見出し画像

「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN」 佐宗 邦威

 多くの人に有益な学びの多い本です。従来のビジネスに関する思考法を、4つに分けて、本書が薦める「ビジョン思考」のポジションにとその意義を、図やイラストも使って、わかりやすく伝えています。
 効率を重視する「カイゼンの農地」では、PDCAサイクルをまわして、生産性を高める方法は、従来のスキームが根本から変わっている時代には通用しないリスクがあるという指摘には同感です。併せて、PDCA回すならAIの方が上手というのもその通りです。「VUCAの霧」はダボス会議で語られている言葉なんですね。Volantility(変動)、Uncertainly(不確実)、Complexity(複雑)、Ambighity(曖昧)でVUCAだそうです。
 ITサービスのプラットフォーム事業などが象徴的な、「戦略の荒野」という言い方も面白かったです。まさに資本主義的な価値観ですが、パワーゲーム明け暮れると疲弊してしまう、つまり持続可能では無いという指摘も示唆に富んでいます。
 戦いに疲れて、「デザインの平原」に魅力を感じるようになるというのも、もっともな話です。デザイン思考では、「手を動かす(プロトタイピング)」「五感を活用する(両脳思考)」というやり方が基本で、生活者の課題をみんなで解決するという「人間中心共創」に向かうというのもわかりやすかった。いわゆる美的センスというか才能と「デザイン思考」は無関係というのも腑に落ちます。

 同時に、デザイン思考だけでは限界があることも指摘しています。SNSの発達もあって、日常的に「他人の目」を意識するようになって、思考する際に、「他人脳」になっていう指摘は、個人的にはなるほどと唸りました。そこで必要なのが、余白を作って、妄想を駆動力に創造を行う「ビジョン思考」だというのが本書の骨格です。

 そのための具体的なTipsも数多く紹介されています。僕も早速やってみようと思うことがいくつかありました。
・ノートに手書きで毎日、自分の感情を書く「感情ジャーリング」を行う
・何もしない「余白」の時間を意図的に作って、スケジュールに入れておく
・自分の好きだったものの画像を集めて、コラージュをつくる「偏愛コラージュ」。photopin.comを活用して画像を集める
・1単語1イラストの視覚化トレーニング
・当たり前のものを要素分解して、逆のことを書く「あまのじゃくキャンパス」

 久々に、自分の生活に取り込もうと思わされる書籍と出会いました。さくらインターネット田中社長のFBでの投稿がきかっけです。感謝。

 著者が公開しているSLIDESHAREやnoteのアカウントも有益だと思うので、共有します。



この記事が参加している募集

note感想文

モチベーションあがります(^_-)