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サハラマラソンなる世界で最も過酷なレースに挑戦してみた。-第二話-

サハラマラソンの初日のスタートはお祭りの様だった。
HIGHWAY to the HELL から始まる一日の始まりは、初日こそただ楽しかった。全員手を上げ盛り上がり、音楽と一緒にスタートする。この演出は最終日まで同じであった。

やっぱこのポーズだよね!やるなら。


しかし、周りの選手の顔を見ると、日が経つにつれ絶望と苦悩のレクイエムに聞こえるようになっているのであろう。日に日に盛り上がりが欠けていて、「いやー、、、、今日も始まってしまうんですね。地獄レース」の顔になっていたのが印象的だった。

また、37回目の大会にして今回は2番目にキツい大会であったらしい。
理由は簡単で、毎年のレースのキツさは、その年の暑さに完全に依存するのだ。比較的涼しい年はほぼリタイヤが出ないなんて年もあるらしい。
それくらい気温が与えるダメージが大きい。なんせ50℃超えるのだもの。
夜は寒いと聞いていたのに寝袋もダウンもみんな捨てだして、2023年大会は夜も暖かい年となった。



ちなみに精神的なダメージとしては、砂嵐も結構なものだった。
動画添えておきます↓↓ 伝わるかな~?雰囲気。
※9分くらいから僕でます。


また、野糞偏差値もみるみる上がる。
初日こそみんな少しだけ離れてするのだが、偏差値が上がってくるともうどこでも構わなくなってくる。動物に戻るのだ。
普通にみんな野糞するので、もはや恥ずかしがってる人などいない。
レース中も前を走っている女性がいきなりしだす。そんな感じだ。


サハラマラソン完走の体験は一般的に非常に貴重な為、ここで日々の心境を記しておきます。

1日目(35キロ):

「その服装!危ない!」としきりに言われるのでペースをかなり落として慎重に走り続けた。もちろんキツいのだが、率直な感想としては、「アレ、まだ行けるぞ?」である。日本の練習の効果はバツグンだった。

この日は確か400位くらいだったと思う。レース中に「なんでそんな恰好してるの」「いつまでソレ着るつもり?」「何が起きた!!?」って感じで100回?位は声を掛けられたと思う。

また、水分補給は超重要で10Kmごとに2Lらいドリンクを飲まないと脱水症状になる。しかも毎日40℃くらい(砂漠だから)の温かい特製ドリンク(アクエリの2倍位濃い塩分たっぷりのやつ)を仕方なく飲み続ける。

普通のマラソンなら10キロなら500ミリ飲めば十分だろう。
しかしこれだけ飲んでオシッコが全くでないのである。
汗で全部出てしまっているのだ。

そして初日を終え目標が
完走⇒”最後まで歌舞伎の衣装で走りきる”
にバーションアップした。


初日!まだ棒アルミの持ってる。(のちに壊れる)

2日目(35キロ):

周りは割ときつそうだが(げろ吐いてる人何人見たかw)
俺は歌舞伎でも意外といけるぞ!ということで、ペースを上げる。

死にそうになったら脱ごうと思ってた衣装もそのまま着用することにした。
初日に比べ周りからの声のかけられ方がかなりグレードアップした印象だ
バカはよせw ⇒「アメイジング!」「クール!」といった具合だ。
これが活力になる。

そしてこの日は200位以内でゴールできた。「おいおい。結構いいペースだけどまだまだいけるぞ!」一方、既にリタイヤが出始めている。道では木陰でぐったりして死にそうになっている人も散見でき、レスキューヘリもちらほら飛び始めた。泣いてる人も何人か見た。

いいぞサハラ!これぞ見たかった超過酷系の光景だ。

なんて調子いい事を言ってると砂嵐がまた来るのだ。油断は禁物!!!


3日目(35キロ):

ここで変化が起きる。僕の体が覚醒しているというか、ランナーズハイが発動可能な状態になっていた。笑う(口角が上がるだけでも良いらしい)とランナーズハイの状態になりやすいと高校サッカー部の時に顧問の先生が言ってたのを思い出して、笑いながら走ることにした。歌舞伎が笑いながら走ってる絵は結構シュールだったと思うが砂漠なので誰も知る由もない。

「行けるところまで行ってみよう!」この日のテーマは笑顔とコレである。

自分のリミット外してガンガンモードで走っても全然大丈夫なのだ。とはいえ流石にカツラが熱すぎて1000回は後悔したことは言うまでもない。
ゴールしてみて順位を見たら80位だった。


そしてこの日の順位で調子に乗り、新しい目標ができてしまった。
それは、”4日目の90キロランを終えた時点でトータルタイムがトップ200位以内に入るとトップ選手と一緒の時間にスタートできる”というものだ。

トップアスリートと一緒にスタートラインに立ちたい!歌舞伎で。
てか俺だって、めっちゃトレーニングしたんだよ??
ただの色物おちゃらけランナーじゃないんじゃ!!!って所を見せてやる。中学生のマラソン大会で最初だけダッシュするお調子者君と一緒にするなよ。

燃えまくりました。明日の90キロ。命かけるぜ!!!

そして良いニュースが1つ。
大会サイドからニックネームがつけられていることが判明した。


通称 ”Go!レッドドラゴン!” だ。
めっちゃセンスいいやんけ。ドラゴンカッコイイし。
Goがセットなのもいい感じ♬



って待て!歌舞伎じゃ!!!ってチャチャを入れたいが、適切なイケてるアメリカン突っ込みが浮かばず。取り合えずレッドドラゴンの称号をゲットしたのだ。

チェックポイントやそこらでニックネームで応援してもらうのがものすごく心地よくて元気が出る。ネーミングセンスもいいし完璧や。


そんな感じのモチベーションで4日目の鬼門90Kmラン。
通称オーバーナイトランに突入する。


次回最終話。
作戦大失敗!!60キロ地点で動けなくなる。
5日目のファイナルはエリートランナーと一緒に走れるのか??

の巻。

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