山田眞裕(麻布 香雅堂 主人)

1950年、京都御所の傍にある江戸時代から続く香木・薫香原料の輸入卸元に生まれました。…

山田眞裕(麻布 香雅堂 主人)

1950年、京都御所の傍にある江戸時代から続く香木・薫香原料の輸入卸元に生まれました。 1974年、早稲田大学政治経済学部を卒業し、そのまま東京に残り、 1983年、麻布十番に麻布香雅堂(現社名は株式会社香雅堂)を開業。 2017年、次男悠介に社長を任せ、香木三昧の日々を逍遥中♫

最近の記事

4月の推奨香木は、インドネシア産沈香の寸門陀羅♫

志野流と御家流とで異なる種類の香木が用いられる代表的な例として、寸門陀羅(すもたら、すもんだら)を挙げることが出来ます。 志野流では基本的にジンチョウゲ科アキラリア属の香木すなわち沈香(伽羅も含む)しか用いず、寸門陀羅もインドネシア産の沈香から選ばれます。 (御家流系統では、ジンチョウゲ科ゴニュステュルス属の香木が寸門陀羅に用いられるのが一般的です) 上質のタイ産沈香の輸入が減少の一途を辿るにつれて、本来であればタイ産沈香から選ばれるべき真那賀は伽羅で代用され、真南蛮はイン

    • 3月の推奨香木について

      3月の推奨香木については、下記の記事をご参照くださいませ。

      • 2月の推奨香木は、久々の黄熟香(御家流香道の寸門陀羅)です🌸

        ほどなく立春を迎えようという時季になって、ようやく冬らしい風の冷たさが身に染みるようになってきた2024年です。 風に乗って梅の香りが運ばれて来る(ような気がする…)時季には尚早ですが、香雅堂からは、一足先に春爛漫の気分をお届けしようと思います。 2月の推奨香木として、常温でも馥郁とした香気を晴れやかに放つ黄熟香を選ぶことにしました。 もう随分と昔のことになりましたが、御家流で寸門陀羅に用いられる香木が実は黄熟香であることを発見したのは、御家流桂雪会や御家流柿園会の重鎮か

        • 初春のご挨拶

          暮れには、永い間会えていなかった学生時代のサークルの後輩が急逝していたとの報せを受け、愕然としました。 ひたすらに柔和で心根の優しい好人物でしたが、何よりも、自分より数歳も若い身近な親しい存在が先に此の世から居なくなることの衝撃はことのほか大きく、受け入れ難く感じていました。 そんな折、今度は新年早々に能登半島を大地震が襲い、甚大な被害をもたらしています。 未だに詳細が判明していない状況ですが、親しくお付き合いさせて戴いている輪島市河井町の老舗塗師屋さんは工房が全壊したとの

        4月の推奨香木は、インドネシア産沈香の寸門陀羅♫

          取り急ぎ…『千歳の秋』の追加の分木(数量は更に限定されますが…)を決めました!♪

          12月の推奨香木『千歳の秋』は、予想を遥かに上回る勢いでお申し込みを頂戴し、販売開始とほぼ同時に完売してしまいました。 その結果、余りにも多くの方々に分木が叶わない事態となってしまって申し訳なく、急きょ社長が掲題の通りの判断を下しました。 通常であれば分木など考え付かないであろう勅銘香を推奨香木に選んだこと自体に無理があったものと反省していますが、それでもなお、歴史的名香を数十名の香木愛好家の皆さまに分木でき、共有することが叶ったことに対しては、大いに満足しています。 先

          取り急ぎ…『千歳の秋』の追加の分木(数量は更に限定されますが…)を決めました!♪

          12月の推奨香木は、40周年感謝企画の総仕上げとなる勅銘香『千歳の秋』です!♪

          本年もあっと言う間に霜月の終わりを迎え、ほどなく師走に突入しようとしています。 創業40周年に当たり永年に亘るご愛顧への感謝の気持ちを籠めて様々な企画を実行して参りましたが、いよいよ12月となり、めでたく大団円となります様にと、これまで以上に思い切った企画を実行することを決めました。 すなわち、勅銘香『千歳の秋』の分木です。 この伽羅は有徳院(徳川吉宗の法号)拝領、桜町院の勅銘と記されており、日光准后(じゅごう)(准后は准三后の略で、太皇太后・皇太后・皇后の三后に准じた処遇

          12月の推奨香木は、40周年感謝企画の総仕上げとなる勅銘香『千歳の秋』です!♪

          12月の聞香会は、「歴史的名香の香気を堪能する」(Ⅱ)です!

