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むすびに(全文公開)〜『音楽業界のカラクリ』サポートページ

むすびに~デジタルとグローバルに乗り遅れた国がリープフロッグするためには?~

 業界概要を紹介するシリーズ書ですから、個人的な見解は控えて、経済産業省の「デジタルコンテンツ白書」編集委員を10年務めた経験を踏まえて、ファクトベースで書いたつもりです。
 ただ、ベースにある問題意識として「音楽ビジネスが生態系ごと構造変換して、デジタルとグローバルの時代になっている」という立場は通底しています。そして日本が世界の潮流に大きく乗り遅れたことへの危機感を強く持っています。
 2016年に書いた『新時代ミュージックビジネス最終講義』を読んでいただくと、筆者の問題意識が当時から変わっ ていないことと、そして、そのときに語った内容が的を射ていたことがご理解いただけるかと思います。日本の音楽業界は大ピンチです。ピンチはチャンスと昔からいいますね。高度成長期の成功体験から変化を恐れて没落しているのは、日本の多くの産業界で起きていることですが、音楽業界もCDバブルの夢想を続けて、デジタル化という変化に大きく乗り遅れました。
 大げさではなく、世界で一番ITが遅れた国になった日本は、遅れたがゆえに大きく変われるリープフロッグ(蛙跳び) のチャンスが巡ってくるはずです。それがWeb3のタイミングであれば、再び世界のトップランナーになれるチャンスとなるでしょう。

 第7章のパイオニアたちが口々に語ってくれているように、日本の音楽は大きな可能性を持っています。
 多様性と歴史をもったポピュラー音楽の蓄積は世界有数です。アニメやコミックのお陰で、世界中に潜在ファンも存在しています。いまは、有効性を失った「昭和の仕組み」が阻害しています。僕らの世代には、不要になったものは壊し、 整地する責任があると思っています。障害物をどけさえすれば、ポテンシャルを持った若い世代が、日本カルチャーを背負って、グローバルで活躍してくれると信じています。

 多くの人たちに助けられ、支えられながらの人生ですが、本書の執筆も同様でした。この場を借りて改めてお礼を申し上げます。特に、忙しい中に時間を割いてくれた一六人のパイオニアたちに感謝です。一緒に音楽界をアップデートしていきたいです。的確なレポートをまとめてくれた脇田敬大阪音大教授(通称:ワッキー)とも引き続き連携していくつもりです。
 また、データのリサーチの読者目線での表現については、ニューミドルマンコミュニティで活躍している俊英・飯島光繕君にアシスタントとして活躍してもらいました。特に韓国パートはK–POPファンの彼がまとめてくれた内容です。 そして、見落としとケアレスミスが多い僕をいつもサポートしてくれる大河内泉さんがいなければ、脱稿までたどり着くことはできなかったことでしょう。ありがとう。今後もよろしくお願いします。

 本書が未来の音楽界、そして日本の国力向上のために少しでもお役に立てれば、この上ない幸せです。

 2022年7月 災天下の東京・谷中にて脱稿。

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モチベーションあがります(^_-)