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書いた小説のあらすじ一覧(随時更新)

これまで書いた小説のあらすじを一覧にしました。
気になるものがあったら、読んでいただけると嬉しいです。

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襲撃のシュークリーム・ヘッド

 ひと気のない最終電車で帰宅する「私」の前に、頭がシュークリームの形をした奇妙な人物が現れた。
 至高シュープリームを名乗るその人物から「私」は一方的に従者に任命され、シュークリーム頭の怪物・クリーマーの対処を命じられる。
 至高シュープリームは電車を襲撃してきたクリーマーたちのシュークリーム頭を次々ともぎ取り、それらを食べて無力化するよう「私」に求める。
 勇ましくおいしそうな至高シュープリームの姿と、妖しくもおいしそうなクリーマーの頭に食欲を刺激され、「私」は躊躇を捨てて大量のシュークリームを平らげ始める。

ミツキさんの満ち欠け

 千由紀は絵本作家のミツキに呼ばれ、ミツキが登壇するトークイベントの会場である書店に予定より早く到着した。
 店の隅で縮こまるミツキの首の上には、頭がなかった。
 本来ミツキの頭は月に似た球形をしており、ミツキの心理状態に応じて、まるで月の満ち欠けのように見え方が変化する特徴があった。全てが消えた頭は、胸中の強い緊張や不安を示唆していた。
 イベントの開始までに心と頭を満月に戻すため、千由紀はミツキを元気づけようと試みるが……。

幻滅してほしい先輩

 大学生の尼崎は憧れていた先輩の船戸に、幻滅してほしいからと様々な奇行を仕掛けられていた。
 船戸は尼崎が自分を美化して慕っていると考え、そのイメージを壊してもっと打ち解けた関係を築きたいという。
 船戸の推察は概ね正しかったが、尼崎の心情はもう少し込み入った推移をたどっていた。

菓子盆上の天

 広大な菓子盆の上で目覚めた「私」は、盆の外にそびえ立つ巨大な栗まんじゅうを目撃した。
 混乱する「私」は悲嘆と空腹に駆られ、巨大な栗まんじゅうに向けてむやみやたらに腕を振り回す。
 無意味に思える行為だったが、ふと気がつくと「私」の手の中に、いつの間にか栗まんじゅうの感触が生じていた。

のっぺらぼうを笑わせる仕事

 大学生の朝川瑞未は従姉妹の紹介で、茅という人物と所定の時間会話するアルバイトを引き受けた。
 茅は顔に目や鼻、口などがなく、のっぺらぼうのような容貌をしていた。言葉数が少なく振る舞いも冷淡で、表情を読み取れないこともあり、瑞未は茅との会話に苦労し続けていた。
 成果のないまま一ヶ月近くが過ぎたある日、瑞未は特技である動物の声真似を使った芸を茅に披露する。芸に対して茅は楽しげな笑い声を上げたが、瑞未は成功の手応えではなく激しい恐怖を抱く。笑うと同時に茅の頭が真っ二つに割れ、巨大な口のようにうごめき始めたからだった。
 頭に表れた口は何なのか。仕事の真意はどこにあるのか。茅は内心何を思うのか。瑞未は生理的恐怖に晒されながらも、疑問の答えを求めようとする。

下りた赤い幕の向こう

 文化祭でのクラス演劇を終えた直後、小宮は廊下の隅の長椅子に佇むクラスメイトの貝崎を見つけた。
 自らが脚本を担当した劇が成功したにも関わらず、表情が晴れない貝崎に対して、小宮は脚本に込められた貝崎の想いを指摘する。
 抱え込まず話してみたらどうかと小宮は貝崎を気づかうが、語られた打ち明け話は予想外の方向に転がり、小宮の心中をかき乱していくのだった。

酔うと液体になるタイプ

 酔ったカナの体が溶けていく様子を眺めながら、「私」はのんびりと酒を飲んでいた。
 酒を飲むと液体になるカナの体質を「私」は知っていて、対処の仕方も心得ている。必要なのはタオル、浴槽、ベーキングパウダー、寛永通宝のレプリカだ。
 予め準備をしておいた「私」は、タオルに染み込んだカナを抱えて浴室へと向かった。