          12月13日に予定している聞香会は、既に告知している通り、9月に実施した特別会第五弾と同じとさせて戴きます。 報告できていませんでしたが、当日の内容をざっとお伝えしておきます。 40周年記念特別企画ということもあり、かなり思い切った香木の選定を行ないましたので、ご参加の皆さまからは高い評価を頂戴しました。 メニューは次の通りでした。 (当日配布のメニューに、一部加筆しています) ********************************** 聞香会~香木三昧のつどい

          12月の聞香会は、「歴史的名香の香気を堪能する」(Ⅱ)です!

          11月の推奨香木「仮銘 千歳のかざし」の推薦文面を、一部訂正します^^;

          ・『典型的な緑油』は、「紫油」の間違いでした。 すなわち、この伽羅に具わる特徴的な香味は「苦」よりも「辛」にあると思われます(もちろん他の香味も具えてはいますが)。 従いまして、他の木所の香木と聞き比べる場合には、「苦」よりも「辛」に集中して聞香して戴くことをお奨めします。 風邪による嗅覚の異常と、見掛けからの思い込み・勘違いが重なったものと思われますが、推奨香木に採り上げておきながら推敲が足りない文面で推薦してしまい、誠に申し訳ございませんでした。 改めて読み直して戴いた

          11月の推奨香木「仮銘 千歳のかざし」の推薦文面を、一部訂正します^^;

          病み上がり、截香を再開しました♪

          微熱による?倦怠感が続き、3週間近く香割台から遠ざかっていましたが、ようやく気力が湧いてきて…と言いますか、通販のご注文が溜まってしまい、納期が迫り来て…奮起した次第です^^; そんな中、分木し易いように小分けしていた小片が不足してきたものを補充するため、久しぶりに「万力」を使いました。 「仮銘 あから橘」と共に、未だに何の植物か存じ上げない、不可思議な存在である赤栴檀。 志野流では隔ての香木として珍重されますし、御家流では「白檀ではない佐曾羅」として活躍します。 貴重

          病み上がり、截香を再開しました♪

          11月の推奨香木は「伽羅らしい伽羅」=堂々とした典型的な緑油伽羅♩

          9月末から10月に入って不覚にも風邪に罹ってしまい、20日間ほど倦怠感に苛まれて静養を強いられてしまいました。 新型コロナやインフルエンザで無かったのは不幸中の幸いでしたが、知らず知らずのうちに免疫力が低下していたのか気が緩んだのか…いずれにしろ40周年記念の1年があと2ヶ月ほどで過ぎようとしているところゆえ、しっかりせねばと反省しております。 寝込む前に開催できた9月の聞香会では歴史的名香をゆっくり味わって戴けて、稀少な名香を思い切って炷き出して良かったと嬉しく思いました

          11月の推奨香木は「伽羅らしい伽羅」=堂々とした典型的な緑油伽羅♩

          10月の推奨香木は,「まぼろし」となっていた「縮油伽羅」♪

          今月の推奨香木「香久山」は、早期の完売が予想されたこともあり可能な限り多くを分木出来るようにと準備したつもりでしたが、想像を遥かに上回る速さで無くなってしまい、多くの皆さまに行き渡らない結果となり申し訳なく存じています。 「稀少価値のある上質な香木をなるべく多くの愛好家の皆さまと分かち合って、聞香の醍醐味を共に享受したい」というコンセプトで始めた推奨香木の分木ですから、今後とも可能な限り継続して参る所存ですので、ご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。 さて本年もあっと言

