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音楽ファンはマストシー!何度観ても僕が泣いちゃう理由を話そう〜 『THE COMMITMENTS』そして『ONCE ダブリンの街角で』

 1991年公開のアイルランドのワーキングクラスの若者がバンドを組んだ話。『ザ・コミットメンツ』を僕に観るように薦めたのは、Kittyというヒットレコード会社を一代で築かれた多賀英典さんでした。当時、多賀さんは経営が傾いたKitty Recordをユニバーサルグループ(当時はまだポリグラムという名前でした)に売却、オーナー社長から雇われ社長に代わり、新しいスターを生み出そうとされていました。縁があって、そのプロジェクトに加えていただいた僕は、SWITCHという8人組のバンドをマネージメントを担当しました。1995年頃のことです。最初に観た時は、バンドカルチャーを上手に描かれた良い音楽映画だなと思ったのですが、何年後かに二度目に観た時は号泣しました。以来、涙なしにはエンドロールを迎えられません。理由はもちろん、個人的な体験が重なってくるからです。

 音楽を好きにとって、バンドにはロマンがあります。自分たちの力で新しい価値観を生み出して、世の中をひっくり返してやる、そして大金持ちになる、というのがバンドの原点です。音楽好きはバンド好きで、夢をみます。『ザ・コミットメンツ』の主人公は、バンドマネージャーです。メンバーを集めて、自分の夢を託すのです。バンド内で勝手に恋愛して活動に支障が出たり、長い時間を過ごす中でわがままなちょっとした言動で喧嘩が起きたりします。「バンドあるある」を上手に物語として描いています。
 バンドメンバーの野放図で思慮の浅い言動に翻弄されるマネージャーの心情に感情移入しています。感動しながら「もう具体的な事件は忘れても、まだ心に傷跡が残っているんだな」と苦笑いしてグラスを傾ける自分がいます(笑)。

 僕がこの映画で一番好きな台詞は、ソウルミュージックのバンドメンバーを集めようとする主人公マネージャーのジミーが「アイルランド人はヨーロッパの黒人だ。 ダブリンっ子はアイルランドの黒人だ。ダブリン北部に住んでる奴はダブリンの黒人だ。」(The Irish are the blacks of Europe. Dubliners are the blacks of Ireland. North Dubliners are the blacks of Dublin.)」です。

 U2やシドニーオコーナー、ギルバート・オサリバンなどを産んだアイルランドは音楽好きには魅力的な国ですが、経済的には貧しく、イギリスに対してコンプレックスもあるのでしょう。その真っ直ぐさが素敵です。
(ちなみに、アイルランドは見事に「リープフロッグ」で経済的に成功したそうですね。興味深い話です。)

 訪れる機会がまだ持てずにいるのですが、ダブリンは一度訪れてみたい街の一つです。そして、『ザ・コミットメンツ』の後には、必ず紹介しなければならない映画があります。『ONCE ダブリンの街角で』は、低予算で作られた地味な音楽映画ですが、世界的にヒットしました。『ザ・コミットメンツ』で気の弱いギタリスト役を務めたグレン・ハンサードが、主役でです。パットしないミュージシャンになっていたグレンが、この映画をきっかけに成功を掴むという以下にもミュージシャンのサクセスストーリーを呼んだ映画でもあります。主題歌「FALLING SLOWLY」がアカデミー賞歌曲賞を受賞し、サウンドトラックはグラミー賞にノミネートされました。
 公開時に観た映画館がどこだったか思い出せないのですが、渋谷の街角が違った光景に見えたのを覚えています。心にゆっくりと染み入ってくるたいぷの音楽であり映画です。

 GWに家で浸れる音楽映画を紹介しようと思い、久々に、そして2作続けてみましたが、幸せな気持ちになれました。派手な楽しさではなく、ダークブルー調の少し抑えめの色彩の幸せ気分ですが、コロナ禍の世の中の喧騒から気持を離して、クールダウンするにはよい映画だと思います。アイルランドウィスキーをグラスに持ってというのも良いかもしれません。

 『ザ・コミットメンツ』はU-NEXTで(1ヶ月無料体験有)、『ONCE』は、YouTubeの有料レンタルで観ることができました。是非、ご覧になって下さい!オススメです。

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