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平日に仕事を休んでみた話

15歳の頃に描いていた夢とは違うけれど、22歳の頃には企業への就活には目もくれずこの仕事を目指して必死で勉強する日々があった。

これまで「仕事辞めたい」なんて口から溢れるそれは、しっかりと脳内を通ったものではないその場の空気に合わせた戯言で、ちょっとやそっとの子どもの変化を見ては何度だって天職という言葉の意味を辞書で引いては間違いないと車のエンジンを掛けるのである。

これまで65まで子ども達と笑い合っている姿を想像していたのに、もしかしたらそんなには長く学校にいられないかもしれないと感じるようになった30歳の誕生日1ヶ月前の心の内である。

毎年この時期は僕の日記は荒んでいる。それぐらいに慌ただしさはこの時期の風物詩であり、これまでずっと若さとエナジードリンクで乗り越えてきた日々でもある。ただ、その異常さを謳う報道の連続に僕もここ1、2年ぐらいで何年も麻痺していた異常さからやっと目が覚めはじめ、世間からの目と自分の目が一致し始めた時にはじめて自分の人生計画を考える上でこの働き方の異常さに怖さを感じるようになったのだ。

''やりがい''にマスキングされて見えなくなりがちな今の働き方が変わらない限り、今後自分のライフステージを見据えた時に若さが効かなくなった40.50の自分が戦える場所ではないような気がし始めたのだ。

ただここで僕が学校現場が抱える働き方の問題を論じ何か新しい提言をするのはあまりに知識が乏しいため控えるが、大好きな仕事をずっと大好きでい続けるためには、体質の変わらない学校現場を嘆くのではなく、ストレスマネジメントによってこの働きをする上でのストレスを減らしていくことを考えた方が賢明というとりあえずの結論に至ったのが今回の話の筋である。

別に仕事が嫌いってわけじゃない。

ただ3月の卒業式から今日までずっと当たり前のように遅くまで働く生活と慣れない環境への気遣いで心身ともに疲れてしまっているのはよくわかっている。

心の病気なるものは僕には無縁だと思っているけれど、その5歩手前ぐらいにいる自覚があり、5歩踏み間違えたら働けなくなってしまうかもしれないちょっと怖いなと思う段階だから意図的に休みを取ることにしたのだ。

現に僕の周りの同世代の友達たちが職種関係なく休んでいるなんて話を聞くようになりはじめた。これはいけない、自分もそうなる前に学校を離れなければと思い休みを取った。と言ってもたかが1日、しかも修学旅行の割り振りという罪悪感なき正当な理由での平日の休日である。

もしも仕事をしていなかったらどんな生活を送っていくのだろうと想像してみた。では貴重な平日の休みを''もしも仕事をしていなかったら''と仮定して過ごしてみよう。

''もしも仕事をしていなかったら''

朝7時30分に目が覚めた。

普段は6時に起きることにしている。好きな音楽と一緒なら素敵な朝を迎えられるだろうと思ってアラームをセットするけれど、朝の最もネガティブな時に聞く曲はだいたい嫌な曲になってしまう。なんとかベッドを飛び出してシャワーを浴びて髪をセットするのに30分と少しかかる。別に会うのは子どもしかいないのにグリースでしっかりクセを出す。僕はまだモテたいのだろう。そして7時過ぎに学校にいたいことを考えると、最近朝食を食べるのをやめた。僕の1日の気分を決めるのは朝の余裕、学校に着く時間が朝食よりもずっとエネルギーなのだ。

7時30分に起きたその日はトーストを焼いた。この年になって牛乳よりも豆乳の方が好きなことを知った。朝、ゆっくり朝食を取る時間は今の僕にはなかったからとても嬉しかった。

理想の1日なるものを計画する時のパターンを分けるとすると''遊びに振る人''と''自分磨きやメンテナンスに振る人''に分類されそうだが、僕は圧倒的な後者である。

朝食の後に立てた1日のスケジュールの中には''ジムでスクワット''が書かれていたのだけれど、前日の疲れから気持ちが乗らずジムとは逆の実家方面にウインカーを出した時にちょっと胸が苦しくなった。そうか自分は自分の決めた事を実行しないと気が済まない完璧主義な部分があるんだと教えてくれた苦しさだった。昔から''こうあるべき''''妥協を許してはいけない''にとらわれた性格は、そんなんだから休むことが難しくなっているんだろうと感じたのだ。

きっと仕事を辞めたりしたら、初日こそゆとりのある生活を謳歌しそうなものの、次の日からは''こうあるべき''にハマらない自分に苦しくなってしまうのだろう。

その日は実家に帰ることにした。学生時代すら新幹線で通っていた僕が異動を機に一人暮らしを始めたのが4年前。誰にも邪魔をされない生活はとても快適ではあるのだけれど、誰とも喋ることのない生活は豊かではない。だから週に一度実家に帰ることにしている。そういう意味で結婚には興味がある。

