八木詠子

やぎ座のA型やぎえいこ。 平成.EXEという団体で脚本と演出と照明を担当しています。過…

八木詠子

やぎ座のA型やぎえいこ。 平成.EXEという団体で脚本と演出と照明を担当しています。過去作『残酷喫茶』『Life(Re)View』『怖カフェ怪談』『つぼのなか ~inside a pot~』。 上演舞台の振り返り、掌編小説や短歌をアップしていきます

最近の記事

WS公演『ブッククラブへようこそ』について

 こんにちは。平成.EXEの八木詠子です。  ワークショップ公演『ブッククラブへようこそ』へご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。今回は抽選20名様限定ということで、ご来場いただけなかった皆様も応援ありがとうございました。  ひと段落したということで、ワークショップや作品を振り返っていこうかと思います。  今回の作品はワークショップ公演という団体初の試みでした。 スキルアップを目指しながらひとつの公演も同時に作り上げていく。ある意味、台本が参考教材のような役割

    • 11月からの短歌まとめ

      昨年11月からX(旧Twitter)に投稿した短歌をまとめました。 ここでしか読めないものも二句あります。 ラブホテル裏の公園立つ男ジトリと笑う口の中は闇 恋すると髪を短く切りたくなると笑って言ったあなたはボウズ 母は言う自分の頭が悪いのはあの日に食べた木の実のせいだと 手を合わせ小さい背中を丸めて祈るあなたの神になりたいわたしは ふやけた猫の視線の先に受け取りそこねた優しさがある もういないあの子のために休日は一輪挿しを探しつづける 車窓から過ぎる景色を眺め

      • Vol.3『つぼのなか ~inside a pot~』について

         やぎ座のA型、八木詠子です🐐  平成.EXEで脚本と演出と照明を担当しています。  演劇企画 平成.EXE vol.3『つぼのなか ~inside a pot~』にご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました! お客さまひとりひとりの感想やご声援が活力になっております。心から感謝いたします。  あらためて作品を振り返って作・演出としての想いを綴っていこうと思います。  この作品のはじまりは今から約1年前。主催の藤松さんにプロットをお渡ししたときにはキャラクターもス

        • 『怖カフェ怪談』スペシャル回 謎解き

          平成.EXE vol.2.5『怖カフェ怪談 2021 冬 @喫茶「残酷」』にご来場いただいた皆さまありがとうございました! スペシャル回に出た謎解きと解説です! 通常回に来られた方はぜひこの機会に挑戦してみてください! ここからは謎解きの答えと解説になります まだ見たくない方は回れ右! いいですか…? 本当にいいですか…?

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          10月の短歌

          X(旧Twitter)に投稿した短歌をまとめました。 二句、新しいものを追加しています。 生きていたあなたのままでないのなら さ迷うだけの透明な肉 落ち葉舞う首から上がない女タンゴのごとくステップ踏んで みんな見て!狂う狂うと言いながらいまだに正気の女がひとり 線香が燃え尽きるまでそばにいて夜がふけたら話しをしよう 舞台上すべての光をかき集めあなたの瞳に散りばめたいよ 放課後の膝が触れ合う感覚が忘れられないまた会いましょう かわいい犬よ永遠を生きるかのように生

          鵺のなく夜【掌編小説】

           寒さの中、肌色と呼ぶにはあまりにも淡い色が、小さく小さく震えていた。彼女のセーターからわずかに見える指が、寒さに耐えるその手が、暗い部屋の中に灯るあかりのようだった。  彼女はそっと近づいて僕の温かな頬に触れた。きしきしとベッドが音をたてる。彼女の細長い指が僕の輪郭を優しくなぞった。それは驚くほど冷たくて、心臓を鷲掴みにされたようだった。白波のような手が頬を滑り落ち、膝の上に置いていた僕の手に打ち寄せた。遠くで鵺の声が聞こえる。もう夜だ。  彼女は歳を取らなかった。なぜだ

          鵺のなく夜【掌編小説】

          『灰色の棺』 【SS】

          「どうしてこんなことをした?」と刑事や弁護士に尋ねられるたび、僕はわからないと答えた。多くの人間はわからないはずないだろと言うが、僕は本当にわからないのだ。自分がなぜあんなことをしたのか思い出そうとすると頭に霧がかかるのだ。  罪状はよく覚えていない。犯した罪に名前があるのだとしたらそれはきっと憧れや恋という名だろう。  僕の住む地域にはいまだに土葬の文化が残っている。長方形の棺に遺体を入れて埋める。火葬のように灰になることもなく、窮屈な棺の中で静かに死後を過ごす。そこにあ

          『灰色の棺』 【SS】

          『しじまの海』 【SS】

           一週間ぶりに煙草に火をともし、思いっきり吸ってみると、肺の奥の方がぎゅうっと音を立てて唸った。新鮮な外の空気よりも、濁った生気のない煙の方が俺の喉を熱くする。吸い終わった煙草を地面に落とすと火が消えてからも何度も何度も踏み潰す。夕陽に照らされたアスファルトの上で散らばった灰と煙草の残骸を、俺はしばらくみつめていた。  車内に戻ってラジオをつけると俺の嫌いな恋の流行歌が流れていた。性欲をポップな歌詞に変えただけのくだらない曲だったが、ラジオを消す気力もなくつけたまま仮眠をとる

          『しじまの海』 【SS】

          vol.2『Life(Re)View』について

           やぎ座のA型、八木詠子です🐐  演劇企画平成.EXE vol.2『Life(Re)View』にご来場頂いたみなさま誠にありがとうございました。  劇場に足を運べなくても応援して頂いた方々もありがとうございました。  遅ればせながら振り返りというか、作品に対する想いを綴ろうかと思います。  なぜ今更なのかというと、お芝居は観に来てくださったお客さんのものであり、そこで感じ取ったものが全てだと言う考えがあるからです。  作者である私がすぐに発言するとお客さまの中に芽生えた

          vol.2『Life(Re)View』について

          やぎ座のA型、八木詠子です。 過去に書いたショートショートや短編小説などをアップします。 たまに上演舞台の振り返りとかもします。 よろしくお願いします

          やぎ座のA型、八木詠子です。 過去に書いたショートショートや短編小説などをアップします。 たまに上演舞台の振り返りとかもします。 よろしくお願いします