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暮らしの薬学【家庭用洗剤・洗浄編】~①洗浄とは

毎度ご覧いただき、ありがとうございます。
薬局活用ガイド編集部のミズホです。
これから先、洗剤をテーマに6回シリーズでお届けします。
そもそも「洗う」って一体どういうことでしょうか。
「洗う」という行為は、人間の文明社会が誕生してからはじまり、現代の生活にも欠かせない行動ですね。
あ、でも人間以外でもサルも食べ物を洗っていたな。
アライグマというのも居るし…

ともあれ、私たちの生活に身近な家庭用洗剤を題材に洗剤の基本を解説します。

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ミズホ「手は“石鹸でよく洗って”いうけど、石鹸って、固形ってイメージがあるわよね。小学校の時は、給食の前の手洗いにはレモン石鹸ってあったし。今は、ハンドソープというもともと液体でプシュッと泡になって出てくるものが主流かな~。って、石鹸と液体のハンドソープってどう違うんだろう?レモン石鹸ってどこにいったの~?」

薬剤師ナナコ「レモン石鹸はちゃ~んとあるわよ。“ハンドソープ”のように手を洗うときに使うものから、お風呂掃除とか、衣類を洗うときとか、食器洗いとか・・・・。家の中には洗うときに使う「洗剤」がた~くさんあるよね。日常生活に欠かせない洗剤だけど意外と知らない科学があるからちょっと勉強してみましょう。

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洗うってことは、汚れを取り除くってこと

日常生活ではいろいろなものを洗っています。食器、衣類、家具、そして体も。
何かしらの汚れを対象物(食器、衣類、体など)から取り除くことを「洗う」と言います。
汚れの半分以上は水に溶けるので、まず水が必要です。
そして洗剤。
あともう一つ、物理的な力も必要です。
「洗剤」「水」「物理的な力」を洗浄の3要素と言います。

ちょっと難しい話のようですが、汗をかいたシャツを洗濯機で洗うのをイメージしてください。洗濯機にはたっぷりの水があって、洗剤を投入します。そしてぐるぐる回転させて(=物理的な力)しみこんだ汗が取れてきれいになります。食器を洗うときは、水と洗剤とスポンジを使ってごしごし(=物理的な力)ってわけです。
(最近では、「ミストをシューーーっと浴槽全体に吹きかけ、60秒待って流すだけ。」っていうのもありますけどね)

汚れの半分以上は水に溶けるっていうけど、油汚れのように水に溶けにくいものはどうやって汚れを取り除くのでしょう?
洗剤には「界面活性剤」というものが入っていて、油汚れを乳化し水に溶けやすくして汚れを取り除いています。
この「界面活性剤」については次に詳しくお話しします。
身の回りにあるあらゆる「洗う」には「界面活性剤」が入っています。

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Q.子どもがシャボン玉作って遊んでいたら液をのんでしまいました。


食器用洗剤を水で薄めた液をストローでふ~っとするとシャボン玉ができます。簡単に遊べて楽しいですよね。でもストローで吹くはずがはずみで飲んじゃった場合、さてどうしましょう。
商品の容器に誤飲の場合、手についた場合、目に入った場合の応急処置が書かれているのでよく読んで対応しましょう。
一般的に、合成洗剤の場合、無理に吐かせずに、水をのませる(全般)、あるいは牛乳を飲ませる(アルカリ性の場合)となっています。様子がおかしいときはすぐに受診してください。また、「中毒電話110番サービス」があります。中毒110番は化学物質(タバコ、家庭用品など)、医薬品、動植物の毒などによって起こる急性中毒について、実際に事故が発生している場合に限定し情報提供しています。

■大阪中毒110番(365日 24時間対応)
 072-727-2499 (情報提供料:無料)
■つくば中毒110番(365日 9時~21時対応)
 029-852-9999 (情報提供料:無料)

もっと勉強したい人に~参考リンク・参考図書


日本中毒情報センター
食器用洗剤の誤飲・誤食(花王)

<参考図書>
『よくわかる最新洗浄・洗剤の基本と仕組み』
『すっきりわかる!くらしの中の化学物質大事典』

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<この記事をまとめた人>
ミズホ
「薬局活用ガイド」編集部員。埼玉県在住。中2の長女、小4の長男の子育てをする二児の母。

<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。