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【詩】負けて降る雨


誰かのせいにしたかったけれど、まぎれもなくわたしはわたしの決断の連続でここに立っていると気づいた、夏の終わり。ベランダで育てた球根の足の細さよ、頼りなさよ、ぐらぐらと、わたしの今が揺れている、目の前の景色が霞んでいる。苦しいときは、苦しい歌を歌おう。それがいちばん人間らしいから。現状を軽々と越えていく自分は素敵だけど、いつも格好よくはいられないや、負けを認めたら、少し楽になった。草原に大の字になって、わたしは呟く。負けたのだ、と。おでこにぽつぽつと降る雨は温かくて、新しいわたしへのComing Soonな出会いと別れへのカウントダウンだ。再生する植物と、潤う生き物たち。まだ見ぬ新しい出会いと、負けて降る雨。




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