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原宿でロボットとカフェを開くまでの物語。

2014年の夏、原宿でロボットとカフェを開きました。

当時の僕は高校を中退して3年目、定職にもついていない無職。

そんな僕がロボットとカフェを開業した思い出を振り返りたいと思います。


遡ること7年前。19才の秋。

ホットサンドロボットという作品を作り上げました。

この作品が完成する頃、
ホットサンドを焼くこのロボット達とお店を開きたいなあと漠然と妄想を始めます。

そんな妄想の中でROBOT CAFEという名前を思いつき、
シンプルかつ語呂のいいこの名前に僕は強く陶酔します。

この名前を誰にも奪われまいと商標権取得を決意。

商標出願など行ったことはなかったので手探りでしたが、
ネットや本を参考に無事出願完了

お店の名前も決まり実際にお店を作ろうと飲食店の開業方法について調べ始めました。


しかし早々に挫折します。

中卒無職にしてはある方だと思いますが、
当時の僕の貯金は5万円程度。

調べる前からわかりそうなものですが、
営業許可を取得するための設備やら何やら整えるにはお金がまるで足りません。


しかしながら商標出願までしたこのROBOT CAFEをどうしても開きたい。

この時僕の頭の中ではどんな形でもいいからROBOT CAFEという名前の何かを開きたいというのが主役となり、
そもそものきっかけであるホットサンドロボット達は置き去りとなっている状況でした。

そしてお金はかけず、営業許可取得のハードルも低い開業計画を考えはじめます。


そして時が経つこと4ヶ月。


畳1畳にも満たない小さな屋台が完成しました。

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お店を借りるお金も移動販売用の車を買うお金もなかったので、
リヤカー式の屋台を自力で作り上げました。

行ったことはないですが、
アメリカ南部に思いを馳せながら作り上げました。

販売するものは瓶のコーラ1種類のみ。
酒屋さんで購入して来た瓶のコーラをそのままの状態で販売するだけなので保健所の許可も必要ありません。

ロボットの仕事は屋台一階部分のクーラーボックスへと釣り糸を垂らし、
コーラを釣り上げるという大変重要な役割を担っています。

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こうしてお店もロボットも準備完了。


この計画が始まった当初から原宿で営業することを決めていました。

あまりに浅はかで薄っぺらい理由ですが、
原宿でカフェを開くという事にとてつもない格好よさを感じていたので迷いはありません。

すぐさま原宿近辺のトランクルームを探し始め、
渋谷区富ヶ谷に程よいトランクルームを発見します。

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トランクルームから原宿駅まで徒歩22分。

小田急線沿線に家があるため、
小田急線代々木八幡駅から徒歩圏内のこのトランクルームは僕にとって最高の立地です。

早速トランクルームへと赴き寸法的にリヤカーが中に入れそうか等を確認、
問題無かったためそのまま契約しました。


こうした準備を進めていく中、特許庁から郵便物が届きます。

その中には待ちに待ったROBOT CAFEの商標登録証が入っていました。

たかが商標権と思われてしまいそうですが、
ROBOT CAFEという名前が名実ともに自分のものになったという事がただ嬉しく僕のテンションは最高潮に高まります。


最高のムードの中、全ての準備が整いました。


2014年6月9日。
遂にROBOT CAFE開業の日を迎えます。

クーラーボックスに瓶のコーラ24本と大量の保冷剤を入れて家を出ます。

トランクルームへ到着したらROBOT CAFE内部のクーラーボックスへとコーラを移し替えて準備完了。

原宿へと出発します。


リヤカーを引きながら代々木公園の脇を歩いていた時でした。

小さなお子さんを連れたお母さんと思われる女性が、
1本300円もするコーラを3本も買って下さりました。

コーラが売れたという安堵感。
そして何よりも人生で初めてロボットとともにお金を稼ぐことに成功した記念すべき瞬間でもあり、めちゃくちゃに嬉しかったです。


この人生最高の喜びを噛み締めながら僕達は再び原宿への歩みを進めます。

原宿駅付近に到着して本格的に販売を開始。

原宿駅では外国人観光客が中心となって1時間に5本程度のペースで売れて行きました。

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販売を初めて3時間ほどが経った頃、
雑誌編集者と思われる2人組が僕に話しかけて下さります。

なんとも幸運なことに開業初日にして、
人生初となる雑誌のインタビューを受けることに成功しました。


そして販売開始から4時間ほどで24本のコーラは全て完売。

この上ない滑り出しに充実した気持ちで帰路につきます。


その後1ヶ月、天気のいい日は営業を行いました。

警察の方に怒られた日もありましたが何とか続けました。

しかし真夏の炎天下に重さ70kgの屋台を引いて歩き続けることに己の体力の限界を感じ始めます。


1日の売り上げは300円×24本で7200円。
ここから電車代、コーラの仕入値、トランクルームの費用を引くと日給は5000円程度。

稼げるかどうかにだけ限って言えば、
よくある一般的なアルバイトをした方が効率よく稼げます。

愛情を込めて作り上げたロボットと屋台のために、
ROBOT CAFEと言う夢のために、
何とか1ヶ月は営業を続けました。


しかし7月も半ばに差し掛かった頃、
僕の体力が底をつきROBOT CAFEは閉店の時を迎えます。

僕と釣りロボットによる原宿での挑戦は幕を閉じました。


ただ閉店こそしてしまいましたが、
この1ヶ月間は本当に楽しく充実していました。

初日にインタビューしてくれたTOKYO GRAFFITIさん、
Twitter経由で活動を知ってくれた大人の科学マガジンさん、
2冊もの雑誌に取り上げて頂いたことは人生最高の思い出です。

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時は流れて2020年。

閉店から6年経った現在、
ロボットの会社にてエンジニアとして勤務しています。

働き始めて5年目を迎え、
多くの経験を積みながら充実した日々を過ごしています。


充実した日々を過ごしつつも僕には次なる目標があります。

それはROBOT CAFEを持続可能な形で再開することです。

名前を思いついてから今日まで、
あいも変わらずにROBOT CAFEへの情熱は燃え続けています。

エンジニアとしての仕事をこなす傍らで、
新たなるROBOT CAFEの開業を目指し日々物作りに取り組んでいます。

6年前炎天下のもと挫折してしまった経験を活かし、
今度は移動販売用の車を購入して営業を行う予定です。

もしもどこかで僕とロボットをお見かけの際は、
ぜひ立ち寄っていただけると嬉しいです。


来たる、2020年夏の開業を目指して。

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おしまい。


TwitterにてROBOT CAFE開業に向けた製作の過程を投稿しています。
noteと併せてフォロー頂けたら大変嬉しいです。
https://twitter.com/yamadasyatyou


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