実家に着いてから車を停め、最近ハマっているクロスバイクに乗り換えた。歩くには面倒で車に乗るには物足りない時に多少の不便さのある自転車を選ぶ。

僕の生まれ育った街は水の都と呼ばれている。

川沿いずっとペダルを漕ぎながら、行き着いた先は図書館である。今年の頭ぐらいに読書にハマった。1日1冊ペースで読むものだからお金がかかり過ぎて困っていた時に、幼き記憶の中に図書館なる無料で本を読める場所があるのを思い出したのが毎週日曜日に通うようになったきっかけである。

僕のバイブルBRUTUS

その日は大好きなBRUTUSのバックナンバーを手に取った。「やさしい気持ち。」とはなんだろう?無意識にそんなタイトルに手を伸ばしたのは、今の自分にそんな気持ちが足りていないからかもしれない。人にやさしくするばかりで、自分にはまったくやさしくない自分に掛けてやる言葉が欲しかったのだ。

1時間ほどの読書を終えるといつも不思議なことに幸福感とやる気に満ち溢れているから本には力がある。だからいつか僕もそんな本を書きたいなと思っているのが最近の夢である。

自転車を漕ぎながら考える。

''さて、理想の休日にふさわしいランチは何か?''

''おっさんが飯を食ってるだけなのになぜか見てしまう''で有名な「孤独のグルメ」シリーズに影響されて最近は新しい店の開拓にハマっている。

お洒落なカフェでランチをするにはあまりにベンチプレスが上がりすぎるため、その日は人生で初めて一人焼肉に挑戦したのだ。言ってもランチ食べ放題千いくらのお店だけれど。

29歳にして一人焼肉デビューである

いつもホルモンが嫌いな友達と行く店だからその日は一生ホルモンを食べていた。

1時間の食べ放題を最後までゆっくり堪能した時になんだかいつになく幸せな感じがしたのだ。毎日給食だから5分で掻き込む食事に楽しむ余裕なんてない。朝食しかり、何かを味わって食べることを最後にしたのはいつだっただろう?

昼食後近くの公園のベンチに横たわり木々に囲まれ目を瞑る。

目を開けたら見える景色

もし仕事を辞めてお金が底を尽きて住む家が無くなっても、こんな公園で過ごせるならそれはまた違った幸せが待っていそうなので予想以上にお金の心配はいらないのかもなと思った。

さて後半戦、自転車を20分ほど漕ぎながら辿り着いたお気に入りの公園。

公園をオフィスに

最近はここのベンチで英語の勉強をしたり、サッカーのトレーニングを作ったりする時間が好きだ。何かめんどくさい仕事もここでなら楽しんでやれそうな気がするのだ。公園をオフィスに、新しい働き方としてどうだろうか?

1日の締めはスタバ。「ドリップコーヒー、ショートで」「珍しい、今日抹茶(ティーラテ)じゃないんですね」「ちょっと作業したくて」「相変わらず仕事頑張ってますね」なんてやり取りを交わすぐらいに、スタバに通いつめている僕。

いつかスタバで働きたい

僕にとって仕事と勉強と趣味とを明確に区別できるそれはなくて、先生の仕事は世間の言う''仕事''らしくないものも多い。その日はnoteを書いた。何か新しいモノを作り出している時のワクワクがたまらなくて気づいたらもう120本近いnoteを書いている。いつもありがとうございます。

夜20時、家に帰ると両親が待っている。平日に休みを取り、あれこれとやってみたことを話した。

21時、少し長めにお風呂に浸かる。勇気が足りない時のバイブル「梨泰院クラス」を見ながら。

22時、目を瞑る前に今日を思い出す。普段学校の記憶しか残らない1日に、いつもとは違う時間が幸せな記憶となってインプットされたのだ。

翌朝は久しぶりにポジティブな感情を持って学校に向かうことができた。昨日だって同じ24時間を過ごしたのに不思議だ。

大好きな仕事だからこそ

上島竜兵さんが亡くなられた。いじられキャラとして第一線で何十年も活躍している''強いはず''の人が簡単に自らの命を絶ってしまったのである。

僕らは強いと思われている人も本当は弱さを抱えていることの証明を見たのだ。僕の周りで仕事を休んでいる人達は「あの人が?」と驚いてしまうような強そうな人達だった。もうこれは間違いないっぽいんだけど、誰しも''弱さ''を持っている。それ前提でその''弱さ''に''こうあるべき''の追い討ちを掛けるのではなく、その''弱さ''に寛大になり辛い、苦しいを認めてあげられる世の中であって欲しいと願う。令和だから。

僕は大好きな仕事をずっと続けるためにもう少し自分にやさしくしてあげたいなと感じたのである。自分が日々住んでいる世界の外側には手付かずの幸せが残っていてそれを知るために少し飛び出すためには時間が必要なのだ。












みんなもう少し楽に生きれたらいにのにね。



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