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三軍制と育成選手の今後の展望

あけましておめでとうございます。やまけん(Twitter:@yam_ak_en)です。年が明けて2020年代に突入してしまいました。2010年代のNPBの10年間を振り返ると、セ・リーグで最も多くリーグ優勝をしたのが読売ジャイアンツ(4回:2012,2013,2014,2019)、パ・リーグでは福岡ソフトバンクホークス(5回:2010,2011,2014,2015,2017)となりました。この2球団に共通しているのが、「三軍制」を導入していることです。

近年、三軍制を導入している上記2チームがリーグ内で結果を残していることもあってか、三軍制の導入に動く球団が徐々に増えてきており、埼玉西武ライオンズが2020年から、オリックスバファローズが2021年から三軍制を導入するとのことです。(当該記事のリンクを下に載せておきます。)

やや前置きが長くなってしまいましたが、今回のnoteでは三軍制についてと三軍の「主役」とも言える育成選手について書いていきたいと思います。野球ファンのみならず、プロを目指すアマチュア野球選手の方にも読んでいただければと思います。

三軍制とは

三軍制を最も簡単に説明するならば、「第二の二軍」という言葉が適切かと思います。
現在、NPBの球団は最大70名の選手と支配下契約を結ぶことができ、そのうち一軍に登録される選手は29名なので、単純計算で約40名の支配下登録選手は二軍にいることになります。二軍には、一軍登録されない支配下登録選手の他にも制度上一軍登録できない「育成選手」がいます。

NPBにおける二軍の主な目的として、「主力選手の調整」と「若手選手の育成」の2つが挙げられるかと思います。一軍で期待されていた結果を残せなかったり、故障をした選手が一軍に再度昇格するための調整の場でもあり、それと並行して数年後のチームの主力になり得る若手の育成のために出場機会を提供する場でもあります。
しかしながら、支配下の二軍選手40名+育成選手の全員に平等に調整あるいは育成の機会を振り分けることは容易ではなく、仮に全員に均等に機会を振り分けたとしても一人当たりの出場機会数は限られ、かえって調整や育成の効率が悪くなることが予想されます。

これを解決しうる手段のひとつが「三軍制」の導入です。二軍とは別に新たにチームをつくり試合数を増やすことで、調整と育成それぞれの機会を増やすことが三軍制の狙いです。三軍制を敷くことで、若手選手が三軍の試合で出場機会≒経験を積むことができるほか、二軍でより多くの選手が調整のための出場機会を得て一軍昇格にスタンバイすることができるというメリットもあります。2019年時点で、冒頭に挙げた読売とソフトバンクの2球団が三軍制を組織しています。広島東洋カープにも三軍がありますが、現時点ではこちらは主に故障者のリハビリ組という位置付けに近いようです。

三軍は国内の独立リーグの球団や社会人、大学の野球部と試合を組むことを主としていますが、韓国や台湾に遠征して現地のチームと試合を行うこともあります。ただし、いずれも公式戦ではないため、公式記録は残らないことになっています。現時点では当然リーグ化もされていませんが、近い将来三軍制を導入する球団が増えれば、リーグとして正式に組織される可能性もあると個人的に思います。

三軍制のメリット・デメリット

三軍制のメリットとしては、まずは既に先ほど書いたとおり試合数が増えることで従来よりも出場機会が増えることが挙げられます。二軍を調整が主たる場、三軍を育成が主たる場とすれば、一軍に有事の際も二軍で充分に準備された選手が昇格してチームの戦力低下を防ぐことができ、またその間も三軍で若手選手をじっくりと焦せらせることなく育成することが可能になります。読売やソフトバンクでは故障をした主力選手が三軍の試合から実戦復帰するケースもあり、復帰までにしっかりと段階を踏んで調整をすることも可能となっています。次に、アマチュアの選手にとって、プロ入りの可能性が上がることもメリットになるかと思われます。三軍制を敷く為にはそれだけ多くの選手が必要になり、三軍制を導入したり導入を検討している球団は必然的にドラフト会議で多くの選手を指名することになります。読売やソフトバンクは一度のドラフトで育成選手だけでも5名以上の選手を指名することがありますし、昨年のドラフトでオリックスは計8名の選手を育成指名しました。社会人企業チームの選手は後述の理由により育成指名されることはないものの、それ以外のアマチュアや独立の選手にとっては夢のNPBにより近づくことができます。また、三軍との試合が組まれる独立リーグや大学・社会人チームの選手にとっては、自分の実力を測るためにもってこいの相手にもなり、より自信をつけたりNPBを意識することにもつながるのではないかと思います。

