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HTBニュース映像で振り返るヤジ排除

 今月の15日で、札幌における「ヤジ排除」から4ヶ月が経ちます。それを前に、これまでの出来事をめぐる流れをざっくりと振り返ってみましょう。

 北海道のローカル局であるHTB(北海道テレビ放送、テレビ朝日系列)は、放送したニュースを親切にもyoutubeに載せているので、今回はそれを活用させてもらいます。


7/15 安倍批判のヤジ・プラカードが排除される

 マスメディアで一番最初にこの出来事を正面から報じたのは朝日新聞(7/17 朝刊)で、そこからせきを切ったように「ヤジ排除」をめぐる報道が始まります。

 当初の道警は、朝日新聞への取材に対して「トラブル防止と、公職選挙法の『選挙の自由妨害』違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」と回答したそうですが、翌日にはすぐに見解を変え、「事実確認中」「個別の法律ではなくトラブル防止のため、現場の警察官の判断で動いた」と答え、「選挙妨害のおそれ」という見解を事実上、撤回しました。上の映像の専門家コメントにもあるように、さすがに無理筋であると気づいたのでしょう。この「ヤジ排除」に関して、「選挙妨害なのだから排除は当然」と批判する方も少なくありませんが、そのような見解は当の道警自身が撤回しているものだということを踏まえる必要があります。

 その後数日の間に、自由法曹団、国民救援会、立憲民主党北海道連合、日本共産党北海道委員会が、道警に抗議の声明発表や申し入れを行い、同じ頃、東京に住む男性が道警の警察官(氏名不詳)を特別公務員職権濫用罪で、札幌地方検察庁に告発状を提出しました(7/20)。ここで提出された告発状が、この後の事実確認の過程に響いてくることになります。


8/6 山岸道警本部長がヤジ排除について初答弁

 民主・道民連合の山根まさひろ議員の質問として、「ヤジ排除」について道議会総務常任委員会で問いただされます。答弁に立った山岸道警本部長は、「調査中」と「告発状が出ているので」の合わせ技で、事実上のゼロ回答。この態度は4ヶ月弱経った現在まで変わっていません。
 本部長の他に答弁に立ったのは、原口淳警備部長。彼がここで答弁するということは、あくまで排除に関する責任が、公職選挙法に関わる捜査2課ではなく、警備・公安警察の担当である警備部にあるということを示しています。
 ちなみに、道警を監督する立場にある北海道公安委員会の小林ヒサヨ委員長は、同じ日の答弁で、「警察の職務執行の中立性に疑念が抱かれたことは残念」と、少し踏み込んだコメントを答弁していました。


8/10 道警前まで抗議デモ

 当事者含むグループとしては初の抗議行動を行い、道警宛の請願書・苦情申立書を道警・道公安委員会まで提出しました。やはり自分たちが文句を言いたい相手(道警)の前まで行って直接抗議するというのは気持ちが良いものです。この時、道警の公安警察によって、デモ参加者への無断撮影が行われ、参加者から「犯罪者!」というコールを浴びることになります。


 デモから一ヶ月ほど経った9/2には北海道弁護士連合会が、9/9には東京弁護士会が、それぞれ排除について抗議の声明・意見書を発表しています。

 9/7には、ヤジ排除をめぐって、札幌エルプラザで集会(「ヤジ排除」から考えるニッポンの今とこれから)が行われ、当事者や道警OB、研究者などが登壇し、問題について多角的に話をしました。80人入る会場が満員で、関心の高さを示していました

 9/13には道議会本会議で、民主・道民連合の市橋修治議員の質問に答える形で、山岸本部長、小林公安委員長のほかに、鈴木直道北海道知事も答弁に立ちますが、内容は全くのゼロでした。鈴木さん、排除の現場にいたはずなのに第三者ヅラするのが上手で、いやな感じです。


9/25 当事者が道議会で山岸本部長をヤジる

 再び道警本部長が道議会に現われるという話を聞きつけ、大杉たち当事者が現場に駆けつけました。本部長が道議会の本会議でヤジ排除について答弁するのは、このときで二回目でしたが、答弁自体はゼロ回答でした。道議会の傍聴席ではヤジが禁止事項とされているため(罰則はなし)、大杉は速やかにつまみ出されました。笑

 ちなみに、道警の本部長が法的根拠について全く説明しないのは、もちろん「そもそも法的根拠がないから」というのが大きな理由ですが、同時にそれが組織的かつ全国的なものであるだろうこととも関係していると思われます。つまり、もし道警が「間違ったことをしました。ごめんなさい」と謝ってしまうと、そこから「誰が、どのように指示して排除が行われたのか」という原因追及が始まり、責任問題になります。
 そして、今回のような排除が全国各地で行われていることを考えると、その警備体制の責任は警察庁まで行き着くことになり、それを監督する政府の責任にもなる可能性が高い(もっと直接には、安倍自身が排除を命令した可能性も高い。現在の警察庁警備局長を担っている大石吉彦という人物は、安倍首相の秘書官を6年間担っていた人物でもあり、相当に怪しいです)。
 山岸本部長は、一人の官僚として、政府の責任が問われないための防波堤として、一生懸命黙秘を続けているのだと予想されます。なんとなく、森友学園のときの佐川さん(元・国税庁長官)みたいですね。


10/22 ヤジ排除についてのシンポジウム開催

 この「ヤジ排除」の件を通して、弁護士や市民活動をしている方々とのつながりもできてきたので、そうした方々と協同でシンポジウムを行いました。ニュース映像では、ヤジ・プラカードで排除されていた人は、札幌駅前・大通三越前だけにとどまらず、厚別区でもあったということが語られています。イベントの会場は140席の部屋でしたが、満員御礼で、立ち見でも人が入り切らない状態でした。


 「ヤジ排除」の件に関して、もっとも積極的に取り上げてくれているテレビ局としてHBC(北海道放送)の存在もあるのですが、このページに映像を貼るのが難しいので、今回はHTBのみ映像を活用させてもらいました。今後も、民主主義を守るために各局には積極的な報道を期待しております。

その後の話(2020年1月5日追記)

ほっといても話が進まないので、裁判をやることにしました↓


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