見出し画像

「夢をかなえてドラえもん」の素晴らしさを熱く語る

Podcastの#27「40代からのポケットモンスター入門」をアップしました。これ以上世代がなかなか気づきにくいポケモンの奥深さに関して浅〜く話しています。

で、途中で主題歌の素晴らしさに関して触れてまして、例えばいわゆる新無印、と呼ばれるこないだまでやってた「ポケットモンスター」の主題歌「ワン・ツー・スリー」がこちら。

のっけからゲームボーイの起動音がサンプリングされてることからもわかるように、全編にリスペクトの嵐。「ワン・ツー・スリー」が”モンスタボールが3回回るとポケモンをゲットできる”というゲームのお約束を表してたり、曲全体が以前のシリーズ「ポケットモンスターXY」の主題歌「ゲッタバンバン」をベースにしてたりと小ネタが満載。

で、この新無印のひとつ前のシリーズ「ポケットモンスター サン&ムーン」では岡崎体育さんが主題歌を一手に引き受けてたという話はpodcast内でしたんですが、その中では例えば劇場版の主題歌になったこれ。

この劇場版自体が「子供の付き添いで観にくる親を絶対に、絶対に泣かせてやる」という気迫でできあがってたというのもありますが、歌もちょっと反則だよなあこれは、という気もします。

で、本題はpodcastとはズレますが「夢をかなえてドラえもん」の素晴らしさですよ。何はともあれまずは曲を。

僕世代ともなるとドラえもんの曲はいわゆる"あんなこといいな〜"が鉄板、かつその頃は声優も大山のぶ代さんだったので、声優交代後の水田わさびさんドラえもんと同様、この主題歌に慣れるのにも多少時間を要したわけですが、この曲の深淵に触れて以来、ドラえもん主題歌の決定打はコレだ、と常に思っています。それに気づいたきっかけが、2番のBメロの歌詞。

道に迷っても 泣かないでいいよ
秘密の道具で 助けてあげるよ

最初に違和感を持ったのが「秘密の道具で」というフレーズの「の」という助詞。というのもこの部分、音符でいくと7音なのですがそこに8文字を半ば強引に差し込む形で歌われています。でも、ドラえもんの世界ではそもそも「ひみつ道具」という言葉があるじゃないですか。なのになぜわざわざ字余りになるとわかっていて助詞を入れたのか。そこに"意図"を感じます。

で、推察するにこれ、「単語の一般化」が目的なのではないか、と。要するに「ひみつ道具」と言ってしまうと”ドラえもんの世界の話”になりますが、それを「秘密の道具」とすると、必ずしも”ドラえもんの世界の話”ではなく、”現実の世界の話”になる。それに気づいた時に、この曲の歌詞の内容がひっくり返りました。

ドアをあけてほら行きたいよ 今すぐ(どこでもドア〜)

例えば、この曲のAメロでは上記のようにドラえもんの声で「ひみつ道具」をコールするという茶々入れが入りまして、それがドラえもんの主題歌らしさに一役買ってるんですが、そのせいもあって、てっきりこれは”のび太目線”で歌われている歌だと思っていたんですね。それこそ、「あんなこといいな〜」の「ドラえもんのうた」がそうだったように。

でも、このドラえもんの声を除いて歌詞を注意深く聴くと、サビで「ドラえもん」と呼びかけられる以外には、一切ドラえもん世界を特定するワードが出てこないことに気づきます。要するに、これは”のび太目線”の曲ではなく、ドラえもんを知っている人、ドラえもんを好きな人、そういう視聴者の目線な曲なわけです。

大人になったら忘れちゃうのかな?
そんな時には思い出してみよう

そして、それを踏まえた上で、一番のBメロで歌われた上記の不安が、ラスサビ前に鮮やかに回収されます。

大人になっても きっと忘れない
大切な思い いつまでもずっと

この二つの歌詞は当然子供目線にも聞こえますが、特にラスサビ前の方は「かつて子供だった大人たち」に向けられているという風にも聞こえます。このように、「夢をかなえてドラえもん」という楽曲は、表面上決して声高には言いませんが、当時のドラえもんを楽しんでいた子供たちのみならず、オールドファン、要するにその親世代にも温かい目線が向けられた楽曲なのです。そりゃあお父さんも車を運転しながら泣くよ……。

……とか言って「ひみつ道具」がなんか商標的な感じで使えなかった、とかだと嫌なんだけど。多分他の込み入った作りを見てるとそうじゃないんじゃないかという気もするわけで…。