一方で、デメリットとしては何より費用がかかることが挙げられるかと思います。低年俸の若手選手・育成選手が中心とはいえ、選手を保有するためには当然費用がかかります。当然ながら三軍にも監督やコーチが必要となりますし、打撃投手やブルペンキャッチャー、マネージャーなどの球団職員も増員しなければなりません。彼らまで含めた「人件費」が問題になってきます。また、三軍のための球場や練習設備、合宿所などを新設したり現存のものを拡張したりするための費用も決して安いとは言えず、多くの球団が導入に踏み切れない理由もここにあると思います。読売とソフトバンクという資金力のある2球団が三軍制を敷いているのも偶然ではないはずです。莫大な費用がかかるであろうことを考えると、今後三軍制を導入する球団は、球団単体での収支の黒字化を目指すことはもちろん、オーナーや親会社等からの理解を得て、財政的な支援を引き受けられるかが鍵になるのではないかと考えられます。三軍制の導入を検討する球団が、今後財政面でどう動くか注目したいところです。

三軍の主役となる「育成選手」

ここからは、三軍制の主役となりうる「育成選手」について書いていきたいと思います。育成選手制度とは、最大で70名の支配下登録選手の他に球団が選手を保有できる制度のことで、規定により背番号は3桁となります。社会人野球チームをはじめとするアマチュア野球チームの統廃合などが相次いでいた2005年に、野球選手の裾野を広げ、かつ将来有望な選手を育成するという目的で導入されました。育成選手登録された状態では一軍の試合に出場することができないため、支配下登録選手への昇格が育成選手の第一の目標であるとも言えます。
通常、ドラフトで指名された選手には球団側から一定の契約金が支払われますが、育成選手には契約金が支払われることはなく、かわりに300万円程度の「支度金」が支払われます。ドラフト1位の選手だと契約金だけで1億円、下位の選手でも育成選手の支度金の10倍の3000万円程度は契約金として支払われることがほとんどであるため、その差はあまりにも大きいものです。また、育成制度の理念に「技術向上と社会教育」を掲げており、社会人企業チームに所属している選手はその理念から外れるとされ、育成ドラフト指名の対象外となります。
育成ドラフトを経て入団した選手は3年間で支配下登録されないと自動的に自由契約となることが制度として定められており、4年目以降もチームに所属するためには改めて契約し直す必要があります。

NPBでは、ドラフト会議の際に支配下登録選手を指名する、所謂「本会議」が終わった後に「育成選手選択会議(通称:育成ドラフト)」があり、そこで指名された選手が来季から当該球団と育成選手契約を結ぶことができます。昨年の育成ドラフトでは過去最多の33名の選手が指名され、制度が始まった2005年から数えて321名の選手が育成ドラフトで名前を呼ばれています。これまで最も多く育成選手を指名しているのは読売で72名、次いでソフトバンクが65名を育成ドラフトで獲得しています。この2球団は三軍制を正常に運営するためにも必然的に一定数の選手を確保する必要があり、結果として育成指名で多くの選手を獲得してきています。また、北海道日本ハムファイターズはこれまで育成選手制度を利用せずに育成ドラフトにも参加していませんでしたが、2018年に初めて育成ドラフトに参加して海老原一佳を指名、昨年のドラフトでは3名の選手を育成ドラフトで指名しました。

