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レコード会社はVCに似てる?似てない?音楽界の構造変化を体感しよう

 デジタルベースになった音楽ビジネスについて実践的に研究するコミュニティ「ニューミドルマンコミュ」は、「ニューミドルマン養成講座」の発展形として2年前から活動しています。コロナ禍でも、月二回のONLINEイベントを続けていますので、興味の有る方はpeatixをチェックしてみて下さい。
 MIDIA RESERCHという僕がチェックしている英語メディアに興味深い記事があったので、コミュのFBグループでシェアしつつ、「日本語訳やりたい人?」と声かけたら井上くんが手を挙げてくれました。英語堪能とは言えない彼が、外国人の友人にも相談しながら翻訳した記事はこちらです。日本語はこなれてない部分もありますが、内容的には合っていると思います。これからの音楽ビジネスに関して示唆に富む内容です。

 元記事はこちらです。

 これからのレコード会社の存在意義をVCを比較して、共通点、相違点を整理しています

相違点はすぐに収益機会があること

 レコード会社がVCと違うのは、投資直後から収益機会があることとしています。適切な指摘ではあるのですが、日本の音楽業界で長く仕事してきた僕から見ると、アメリカの話だなと言う印象も同時に持ちます。日本ではアーティストの育成期間にも予算と労力を投入してきました。音楽事務所の注力ポイントの一つでもありました。ただ最近は、デジタルによる低廉化で、アーティスト自身が音楽制作のかなりの部分をやれる環境が整ったこともあり、日本もアメリカ的になってきています。

アーティストと起業家の共通点は?

 起業家の初期のリスクマネーをVCが提供して、スタートアップがローンチするように、音楽家もレコード会社の資金とその他の機能を利用して、活動を活性化させていくと言っています。この対比は興味深いですね。
 アーティストマネージメントを出自とする僕は、起業家と向き合う時のマインドはマネージャーです。その人が潜在的に持っている才能を最大化するように環境整備や思考の整理のサポートをするという意味では同じだなと思っているので、VCとレーベルの類似性も肌感として理解できます。僕が思うのは、「アーティストは失敗すると、十中八九、誰か(レーベルや事務所)のせいにするけれど、起業家は自己責任で受け止める」ということです。「だから起業家は好き」なのですが、これからは日本人アーティストも起業家マインドを持って、セルフマネージメントできなければ、成功に近づくことはできないでしょう。

グローバル化を促進する2030年までの指針「ENTRE MUSIC VISION」

  革命的な変化を及ぼした「デジタル化」によって音楽ビジネスの構造が根本的に変化しています。CDとマスメディアの機能が快適だったため、世界で一番ITが遅れた国になっている日本の音楽界も変わっていかなければ、このまま衰退してしまいます。
 StudioENTREは、2030年までにグローバル市場にコミットするためのビジョンを発表しました。こちらをご覧ください。

 音楽ビジネス生態系のイノベーションを起こす事業に挑戦する起業家のためのインキュベーションプログラムも始めます。厳選した15〜20人のプログラムにするつもりです。音楽関連での起業を考えている人は、是非、チェックしてみて下さい。

 第一線の音楽家と起業家がコミュケーションを取る機会が日本でも必要だと思い、グラミー賞ノミネーターのStarRO、海外でも人気の劇伴作曲家林ゆうき、長く音楽シーンでヒット曲を産み出してきた一流プロデューサー、浅田祐介、鈴木Daichi秀行などにスペシャルメンターとして関わってもらっています。
 今月はプレイベント的に毎週セミナーをやっているのですが、いきものがかりの水野良樹さんとの対談も9/18に行います。すべて無料でオンラインですので、是非、参加してみて下さい。

 ENTRE MUSIC VISIONでは、音楽に特化したデジタルマーケター育成プログラムも第一期を実施中です。熱量の高い30人が最先端の情報に基づいて、実際にアーティストのマーケティングを行う後半戦が始まりました。
 来年からは大阪音大と連携して、アーティスト自身をブラッシュアップするアクセラレーションプログラムも準備中です。

 デジタルによる構造変化は本質的かつ不可逆的なので、音楽を仕事にしようとする人の最優先課題は「デジタルとグローバル」だと、10年間言い続けてきました。
 既存プレイヤーが変革を遅らせてなんとか引っ張ってきた昭和/平成の仕組みも、コロナ禍で限界が露呈し、いよいよ待ったなしになっている2021年。それぞれの立場で音楽界のUPDATEに取り組みましょう。

●これからのレーベルの役割に関する投稿

 未来志向で音楽ビジネスについて知りたい人は、ニューミドルマンコミュニティにご参加下さい。月二回のイベントはpeatixでチェックできます!
 以前は、LAで活躍する日本人作曲家ヒロイズムを招いたイベントでレーベルの役割についても議論しました。


モチベーションあがります(^_-)