          10月の推奨香木は,「まぼろし」となっていた「縮油伽羅」♪

          9月の推奨香木には『香久山』が登場します♫

          9月が香雅堂創業の当月ということで、40周年記念感謝企画の目玉として、歴史に名を残す名香『香久山』(かぐやま)を推奨香木に選びました。 そもそも名香と称えられる香木たちが何年何月に何方によって選定されたのか、正確な記述が現存するのか否かすら存じ上げないのですが、始まりは恐らく室町時代であろうと思われます。 それらの記録は何種類かの香銘録として現代に伝わっていますので、概要を知ることが出来ます。名香の分類のされ方は、例えば次の通りです。 『名香六十一種』・『名香百二十種』・『

          9月の推奨香木には『香久山』が登場します♫

          「まぼろしの推奨香木」を復活させて、限定販売いたします♩(Ⅱ)                       ―8月の推奨香木「仮銘 惜しむ心」

          7月の第一弾「仮銘 風の移り香」は即日に完売となってしまい、ご希望下さる皆様に行き渡らない結果となり、誠に申し訳なく存じております。 分木が叶いました皆さまは、どうぞ様々な火加減で聞香を試みていただき、加熱の具合に応じて異なる印象を与えてくれる最上質のタイ産沈香の妙味をご堪能下さいませ。 さて8月は、「仮銘 惜しむ心」を分木いたします。 「仮銘 木間」・「仮銘 朧月夜」と共に、某藩の家老職の家柄から手付かずの一木で無銘のまま発見された香木です。 古木(明治時代以前に渡来し

          「まぼろしの推奨香木」を復活させて、限定販売いたします♩(Ⅱ)                       ―8月の推奨香木「仮銘 惜しむ心」

          「まぼろしの推奨香木」を復活させて、限定販売いたします♩                       ―7月の推奨香木「仮銘 風の移り香」

          5月に開催した聞香会(特別会第三弾)では、かつて推奨香木として販売していたものの残りが僅少となって中止させていただいたものや、推奨香木としてなるべく多くの愛好者の皆さまに分木してお愉しみ戴きたいと思いながらも塊が小さ過ぎて販売に至らなかった近・現代の名香たちをピックアップして、次のようなメニューで炷き出しました。 (当日のメニューのままコピーします) ********************************** 聞香会~香木三昧のつどい~特別会第三弾 「まぼろしの推奨

          「まぼろしの推奨香木」を復活させて、限定販売いたします♩                       ―7月の推奨香木「仮銘 風の移り香」

          「仮銘 澄める月」の截香を終えました♪

          聞香会「まぼろしの推奨香木」の選にはもれたものの相当に古くから大事に扱って来た、いわゆる「よし恵コレクション」の一つ、「仮銘 澄める月」を6月の推奨香木に決め、このほど截香を終えました。 先ず、割れ目を広げるかたちで縦に割ってみました。 内部は、予想通りほぼ朽ちていますが、どういう経緯なのか、樹脂分が滲出しています。 どうやら完全に樹脂化を遂げた後に何らかの理由で割れ目が生じて、そこに雨水が浸水して、永い歳月のうちに香木の組織を朽ちさせたと思われます。 と言いますのも、朽ち

          「仮銘 澄める月」の截香を終えました♪

          6月の推奨香木は、高僧の気品を想起させる、稀少な沈香の寸門陀羅

          少し昔話をさせて戴きます。 京都御所西にあって、江戸時代より続く香木・薫香原料の輸入・卸元七代目の次男として生まれた筆者は、「狭い京都に兄弟が居たらろくなことにならない」という両親の先見の明?のもと、学生時代から東京に拠点を探すよう命じられていました。 母と一緒にあちこち見て歩いたものの好ましい立地に巡り合うことが出来ずにいましたが、ある時、調査を依頼していた不動産会社さんから「ややこしいけど面白い物件がある」と報告を受けて、初めて麻布十番を訪れました。 四十数年前のことで

          6月の推奨香木は、高僧の気品を想起させる、稀少な沈香の寸門陀羅