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マルクスは置いておいて、地球環境について新たな視座を持てる「人新世の資本論」をススメます。

 久々に、脳みそを揺さぶられる本でした。地球温暖化や構造的な経済格差が人類の本質的な問題として目の前にあることは認識していたつもりですが、正直なところ、思考は停止していました。その根本原因に経済成長を希求する資本主義があることと、対策法があることを明確に提示してくれた本です。「人新世」というのは、地球を歴史としてみた時に、人類が地球環境に(悪しき)影響を与えるようになった時代を意味する言葉だそうです。現状維持を正当化し固定化してしまうスキームとして、従来のグリーンニュディールやSDGsもクールに批判しています。
 僕はマルクス主義にかぶれた時期はないので、「資本論」の読み替えに心揺さぶられませんし「マルクスの再研究、再評価」としてこの論考にどのくらい説得力があるのか、評価できませんし、興味もありません。
 ただ、2020年に地球上に生きる者として考えるべきテーマをしっかり受け取りました。フランス人経済学者ピケティの富裕層の資産への課税が必要という理論が数年前に話題になりました。行き過ぎた資本市場への警笛といて一定の意義は会ったと思いますが、僕は正直あまりピンときませんでした。そんな中で1987年生まれの日本人研究家が世界に真っ向から問題提起したことは嬉しいです。
 世代間論争としては、日本の団塊世代の逃げ切り感覚に対する指摘は痛烈です。著者は北欧の活動家グレタなどZ世代の環境感をデジタルネイティブによるグローバル市民感覚だと述べています。
 リベラル云々という話ではなく、資本主義の限界と、環境問題への対応という意味で、左翼の「革命」ではない対処方法を考えたいと思いました。脱成長コミュズムという考え方は有効性がある気がします。

 SDGsを始めとする従来の「持続可能性」理論が、結局は資本主義構造に取り込まれてしまっていて有効ではないことを描き出したこの本を読んで、自分ができることを考えていきましょう。オススメです!

<知らなかった気になったことのメモ>
 荒廃後のデトロイトにコモンズ化が起きているらしい  (P294)
 古代ゲルマン民族の「マルク共同体」がイケてたらしい。(P181)
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