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2020年ドラフト事情① 高校生編

どうも、やまけん(Twitter:@yam_ak_en)です。今回から3回に分けて「2020年ドラフト事情」と題して来年のドラフト候補の情報について発信していきたいと思います。第1回となる今回は、高校生編です。

2019年のドラフトでは、1位指名で競合した佐々木朗希(投手・大船渡→千葉ロッテ)・奥川恭伸(投手・星稜→東京ヤクルト)・石川昂弥(内野手・東邦→中日)を筆頭に数多くの高校生選手が指名されましたが、果たして来年の高校生ドラフト候補はどうなのでしょうか?

現時点で「1位確実」は…

来年の高校生ドラフト候補市場の特徴としては、比較的どのポジションにも選手がいるため、プロ球団側は各球団の編成事情に合わせたドラフトができるのではないかと見ています。一方で、佐々木や奥川といったように、現時点でドラフト1位確実と見られている選手は誰もいません。高校生は一冬超えてからが勝負とよく言われますが、この点はやや寂しい印象を抱いてしまいます。後日記事を公開しますが、来年は大学生ドラフト候補が豊作ということもあり、もしかしたら直接プロに行くよりも大学を経由して4年後の上位指名を志向する高校生が増えるかもしれません。

投手

投手で最注目株は明石商業・中森俊介です。既に1年夏から甲子園のマウンドを経験しており、ご存知の方も多いかと思います。高校2年生ながら完成度が高く、「奥川2世」と呼ぶ声も聞こえてきます。夏には甲子園で最速151キロを計測し、同時期の奥川と比べると球速では中森の方がわずかに上回っています。

中森俊介(明石商業)

完成度が高い一方で、現状の中森は何かひとつ突き抜けたものがないように思われます。プロの世界に混ぜた時に「自分はこれで勝負する!」という武器を身につけられればドラフト1位指名もあるかと思います。

もう1人、投手で注目株を挙げるとすれば中京大中京・高橋宏斗を推薦したいです。この秋、東海大会を制して挑んだ神宮大会では最速148キロをマークしチームの優勝に大きく貢献。一躍、その名と噂が全国に広まりました。

高橋宏斗(中京大中京)

183cmの身長ほど投球フォームの角度は感じないものの、恵まれた体格に搭載されたエンジンは一級品で、11月の寒い神宮球場でもコンスタントに145キロ前後のボールを投げ込んでいました。この冬を順調に過ごすことができれば出場が確実とされている春のセンバツで150キロを計測できるでしょう。130キロに迫るスライダーとスプリットで空振りを奪うことができ、球速上昇に伴ってこの2球種も伸びればドラフト1位で名前が呼ばれるかもしれません。
春のセンバツでは大半の学校が対策を組んで挑んでくることでしょう。そこでこそ真価を発揮してほしいです。

この他、木更津総合のエース・篠木健太郎や常総学院の菊地竜雅など既に150キロを計測したという右腕がいますし、横浜の187cm左腕・松本隆之介や静岡商業の高田琢登など、左腕にも好素材が揃っています。写真付きで紹介した2人だけでなく、大分商業の川瀬堅斗など、センバツ出場が有力視されている学校にも好投手が揃っているので、一冬越えた姿に期待してみたいと思います。

野手

一方の野手はどうかというと、冒頭にも書いた通り各ポジションごとに選手は揃っているものの絶対的な選手は現時点ではまだ現れていません。そんな中で最注目株を挙げるとすれば中森と同じ明石商業で1年夏から甲子園を経験している来田涼斗になるかと思います。

来田涼斗(明石商業)

