見出し画像

「宣伝は伝言ゲーム?」〜音楽のチカラを信じて宣伝しよう!

 本章は宣伝・販売となっていて、ファンクラブやグッズのことまで一つの賞にまとまっているのが音楽ビジネスの現状を示している。ここでも従来の壁はとけていて、どこまでが知ってもらうための行動で、どこからがマネタイズなのかの線引は難しい。ユーザー数が増えているAbemaTVはインターネットと従来のTVの中間で象徴的だ。TVの進化系と捉えるのが妥当だけれど、アメブロで成功したサイバーエージェントはやがて様々なサービスをつなぎこんでくるだろう。放送法に縛られていないので、eコマースとの接続も自由自在だ。CHERRZやSHOWROOMは宣伝しながらお金を稼ぐことができるサービスだ。これらのサービスは宣伝メディアとファンクラブの両方の側面を持っている。
 ITサービスでは、無料と有料を組合せた「フリーミアムモデル」が全盛だ。マネタイズポイントを設定の巧拙で、ユーザーが集まっていても倒れていくサービスも少なくない。音楽ビジネスもフリーミアムモデルのマネタイズポイント設定が重要になってきている。
 また、SNSの時代は、情報は人から人に可視化されつつ伝わっていく。ユーザー同士が何を伝えてくれるのかも宣伝戦略として重要だ。日本ではあまり使われないEPK(エレクトリックプロモーションキット:ネット上に音源やプロフィール写真を置いておくこと)をユーザーに公開していくのもこれからは効果的になっていくだろう。
 アーティストの数だけ戦略はある。そのアーティストの音楽性、キャラクターなどにフィットした宣伝戦略を持つ必要がある。
 そんな時のTIPSを2つ紹介する。
 最も効果的な宣伝方法は「現象にする」。マスメディアは宣伝に協力したいのではなく、面白い社会現象を取り上げて伝えたいのだ。特にテレビは、「現象を紹介する」メディアという認識が強い。新聞で言えば社会面の取り上げられるような価値を作れれば、自然に紹介されていく。一つの話題を呼ぶ動画投稿がTwitterで拡散されることも少なくない。音楽そのものと言うよりも「現象」が広まったという理解がわかりやすいだろう。そして、Twitterで膨大に拡散されれば、その事自体が「現象」になる。
 もう一つは、友人の俳優事務所社長の受け売りだ。何人もの俳優を政治力を用いずに成功させた彼に、その秘訣を訊いた所、「営業って好きの伝言ゲームだよ。少しずつ薄まっていくから、最初は150%好きって伝えないといけない。」それが少しずつ薄まって、プロデューサー、監督、と伝わっていって、最後はユーザーに届くんだと思う。」けだし名言だと思う。
 宣伝は伝言ゲームの一人目なのだ。わかりやすく、かつ熱く伝えよう。

『ミュージシャンが知っておくべきマネジメントの実務 答えはマネジメント現場にある!』(2017年9月刊)Chapter.6「活動を広げ収穫する宣伝・販売の現場」から

 SNSに栄枯盛衰は付きものだ。このコラムを書いた3年前にはTikTokは無かった。SNSの初期衝動をうまく利用できるとアーティストや楽曲の拡散に実力以上のプラスアルファを乗せることができる。また、ストリーミングサービスが広まってきたことで、プレイリストPRの活用が日本でも徐々に広がってきた。これらのPRはメディア費用がかからないことがほとんどで、作品の力を信じた人の丁寧な作業の価値はますます高くなっていると思う。


モチベーションあがります(^_-)