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なぜ「合理的で無駄のない人生はつまらない」と感じるのか?

「合理的で無駄のない人生ほどつまらないものはない」という主旨の記事を読んだ。

その説明だとタイトルだけの情報しかないので何か補足しようかと思ったが、タイトルで言いたいことのほぼすべてが表現されていてすごいな、と思った。

まさに読んで字のごとくだが、合理的で無駄のない人生はつまらないと考えている人が書かれた記事で、「非合理的」で「無駄」だが「面白い」ことをしたい、と考えているらしい。

要は、日常がつまらないので刺激を求めている、ということのようだ。

この記事の著者は、無駄なチャレンジや、無謀なチャレンジを日常的にしている人のようで、ときには周囲から正論で諌められたりすることもあるらしい。

自分の感覚だと、無謀なことや無駄なことをやる人が周囲にいても、別に諌めたりはしないように思うのだが。YouTuberがまさに代表的な存在で、自らの無謀なチャレンジや無駄な行為をコンテンツにして配信することでファンを獲得し、それで生活している。

もし周囲にぶっ飛んだ人がいたとしたら、結構面白がる人が多いのではないだろうか。ぜひコンテンツ化することをお勧めしたい(もうしているかもしれないが)。

起業家に絞ってみても、スティーブ・ジョブズはみんな大好きだし、イーロン・マスクも起業家マインドがある人はみんな大好きだ。「自分にはできないが、大胆なことをする人」の動向には一定の需要があるとみていいだろう。

もしも「正論で諌めてくる」人がいたとしたら、本当に純粋に心配しているか、直接的に被害のある家族や近しい友人ということになるのではないだろうか。その人の行いによってなんらかの実害がある人なのかも。

ということは、実際は「諌めている」のではなく、「実害から来るクレーム」の可能性がある。それはコンテンツとして楽しむどころではない人からの声だと思うので、人間関係が崩壊する前になんらかの対応が必要だと推察される。

自分はどうかな、と思った。比較的合理的に考えたうえで人生の選択をしていると思うけれど、特になんの不満もない。大枠で見れば普通の会社員だと思うのだが、自分にとっては十分刺激的である。

中国の上海に2年ほど駐在したときも刺激的だったし、前職ではバングラデシュやミャンマーなどをしょっちゅう仕事で訪れていた。政情不安定な国では、テロリストや山賊などが出たりすることもあるため、なかなか刺激的である。

なので、自分は「合理的で無駄のない(主観)人生だけど、結構面白いと感じている」タイプかな、と思っている。

その意味では、「合理的で無駄がないけれど、人生が面白くない」と考えている人がこの記事の著者の批判対象なので、ちょっと自分とは違うのかな、と思っている。

会社員でも、会社事業に深く関わっていくとそれなりに刺激的だ。個人で扱う金額はせいぜい数千万円だが、会社では何億、何十億という規模のプロジェクトもある。まあ自分としては刺激としてはそれぐらいで十分かな、と思っている。

先日、橘玲の著書を読んでいたら、興味深い一節があった。

モーリシャスという島国でかつて行われた大規模実験を紹介している。この実験では、住民の心拍数の平均値をとり、心拍数が低い人間と高い人間の行動を観察することで、「心拍数と行動の関係」を評価したものだ。

これによれば、心拍数が低いほど「通常の状態が不快な状態」であり、心拍数が上がる状態を「気持ちいい」と感じるらしい。もっとも心拍数が低く、最高レベルの刺激追求度を示した男性は、成人すると盗み・暴行・強盗などの罪状で複数の有罪判決を受け、「人生は快楽と興奮を求めるゲームだ」と言い放ったらしい。

通常状態だと心拍数が低いので、自ら心拍数をあげる行動(刺激を求める行動)をとっていたというのだ。心肺が行動に影響を与えるという観察は興味深い。

一方、その刺激を求める態度を未知なる領域に挑戦することに求める人もいたようだ。起業家はこのタイプだろう。いずれにせよ、「心拍数が低い」ということが「リスク志向型」の人間になるひとつの要因といえそうだ。

そういえば過去に仕事をしていて、やたらとトラブル対処が好きな人が同僚にいたことを思い出した。普通、トラブルが起きると火消し対応に追われるし、もしもトラブルが収束せずさらに大きな事態に発展すると厄介なので、なるべく回避したいと思うものだが、その人はトラブルが起きると嬉々として対処に協力しているため、頼りになるなと思っていた。

一方で、私生活では結構なギャンブル好きで、消費者金融でかなりの借金をしている、という噂もあった。いま思えば、「心拍数が上がる」ことそのものがその人にとっては快感だったのかな、と。

どんな時代でも、リスク志向型の人間が道を切り開いてきたと思うので、そういった人は礼賛されるべきなのだろう。

自分はどうかな。あまりリスクは取りたくないと思うほうなので、心拍数は普通か、ちょっと高めなのかもしれない。

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