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コロナ禍の今、改めて隣国を受け止めるために『中国が世界を攪乱する―AI・コロナ・デジタル人民元 』


『中国が世界を攪乱する―AI・コロナ・デジタル人民元 』

 客観的な事実を積み上げて、論理的に分析、そして予測をしている素晴らしい本です。
 僕は2020年代以降の日本人にとって、「中国との向き合い方」が最重要課題になると思っています。中国について考えるときに礎になる本だと思います。
 中国は、共産党による独裁の元で資本主義経済を導入して経済成長を達成しました。巨大な消費市場を抱えつつ、アメリカなどの外資系企業を制限し、海外で流行ったサービスを真似する「タイムマシーン経営」で中国のIT企業を育て、中国で一番になると、ユーザー数が世界で有数になる、そしてNY証券取引所に上場するという「反則」的な手法を続けてきました。中国製の商品が「安かろう悪かろう」の時代はとっくに終わったように、人工知能などのITの先端分野でも中国企業の台頭が著しくなっています。仮想通貨においても、デジタル人民元が世界を先行するかもしれません。


 そんな中での今回のCOVID-19です。どんなに経済が発展しても庶民の食生活や衛生概念はかんたんには変わりませんから、感染症が中国発なことは偶然ではありません。中国経済の発展がCOVID-19が世界に急速に広まった理由でもあります。本書でも書かれているように、イタリア、イランなど中国経済と結びつきが強い国でCOVID-19の被害が大きくなっています。共産党独裁国家が、資本主義経済の中心にいるという世界の矛盾が見えてしまったのが今回のコロナ禍です。強権的に街をロックアウトして、「解決」を演出し、他国に対して中国の正当性を主張するのは、いかにも「中華思想」的な行動です。それを批判することは簡単ですが、感情的に嫌悪しても何も解決しません。
 むしろ、米国と中国の両方とコミュニケーションがとれる立場を利用して、日本の未来を描いていくべきでしょう。僕自身は「プライバシー権」を大切にする社会であることが、国際競争上マイナスにならずに、むしろアドバンテージになるように、EUが定めたGDPR(一般データ保護規則)に積極的に賛同し、ASEANなど他の国を巻き込んでいくのが、日本の国益に沿った行動だと思っていますが、まずは現状の国際情勢と近未来の姿を中国というフィルターを通じて見ていくことがとてもとても重要だと思います。 


 近年の中国の素晴らしさと課題と日本人にとってのリスクをしっかりと掘り下げためちゃ有益な本なので、ぜひ、読んでみてください。

モチベーションあがります(^_-)