あわてんぼう様に捧げる演舞

 山裾の村に住む少女ヤアは、山の神に捧げる祭りの儀式・ツクヮ舞の舞手に選ばれた。
 祭りの前夜、舞手の重責に思い悩むヤアの前に、山神の使いツクヮサマが現れる。祭りの日を間違えて前日に来たあわてんぼうのツクヮサマは、ヤアに祭りとツクヮ舞の秘密を明かし、二人で儀式を済ませてしまおうと持ちかける。
 ヤアは山神の使いという存在に畏怖を抱いていたが、軽口を叩きよく笑い、粗忽な面もあるツクヮサマに、段々と心を開いていく。
 奔放なツクヮサマに翻弄されつつも励まされ、ヤアは重責への恐れを振り払って、ツクヮサマと自分自身のために月光の下で舞い踊り始める。

ダンス・エンカウンター

 VRで再現された宇宙空間を体験し、気分が高揚してコミカルなダンスを踊っていた「私」は、知らない誰かのアバターが自分を見ていることに気づく。
 赤面する「私」をよそに、アバターはどことなく人間離れしたぎこちない動きでダンスを真似し始める。両者は時間を忘れて陽気に踊るが、ダンスの途中で突然アバターは動きを止め、何の反応も示さなくなる。
 偶然の出会いと別れに「私」は強い印象を抱き、再会を期して仮想の宇宙で何度も踊り続け、やがて予想もしない未来へ至るのだった。

あなたの声で牛を被る

 夏休み終盤、高校生のかなえは美術部の後輩ユキに頼まれて、牛の被り物を身に着けて絵のモデルをしたり、アメリカバイソンの鳴き真似を披露したりしていた。
 絵が描き終わった後にもユキは、休み明けまで毎日モデルをしてほしいとかなえに頼む。かなえは美しく澄んだユキの声に弱く、つい何でも受け入れてしまう傾向にあったが、流石に毎日は無理だと断ろうとする。
 渋るかなえに対して、ユキはモデルにこだわる理由を、普段と少し異なる響きを帯びた声で語り始める。

祖母対音速ローブ

 追い抜かれると息の根が止まるという怪談「音速ローブ」の話を聞いた後日、「私」は祖母がローブ姿の奇妙な人影に追われている場面に遭遇した。
 走ってと懇願する「私」の言葉を聞いて祖母は駆け出し、ローブの人影と壮絶なデッドヒートを繰り広げる。驚愕する「私」をよそに、祖母はとてつもない脚力で人影と渡り合い、真っ直ぐ伸びた道の彼方へ颯爽と走り去っていくのだった。

狼河童のこと

 あらかじめ嘘と宣言した上で、話し手は河童と出会った話を語り始める。
 聞き手の気まぐれによって蝶々を天道虫に変えさせられたり、キュウリに甘いクリームを塗らさせられたりしながら、話し手の語りは脱線しつつ進んでいく。

花嵐散歌

 野外での合唱部の活動中、早坂は突然吹き始めた強風に歌声を遮られた。
 散った桜の花びらが嵐のように荒れ狂う中、早坂は顧問の指示に従って避難しようとするが、後輩の天野がピアノ伴奏を続けていることに気づく。
 花の嵐の中で歌おうと興奮気味に持ちかける天野を、早坂は口では否定する。しかし非日常の光景に昂る感情を、心の奥底では抑えきれないでいた。

冷たいこたつの中の隣人

 寒風の吹くアパートの裏庭で、辻井可織は雪で作られたこたつを発見した。こたつには隣室の住人である小瀬村千鶴が入り、寒そうな素振りもなくみかんの皮を剥いている。
 奇妙な光景に興味を惹かれ、可織は隣人に声をかけるが、素っ気なく掴みどころのない千鶴の言動に翻弄されていく。

都市伝説『ナゾカケ』

 夜道を独り歩いていた「私」は、暗闇から現れた顔の見えない人影に謎掛けを出題される。
 「私」は都市伝説「ナゾカケ」と同じ状況に恐怖しつつも、得意の即興謎掛けでその場を切り抜けようとするが……。

紙風船ガム

 道行く人々が持つ紙風船の出所を探して、沢井燕は珍妙な品物ばかりの商店「シギ屋」にたどり着いた。
 子供のような外見の店主・一色牡丹は、紙風船の代わりに一粒のガムを燕に渡す。
 牡丹の説明に従い、燕はガムを口に入れて息を吹き込む。次の瞬間、探していた紙風船が、燕の目の前に忽然と現れていた。