どのような選手が育成で指名されるのか

一概に「これ!」と言えるものはありませんが、ここでは育成指名されやすい選手の特徴を書いていきたいと思います。まず、本人に育成から這い上がるという向上心・ハングリー精神があるかどうかが極めて重要です。上述の通り育成選手は高額な契約金が支払われるわけでもなければ最初は一軍の試合に出場することすら許されないという状況からのスタートで、「プロ野球選手であってプロ野球選手ではない」ような身分とも言えます。そこから這い上がるためには並外れた精神力が重要になってくるでしょう。加えて、何か一つでもプロで通用する、あるいは「磨けば面白い」と思わせる武器を持っているかどうか。陸上選手並みの足の速さであったり、芯で捉えた時の打球の飛距離であったり、何球かに一球投げる魔球のような変化球など、プロのスカウトに「面白い」と思わせるモノがあると指名の可能性が一気に上がるように感じます。また、地方のチームで注目度が低く必然的にスカウトの視線が集まりにくいリーグ・学校出身の選手であったり、大学・社会人等とのパイプが弱い学校の選手は育成でもプロを目指す傾向にあるのではないかと思います。

逆に、高校や大学で一定の実績を残した上でプロを志望する選手や、進路のパイプが強い有名校の選手は、進路先から所謂「プロ待ち」を許可され、育成指名ならば拒否して大学進学や社会人チーム入部といった「条件付き」でのプロ志望をすることが多く、実際にドラフト前に育成での指名の打診を受けたもののそれを断って大学に進学した選手もいます。現在、日本体育大学野球部に所属し、1年生ながら二刀流の活躍で日本代表候補にも選ばれた矢澤宏太選手もそのひとりです。詳しくは下に記事を貼っておくのでそちらをご参照ください。

既に書いている通り、育成選手と支配下登録選手の差は決して小さいものではないため、矢澤選手のように大学や社会人を経由して本指名で、さらに言えば上位指名でのプロ入りを目指すという選択も決して間違った考え方ではありません。

育成からスターを輩出するソフトバンク

近年、最も育成指名で存在感を見せつけているのがソフトバンクです。スポーツ用品店の店主がスカウトに推薦したという経緯で2010年の育成ドラフト4位で指名された千賀滉大は今では球界のエースとなり、昨年はいずれも育成選手初となるノーヒットノーランの達成と最多奪三振賞のタイトルを獲得するまでになりました。他にも後に「甲斐キャノン」と評されることになる強肩が評価されて千賀と同年の育成ドラフト6位で指名された甲斐拓也や、飛び抜けた走力と走塁技術を持ち合わせていた周東佑京など、育成ドラフトで指名した選手を「育成」することに成功し、チームの戦力向上に繋げています。

育成選手出身のスターとなると、やはり元祖は読売の山口鉄也になるかと思います。制度が導入された2005年の育成ドラフトで指名された山口は2007年シーズン中に支配下登録され、その後左のセットアッパーとして3度の70試合以上登板を含む9年連続シーズン60試合以上登板、通算で642試合に登板し、長らく読売の屋台骨を支えました。2009年にはいずれも育成出身選手初となるWBC日本代表選出、タイトル獲得(最優秀中継ぎ賞)、年俸1億円突破を果たしました。読売は同時期に松本哲也も輩出し、2009年に育成出身選手初となるゴールデングラブ賞、育成出身野手として初となる新人王(投手としては前年に山口が獲得)を獲得しています。彼らの活躍から2009年の新語・流行語大賞に「育成選手」がノミネートされ、彼らの影響で育成選手という存在を知ったという野球ファンも多かったのではないかと思います。近年、読売からは彼らやソフトバンクの育成選手ほどのインパクトを残す育成出身選手は出てきていないものの、昨年一軍で75試合に出場した増田大輝や、イースタンリーグで3割以上の高打率を残し読売初となる高卒1年目での支配下登録を勝ち取った山下航汰など、今後に期待が持てる育成出身選手が揃っています。

