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ドアを開けたらサブリミナル幽霊が見えるようになった

「え、浮いてる?」
なんとこの幽霊、床からほんの僅かだが浮いているのだ。これは大きな発見をしたものだ。床に落ちたチラシを拾い上げてドアを閉じる。先ほどチラシの落ちていた場所に立っていた幽霊はもういない。

最近ではすっかり慣れてしまったのだが、僕には幽霊が見えるようになった。

3週間前のことである。夜起きて用を足すべく廊下のドアを開けた瞬間にそいつは突然現れた。最初は本当に死ぬかと思ったものだ。いわゆる幽霊、幽霊といえばこの姿、そう言っても多分通じると思うが、白い衣服を纏った女がドアを開けた先に立っていたのだ。僕は悲鳴を上げ腰を抜かしてその場にへたりこんでしまった。

ガチャ。ドアを開けてその向こうを見やると今日もいつもと同じようにその女が目の前に現れる。そして一瞬で消える。ほんの0.数秒だけ現れるその姿に、最初は心底恐怖し、夜も眠れぬ日々を過ごしたものだ。ところがこいつが慣れてしまえば意外とどうということもないということが分かってしまった。見た目そのものが怖いかといえば実のところ別にそんなに怖くないし、血まみれだとか包丁を持っているとかでもないただの女だからだ。寸分違わぬ同じ姿がドアを開けるたびに何度も現れ、そして視認できたかと思えばすぐ消える。そしてこれは自分でも驚いたことに、ドアを何度も開けて確かめるうちにだんだんと、この謎の存在に対する好奇心の方が恐怖を上回るようになってしまった。

この幽霊、たまにさっぱり現れないことがあるのだが、何か理由があるらしい。そこで色々と条件を変えてドアを開けたり閉めたりしながら出現に何か法則がないかを調べることにした。

試してみるとあっさり判明したのだが、この幽霊は出現場所に物体が干渉していると出てこなくなるらしい。この前出てこなかったのは廊下に宅配物を放置していたからだった。そしてとても驚いたことにこの幽霊、干渉判定が信じられないほど精密なのである。

【続く】

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