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子どもが電車に忘れた鬼滅リュック 親切な人の助けとAirTagの力で30分で回収した話

正月をちょっと過ぎたあたりのこと。実家の所沢に遊びに行った。コロナ禍で親族一同が集まるイベントはせず、それぞれが別のタイミングで顔を出すことにした帰りのことだ。

男子8.6と女子6.5は久しぶりにおばあちゃんに会って喜び、また先送りしていたクリスマスプレゼントも買ってもらい、ご機嫌で帰途についた。

西武池袋線で所沢までまず行き、そこから特急に乗るのがいつもの帰宅パターンだ。親としては特急料金なしで帰宅しても時間はほとんど変わらないことを知っているのだが、特急に乗りたがる子どものリクエストには弱い。最近はガラガラなので中途半端に混雑している電車で1時間ほど移動するより気が楽でもある。

所沢まで2駅移動し、いつものとおり降りた。電車が発車し特急を待ち始めたら、男子8.6がリュックを置きっぱなしにしたことに気がついた。

背負った格好のまま座っていたので、そのままかついで降りてくると油断したら、肩紐を外してシートにリュックを下ろしていたらしい。

本人はSwitchに夢中で気がつかず、親もたまたま振り返って忘れ物をチェックしていなかった(いつもはそうするのに!)。

こうなると特急に乗り換える場合ではない。改札に行って途中駅で回収をお願いした(このとき、何時の便で、何両目かが即答できると話は早い)。駅員さんは、急行待ち合わせで停車時間が長い駅にピックアップを頼むので数十分待ってくれという。

リュックはアニメ「鬼滅の刃」で主人公の炭治郎が背負っている桐箱風のものだ。アニメの中では日中、妹の禰豆子がその中で眠っている設定となっている。とんでもなく目立つものなので、探せばすぐみつかるだろうが、盗難されるリスクも相当ある。

忘れた本人を、体裁としては叱ってみるものの、こればかりは駅員さんにお願いして待つしかない。子どもに聞くと、お気に入りのぬいぐるみなどを詰め込んであるという。これはこれで戻ってこなかったら一騒動ありそうだと案じる。

長期戦を覚悟したところで子どもが「Suicaもなくなっちゃったよー!」と声を上げた。カラビナでリュックのひもにぶら下げていたのだからそりゃそうだ。しかし、ここでふと気がついた。

Suicaには盗難対策でAppleのAirTagをくっつけてある。iPhoneの「探す」という機能でGPS情報をたぐって位置が把握できるという代物だ。リアルタイムで更新されるわけではないが、子どもが一度Suicaを盗られたことがあって(残高ゼロでどこかに捨てられてしまった)、対策につけておいたものだ。

「あれ、これを使えば現在地が分かるんじゃないか!」

震える手でiPhoneの「探す」アプリを立ち上げる。なんと、数駅隣の「清瀬駅」にAirTagが表示されるではないか!

「いやいや、今そこに停車しているだけかもしれない」と冷静に時計を確認したところ、すでにその駅を電車は過ぎている案配で、かつAirTagの情報がほぼリアルタイムであった。少なくとも、荷物は清瀬駅で「下車している」。

「いやいや、誰かが持っていってしまったのかも?」と思ってみたが、数分経っても場所は移動する気配がない。地図のプロットされる情報を判断する限り、乗客が下車時に持って降りて駅係員に届けてくれたのではないか!?

先ほどの改札に駆け込み、かくかくしかじかと伝えたところ、清瀬駅に連絡を取ってくれた。

連絡が取れ、荷物が確かに改札に届けられているという。ありがたいことに、乗客の方が下車する際に荷物を改札に届けてくれたようだ!

そこからは、すぐだった。各駅停車に乗って清瀬駅に行き、名前を告げると、なくした鬼滅リュックが出てきた。中身もざっと確認したところ不足はないようだ(後で気づいたが、ガチャガチャで取った鬼滅の刃の剣が一本なかったようだ。内容確認時にこぼれ落ちたのだろう。これはさすがに仕方がない)。

駅係員にお礼を述べ(もちろん子どもにも頭を下げさせる)、帰宅の途についた。

(ちなみに妻と娘は別行動で特急で帰宅させた。特急券は2枚だけ直前キャンセルができたので損もなく、これもありがたい話だ。オンラインチケットシステム万歳である)

……長い話になって恐縮だったが、GPSで場所をチェックできる機能は素晴らしい、ということだ。スマホも、ちゃんと設定しておけば友人のスマホから紛失場所を特定することができる。財布には小さなタグを入れておくことで盗難後の回収も可能になる。初期設定だけの手間なので、やっておくことはつくづく大事だ。

そして、何も盗まずに駅に届けてくれた乗客の方には本当に感謝したい。おそらく、私たちがドタバタと駅に降りたときに「??」と思ったのだろうが、子どもの大切なものなのだろうと察して、自分が下車したときに駅に預けてくれたのだから。

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