シンデレラストーリーの裏側で…

3桁の背番号から一軍の舞台で活躍する育成出身の選手を見て、「〇〇(贔屓チーム)もソフトバンクみたいに育成で良い選手を見つけてこい!」などと不満をぶつけるプロ野球ファンを見かけることが最近徐々に増えつつあります。確かに千賀や甲斐などが育成出身と知ればそう言いたくなるファンも出てくることは容易に想像できますが、彼らの華々しいシンデレラーストーリーとは裏腹に、育成選手が指名された球団で支配下登録される割合はおよそ3人に1人(33.0%)と、決して高いとは言い切れない数字になっています。

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球団別で見ても、読売やソフトバンクの支配下登録率はすば抜けて高いわけではなく、むしろ12球団の平均を下回っています。三軍を保有し他の球団よりも多くの育成選手を抱えるこの2チームは、チーム内競争も必然的に激しくなり、結果的に支配下登録率が下がる傾向にあると考えられます。また近年では、有望な外国人若手選手を育成選手として獲得したり、復帰に一定の期間を要する手術をした選手を育成選手に一時的に降格させ、復帰した際に再度支配下選手として登録し直したりする球団が出てきているため、育成ドラフトで指名された「純粋な」育成選手がその球団で支配下登録されることは難しくなりつつあります。

熾烈な支配下競争に敗れたために3年目までに支配下登録されなかった選手が、他球団からの支配下契約のオファーを受けて移籍するケースもあります。読売の育成選手だった丸毛謙一は2011年から2013年までの3年間を読売のプレーした後、オリックスから支配下契約のオファーを受け2014年に移籍。ソフトバンクからは同様のケースで亀澤恭平が2015年に中日ドラゴンズに移籍したほか、長谷川宙輝が昨オフ育成再契約を断って東京ヤクルトスワローズに移籍、今年からヤクルトの支配下登録選手としてプレーすることになりました。選手からすると支配下登録されなければ活躍はおろか一軍に昇格する機会すら得られないため、他球団に移ってでも支配下登録を勝ち取ることがやはり第一の目標となるのでしょう。

「ソフトバンクの育成」から

ソフトバンクの育成を巡っては他にも様々なストーリーがあります。
2011年のドラフトでソフトバンクから4位指名を受けた白根尚貴は2014年のオフに育成選手に降格します。しかし2015年シーズンで支配下昇格を逃すと、同年オフのソフトバンクからの育成再契約の打診を拒否して12球団合同トライアウトを受験、その場での活躍が認められ横浜DeNAベイスターズに支配下契約で入団しました。白根はDeNAに入団する際の会見で「育成選手はプロ野球選手ではないと思っていた。」と話しています。

また、2015年のドラフトでソフトバンクに4位で指名された茶谷健太は、3年目が終わった2018年シーズンオフに戦力外通告を受け育成選手としての再契約を打診されるもこれを拒否、千葉ロッテマリーンズに移籍しました。茶谷の場合は白根と違い育成選手としての再契約でしたが、2019年のイースタンリーグで118試合に出場した茶谷はオフに見事支配下登録を勝ち取り、今季からロッテで支配下選手としてプレーすることになりました。競争が激しく支配下登録される可能性の低いソフトバンクから離れてプレーをするということが、現実的な選択肢となりつつあるのです。

支配下登録までの所要年数

さて、育成ドラフトで指名された選手は支配下登録されるまでにどれくらいの期間を要するかご存知でしょうか?

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この表は、育成指名された選手を高校生・大学生・独立その他に分類して、入団してから支配下登録されるまでの所要年数をまとめたものです。これによると、高校生で2.00年、大学生で1.12年、独立その他出身の選手で0.73年、全体の平均が1.23年となりました。これを見て、「意外と所要年数が短い…」と感じる方も多いのではないでしょうか?