既に甲子園でも3本のホームランを放っている長打力に攻守に活きる50m5.9秒の脚力を兼ね備えています。最大の魅力は大舞台で最高の結果を残すメンタリティー・スター性だと思います。2年春のセンバツでは同じ試合の1回裏に先頭打者ホームラン、9回裏にサヨナラホームランを記録する離れ業をやってのけています。
同じ高校生外野手で2018年のドラフトで1位指名を受けた藤原恭大(大阪桐蔭→千葉ロッテ)2世と呼ぶ声が各方面から聞こえてきますが、技術的な面で見たら当時の藤原には現状劣っていると言わざるを得ません。正真正銘の藤原2世・ドラフト1位を目指すのであれば、走攻守すべてにおいてもう一段階の成長を望みたいところです。

来田とは別の右のホームランバッターとして、東海大相模・西川僚祐がこの世代の野手の双璧に挙げられるかと思います。粗さはあるものの186cm92kgという恵まれた体型から火の出るように速く、そして大きい打球を打てるのが魅力です。

西川僚祐(東海大相模)

現時点で高校通算53本塁打と、同校OBの大田泰示(現・北海道日本ハム)の持つ65本という記録を超えてきそうな勢いです。「彼に金属バットを持たせるのは危険だ」という冗談が出るくらい、迫力のあるスイングで投手に襲いかかります。
ツボに入った時には場外まで運ぶパワーを持ち合わせながら、現状崩されて脆さが見える場面も少なくはありません。2年秋からは徐々に改善傾向が見られますが、多様な投手の多様なボールに対応できる力を備えられるかが鍵となりそうです。足や守備で売る選手ではないので、打撃でいかに存在感を発揮できるかにかかっています。プロのスカウトが好きそうな原石タイプですし、出場濃厚とされている春のセンバツやそれ以降の試合で存分に自分をアピールして1位指名を勝ち取ってもらいたいです。

来田・西川の他にも外野の好選手が多く、智弁和歌山・細川凌平は足とバットコントロールが、花咲徳栄・井上朋也は西川と同列で語れるパワーが持ち味の選手です。ドラフトでは外野手の優先度は比較的低く、指名を後回しにされる傾向にありますが、彼らがプロ側に最終的にどのくらいの評価を受けるかは見ものです。
他のポジションだと内野手・とりわけ遊撃手に好素材が集まっていると感じます。習志野・角田勇斗は抜群の守備の安定感に加えてここぞの勝負強さが光り、近江・土田龍空はバットコントロールや守備の所作など随所に高い野球センスを感じさせる玄人好みの選手です。ショート以外の内野手だと、横浜・度会隆輝の卓越した打撃センスには一見の価値があり、ライバルである東海大相模を倒して夏にもう一度甲子園に出てきてもらいたいです。
捕手は昨年ほどタレントは揃っていませんが、山瀬慎之助(読売)の後を継いでショートからコンバートされた星稜・内山壮真はまだ捕手としての課題はあるものの二塁送球1.8秒台というタイムを計測する肩の強さと握り替えの速さは既に十分プロ注目レベル。成田・古谷将也京都外大西・山下航汰など、今後全国に出てくれば騒がれるであろう選手も揃っているため、彼らのアピールに期待です。

高校生は別人のように成長する

ここまで、来年のドラフトにおける高校生の候補選手についてざっくりと書いてきました。冒頭にも書いたとおり現時点では投手・野手ともに1位指名確実級の選手はいませんが、一方で高校生は一冬のうちに別人のように成長するのも事実。一冬明けてからも春・夏・そして引退後と成長を遂げ、ここでは名前を取り上げられなかった選手もドラフト当日に名前を読み上げられる可能性があります。
最近では、育成選手主体の三軍制を敷くNPB球団が増えてきており、そういった球団が下位や育成指名で高校生を指名することも増えています。高卒即プロ挑戦にも進学にもメリットとデメリットの両面があるためここでは一概にどちらを選択すべきだとは言いませんが、選手には自分自身にとっての最適な進路を定めていただきたいです。そして1人でも多くの選手に自分自身の夢を叶えてほしいと思います。

やや話が逸れてしまいましたが、最後にこの世代の主なドラフト候補35人をリストにして載せておきます。参考程度に目を通していただけると幸いです。

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