花なし花見の始め方

 花が咲いてない桜の下で独り花見をしていた小木野は、通りがかった知人の新橋に意図を問い質された。
 新橋に飲み物や食べ物を勧めつつ、小木野は花見の背後に存在する計画を語る。それは小木野がある映像を観たことで生じた、壮大かつ能天気な想像に端を発するものだった。

ペンギンものまねメダリスト

 友人と水族館を訪れた「私」は、ペンギンの声真似を採点するゲームの筐体を見つけた。
 ゲームに挑む「私」が渾身の鳴き声を聞かせると、筐体は突然ガタガタと振動し始め、その形を変えていった。呆然とする「私」と友人に対して、水族館のスタッフが想定外の採点結果を告げる。

カッパとあんみつの約束

 高校の同級生・羽崎奈央に甘味処に誘われた久地君花は、「ジミカ」と不躾なあだ名で呼んでくる彼女の真意を探るため、ためらいながらも誘いに乗った。
 甘味を食べつつ話すうちに、君花は奈央が小学生時代の知人「カッパちゃん」だと分かり、二人は思い出話に花を咲かせる。
 奈央が君花をジミカと呼んでからかう理由。君花が奈央をカッパと称した理由。アイスクリームに関するほろ苦い一幕と、何気なく交わした小さな約束。滑稽で他愛ない思い出を通じて、君花は奈央の心情に触れていく。

天狗とポン酢の颪和え

 幻のポン酢「椪天(ぽんてん)」を求めて跡之原を訪れた笠野絵真は、山颪に乗って坂道を転げ落ちるガラス瓶を拾ったことをきっかけに、瓶の持ち主である早久陽子に礼と称してつきまとわれる羽目になった。
 宿泊先まで勝手についてきた陽子は、ガラス瓶に入った透明の液体を使った食事を絵真に振る舞う。瓶の中身が織り成す美味に舌鼓を打ちつつ会話を重ねるうちに、絵真と陽子の間にある奇縁が明らかになっていく。

ふれあい化腸玄謬全ひろば

 失踪した作家・雉鴫子厳(きじしぎねごん)を慕うファンが開催した、作中の怪物である化腸玄謬全(けちょうげんびゅうぜん)を再現した模型のイベントに「私」は訪れた。
 様々な姿を見せる化腸玄謬全の模型を眺めながら、「私」は気難しく繊細な友人だった在りし日の子厳を思い返す。

イヤホントラップ

 気になるクラスメイトの鷹木さんがイヤホンを着けたまま教室で寝ているのを見かけて、「私」はイヤホンを片方取って自分の耳に着けたい衝動に駆られた。
 「私」は鷹木さんが好きな音楽を知りたいと常々思っていたが、当人からうまく聞き出せないでいた。突如現れた好機を前にして、迷いながらも「私」は一つの決断を下す。

一面の地縛霊

 地縛霊の噂を確かめようとする友人に連れられて、「私」は夕暮れの林道を進んでいた。
 噂など馬鹿馬鹿しいと思いつつも、赤黒い夕日に彩られた林道の様子に、「私」は不吉な気配を感じ取っていた。
 やがて目的地にたどり着いた「私」と友人は、そこで地縛霊の真実を目の当たりにすることになる。

領収証書授与ゲーム

 高校の卒業式後。しんみりとした校内の雰囲気をよそに、鶴見さつきは卒業生の大西怜衣に対して立て替えたボードゲームカフェの代金を請求した。
 これまでさつきと様々なゲームで競ってきた怜衣は、立て替え代金の支払いを賭けて、レシートを利用した口八丁のゲームを持ちかける。
 互いのプライドと財布事情がぶつかり合う、二人の高校生活を総括する迷勝負の幕が上がった。

ヤボの天ぷら

 ウェブライター・本宮宥は、正体不明の野菜「ヤボ」について調査する過程で、植物販売店を営む古い知人・安土映理と再会した。
 独自の情報を持つ映理の手配で、宥は映理と共にヤボの販売所があるという森林へ足を踏み入れる。二人は案内人・熊面童子(ゆうめんどうじ)の先導に従い森の奥へと進んでいくが、しばらくするうちに奇妙な眠気に苛まれるようになっていく。
 増していく倦怠感に苦しみながらも、互いに声をかけ合い、思い出を語りながら歩き続ける宥と映理の前に、やがて不可思議な光景が姿を現す。


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