育成選手には上述の「3年ルール」があることから、やはり3年目までが勝負になってくるのではないかと考えます。表をご覧になっても分かる通り、3年を超えて支配下登録された選手はこれまでに2人しかおらず、大学生・独立リーグ出身選手に関してはゼロと、長く面倒を見てもらえるとは言えません。限られた短い期間の中で野球選手としての自分自身を最大限にアピールすることが非常に重要になってきます。

支配下登録はあくまでも「スタートライン」

ここまで、育成選手の支配下登録率と支配下登録までの所要年数について書いてきました。ここでは、支配下登録された育成出身選手が一軍の舞台でいったいどれほどの実績を残しているのかを書いていきたいと思います。

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こちらは、育成ドラフトから支配下登録された野手の一覧と、その選手の通算打席数です(2019年シーズン終了時点での暫定)。育成選手制度が導入されてから昨年で14年が経ちましたが、2000打席以上を一軍で経験している育成出身選手は元ロッテ・岡田幸文しかいません。レギュラーの証と言える規定打席も、岡田が2度到達した以外には昨季の甲斐が到達したのみです。支配下登録されたものの一軍出場のない選手もいますし、数試合しか一軍出場経験のない選手もご覧の通り多いです。

この要因としては、まず育成出身の選手に一芸に秀でたタイプの選手が多く、それが却ってレギュラーとして起用されにくくなっているということが考えられます。一芸は確かにプロレベルのものを持ち合わせているものの、レギュラー定着に必要な走攻守の3つのうちどれか一部分に欠けるため、ベンチメンバーに甘んじてしまう…というケースが多いように感じます。また、故障者や主力の移籍といったチーム事情が絡み育成選手が支配下登録枠に「補充」されるも、そこから一軍で起用されるまでには至らないということも往々にしてあります。支配下登録を育成選手にとっての第一の目標であると書きましたが、あくまでも一軍への挑戦権を得ただけ、スタートラインに立っただけに過ぎず、真の目標は「一軍で必要とされる選手になる」ことであると実感します。

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投手については、先発投手とリリーフ投手で格差が出てしまうといけないので、登板数と投球回数の2つを評価基準にしました。ですが、やはり投手でも「活躍した(している)」と言える選手はほんの一握りにすぎず、改めて厳しい世界であるということが伝わります。規定投球回も、昨季3度目の到達を果たした千賀と2012年に一度だけ到達した山田大樹のみとなっております。投手に関しても野手と同じく、チーム事情等で支配下登録されて一軍登板を経験できたとしても、そこから一軍定着に至るまでに高い壁があるように感じます。

今後、三軍制を導入する球団が増える中で、各球団の選手育成システムがどうのように変化するのか、そして育成選手から一軍の舞台で活躍する「シンデレラストーリー」は今後増えるのか、注目したいと思います。

おわりに

ここまで、球界の新ムーブメントとも言える「三軍制」と、三軍での主役となる「育成選手」についてまとめてきました。育成選手が支配下登録されて一軍の舞台で活躍することは非常に夢があり応援したくなりますが、一方でその難易度は極めて高いということも事実です。三軍制を導入し、これまで一握りだった「シンデレラ」を続々と輩出しようとしているソフトバンクも、当然これまでの失敗も含めた経験が育成システムを発展させているとも考えられるため、これから他の球団が新たに三軍を設置したからといってすぐにソフトバンクのような育成システムを構築することはまず不可能でしょう。最も、三軍制はあくまで育成の効率化を図るための「手段」であって、三軍を作ることが目的ではありません。三軍の有無にかかわらず、球団が一体となって、長期的なビジョンを持って育成をすることこそが重要なのです。

三軍制を導入する球団が増えることで各球団の育成選手保有数も増えつつあり、当初の育成選手導入のきっかけであった「野球選手の裾野の拡大」にも着実につながっています。プロ野球を志すアマチュア野球選手にとっても追い風となりつつあります。

一方で、今オフに東北楽天ゴールデンイーグルスから育成契約を打診された西巻賢二がこれを拒否してロッテの入団テストを経て支配下選手として入団。そのロッテから育成再契約の打診を受けていた島孝明がこれを拒否して現役引退を決断するなど、その実情は依然として厳しいものであると言わざるを得ません。育成選手の現状をアマチュア野球の選手や関係者に知っていただきたいですし、それを覚悟の上で挑戦する選手を心から応援したいと思います。

【番外編】〜「あの球団」が高校生を育成で指名しない理由〜

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