学では「今学期はオンライン授業・試験、国境再開放などの状況が整えば、学生が参加できる日程調整をして実習の補講を行う」との通達がすぐに出たので、3月中には日本に戻った学生も多かったです。未曾有の事態で、そもそも出入国できるのかなどの懸念もありましたが、振り返えれば当然ながら「飛行機が飛んでいる限りは帰国はできる」という結果でした。授業は日本にいても受けられてラッキーだなくらいの気持ちが大きかったですが、いくつか考慮するべき要素もありました。


いくつかの懸念事項〜もしハンガリーに残るとしたら〜


最初の感染者が報告されたのは日本などより比較的遅かったものの、それ以前からハンガリーが他の国と同じ状況になるのは時間の問題だと皆考えていたと思います。いざ帰国か否かを決めるとなり、個人的には以下のような点を憂慮していました。

・隔離や入院となったときの環境
・外出禁止などの行動制限
・事態が悪化してからでも帰国は可能か (飛行機の欠航)


やはり最大の懸念は、医療環境についてでした。

最初に浮かび上がった問題は、感染疑いの人の隔離状況です。イラン人学生の感染が最初に確認され、その学生がホームパーティーに参加していたことがわかると、濃厚接触者は病院で隔離されることになりました。隔離対象と陽性の患者が同じ空間内にいたり、長い時間食事が出ない等の情報がSNSに投稿され、人権侵害などの声が上がっていたりもしました。

これらは緊急時の対応で、アンラッキーな部分もあると思います。しかし、自分が同じ状況になることも十分にあり得ますし、そうした環境で2週間を過ごすストレスはかなり現実的に感じられました。これは病院実習をして見てきたことだったり、過去に友人が入院した際の経験などを加味してのものでもあります (また別の機会に詳しく書く予定です) 。

当時ヨーロッパでは厳しい外出制限を設ける国も多く、ハンガリーがどこまでの規制に踏み切るかによっては、日本で家にいる方が魅力があったという俗な理由もありました。数字上ではヨーロッパの感染拡大の勢いや致死率はかなりのものだったので 、そうした危機感も働いていたと思います。

また、感染拡大が本格化し始めたことで、飛行機の欠航が始っていたのも大きな理由です。ちょうど休校が決まったくらいから便数が減り始め、当然その後の見通しも立っていなかったので、「帰国したくても足がない」状況になりかねないという心理は強力なものでした (結局それは杞憂に終わったのですが)。


これらはあくまで個人的な経過ですが、学業的には問題がなさそうだったことと、こうしたいくつかの要素を考慮した結果、すぐに帰国しようという結論に至りました。


情報収集と準備 〜有事への備え〜


一連の事態を通して、以下のような情報のリソースを利用していました。家族の立場でも、こうしたリソースを知っておくと安心かもしれません。

・大学から学業面について (授業のオンライン化など)
・事務局からの諸連絡 (出入国や外出制限、ハンガリー語のニュースの内容)
・大使館からの諸連絡 (同上)
・友人間 (実際の渡航状況など)
・Twitterなどのソーシャルメディア

Twitterにはハンガリー語のニュースを日本語しているアカウントなどもあり、その他のEU関連のものと合わせて情勢を把握していました。

今回のような事態がまた起きるかは(まだ収まったかも)わかりませんが、個人の病気や事故などの緊急事態に備えるためにも、以下の項目は確認しておくといいと思います。

留学保険
大使館の連絡先
事務局現地コーディネーターの連絡先
・救急医療サービスの連絡先


どれも当たり前のものですが、とにかく「何かあったときにどんな行動をとるか」を明確にしておくことが大切です。


もし入院になったら 〜入院のプロセス、留学保険の有無〜

幸い、日本人学生でコロナに罹って入院したという話は聞いていませんが、コロナに限らず病気や事故が起きた際にどうするかという不安は留学につきものです。そこで登場するのが留学保険ですが、色んな種類があり、どのプランを選べばいいか迷う人は多いと思います。

まず、私の大学ではということになりますが、学費に学生保険が含まれています。極論、留学保険がなくても医療費などはカバーされるので、友人には留学保険に加入していない人もちらほらと見られます。

留学保険に加入するとして、サービスが手厚いに越したことはありませんが、私はオンライン申し込みで最低限の医療費が補償されるものにしています。

これには二つ理由があります。

一つ目は、安めの留学保険にも医療費以外のサービスはある程度付帯しているためです。緊急帰国費用などのオプションは家族の事情に合わせて切り替えることで、必要以上の保険料を払わずに済みますし、携行品補償が多少低額でも個人の心がけで盗難などのリスクは軽減できます。

二つ目はより具体的で、外国人向けのクリニックを介したサービスには、比較的綺麗な病院にスムーズに入院できる特別なオプションがあることです。これはブダペストの話で、友人の体験談ですが、外国人向けクリニックを介して (緊急の場合には訪問サービスも利用可) 診察を受け、入院が必要と判断されると二つの選択肢を掲示されます。

①自分の居住地を管轄している病院
②クリニックの提携病院


クリニックの提携病院は比較的綺麗で、日本の病院と比べてもそれほど遜色ないレベルです。また、入院の手続きを全てクリニック側が済ませてくれるため、待ち時間なく直接病室まで連れていってくれます。それなりのサービス料が発生しますが、留学保険が補償してくれるので気兼ねなく利用可能です。

もちろん街中で事故に遭うなどの状況によって変わることですが、実際に治療にかかる医療費に加えて、医療に繋がるまでのスムーズさもカバーしてくれるのは助かります。


ここまでのコロナ禍を振り返って有事の対応を書いてきました。これからハンガリーに留学する皆さんは大変な時期の渡欧になりますが、準備をしっかりして不安なく学生生活を邁進していきましょう。






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