幸せについて〜科学的な観点から〜

最近、「ポジティブ心理学」や「ポジティブ精神医学」なる領域に興味を持ち、いくつか本を読んだりインターネットで調べてみた。

「心理学」や「精神医学」はこれまで精神疾患の治療に、つまり、患者さんの苦しみを和らげることに焦点を当てた学問である。

こちらでは、患者さんも含む全ての人をより幸せにするための学問である「ポジティブ心理学」の概要の一部について紹介します。

最初に重要なことを述べておくと、ポジティブ心理学の創設者である、マーティン・セリグマンは、「人の苦悩や不幸を和らげるようにしてもその人が幸せにはならない。マイナスからゼロになるだけだ」と主張する。つまり、ネガティブ感情を排除するだけでは幸せにはなれないのである。これは、ネガティブ感情とポジティブ感情は別の軸で存在していると言えます。

では、幸せとは何なのか。どうしたら幸せになれるのか。

(ポジティブ心理学では100%の幸せという概念ではなく、ウェルビーイング(より良い状態を追求し続ける)を目標にしていますがここでは「幸せ」という言葉を使います)

簡単に言うと、ネガティブ感情を少なくしてポジティブ感情を増やしていくことです。ポジティブ感情を増やしていくということは、普段頭の中にあるネガティブ感情の割合を減らしていくことにも繋がります。普段からネガティブ感情に悩まされている方は特に必見ですね。

セリグマンは、3つの異なる幸せについて説明しています。

1つ目は、快楽を追求すること。2つ目は、夢中を追求すること、3つ目は意味のある人生を追求することです。

以下、科学的な根拠も併せて3つの幸せについてお話しましょう。

①快楽の追求
これは文字通り快楽を増やすことです。しかし、このポジティブ感情は一部遺伝もあると言うことと、慣れが生じてしまい継続することが難しいと言われています。セリグマンは、「快楽を”意識して”味わったり、選択的にそこに意識を向ける技術を習得することで、 15〜20%多めにポジティブ感情を増やすことができる」と主張しています。ただし、”慣れ”の問題があるので、様々な楽しいことにトライするのが良いかもしれませんし、普段見逃していた小さな幸せを見つけて味わうのも良いでしょう。また、感謝もポジティブ感情になりますので、日頃から感謝の気持ちを大切にし、味わうことも快楽の追求と言えるでしょう。
②夢中の追求
これは、夢中になれる何かをすることです。仕事であればより良いのですが、趣味でも何でもよいとされています。”夢中”というのは”時間を忘れること”、セリグマンの言葉を借りるなら”フロー状態に入ること”です。みなさんも経験あるかと思います。何かに没頭していたら時間を忘れていた、というあの感覚です。このフロー状態を手助けするには、自分の強みを生かすことが良いと言われています。夢中になれること+自分の強み(長所)がより強いフロー状態を生み出すということです。自分について分析し、強みを活かす計画を立てて、日常生活に取り入れていきましょう。
③意味のある人生の追求
先ほど、夢中を追求することについて言及しましたが、そこに意味を持たせると相乗効果に繋がります。つまり、自分の強みを理解して、それを自分より大きな”何か”に捧げることです。自分の強みを他人のために捧げることほど幸せを感じることはないでしょう。セリグマンも「楽しいことを追求するより、他人のために何かをすることの方が効果が長続きする」と主張しています。これは科学的にも証明されている事実です。

以上がセリグマンの主張する3つの異なる幸せです。

では、人生の満足にこれらの幸せはどのくらい関係するのか?

①快楽の追求は、やはり持続するものではないため残念ながら、人生の満足とはほとんど関係しないということが証明されています。

ここにきて、「え、じゃあ快楽を追求する意味はあるの?」とお思いになるかもしれません。しかし、これは後に関係してきます。

人生の満足に最も強力に関係していると証明されたのは、③意味のある人生を追求することでした。また、②夢中の追求も人生の満足に強く関係があることが証明されました。

これらの3つは異なる幸せかもしれませんが、完全に独立しているわけではありません。それぞれ相互に影響し合っている部分があります。これらの3つを組み合わせることはとても強い相乗効果を生むのです。

①快楽の追求は、②夢中の追求とセットになることで人生の満足に貢献することが証明されています。つまり、自分の強みを生かして夢中になれることに意味を持たせることと、楽しいことがセットになれば、最強の幸せと言えるのではないでしょうか。

以上がみなさんに知ってもらいたいセオリーです。

実践できることから積み重ねて、自分の強み・長所を理解し、周りの人・他者のためにそれらを活用していきましょう。快楽だけを追求するよりも自分の行為で他者を喜こばせることはポジティブ感情を長続きさせ、人生の満足度にも貢献するのです。

以下、参考文献

前野隆司「実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス」PHP研究所, 2017年.

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