ルパンレンジャーVSパトレンジャーが最高だった理由

本日最終回を迎えた特撮戦隊モノ、ルパンレンジャーVSパトレンジャー。
皆さん見ましたか? 僕はこの作品かなり高評価です。というか最高でした。正直ここまで面白くなるとは思ってなかったです、最初は1作品に二つの戦隊が登場するなんて、絶対に終盤はなぁなぁになるなぁなんて思ってたんですが、完全に予想を外しました。
諸々とネタバレも恐れずにやっていきましょう。

理由:ダブル戦隊

前代未聞、まさかの1作品に2戦隊が登場するダブル戦隊作品として発表されたときは話題になりました、テーマは怪盗と警察。どちらも単品で1作品作れそうな非常に優れたコンテンツです。それを惜しげもなく1作品にぶち込んで、しかも敵対する意味の「VS」が付きます。戦隊同士が戦うなんて、と思いましたが、共通の敵であるギャングラーが別でいるので、こりゃ仲良しこよしになりそうな予感がひしひしとしました。いつ怪盗が警察を頼るのか、いつ警察が怪盗にデレるのか。ネットでは結構いろいろと予想が飛び交ってました。しかし、ふたを開けてみれば、怪盗は怪盗として覚悟を持って戦うし、警察は警察として強い信念で戦うし、ギャングラーは完全悪だし、なんか始ってみればこれは凄い深みがあるんじゃないの?っていう空気の中、二つの戦隊が動き出すんですね。誰も見たことがないダブル戦隊「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」(以下ルパパト)がどのように着地するのか、本当に誰もわからなかった。

理由:キャラクターの妙

秘密結社ジュノンボーイから定期的に生み出される仮面ライダーとちがい、戦隊モノの配役はなかなか不思議なことが多く、ちょっと「んんん???」となることがあるのですが、ルパパトの配役は素晴らしかった。主人公ポジションのレッド二人、ルパンレッド(夜野魁利)は少しチャラっぽい軽い感じのキャラ...の中に、仄暗さと不器用さを抱えた弟キャラ。正直一番演じるのが難しいキャラだと思いますが、これを見事に演じきった。
今回の僕の推しレンです(推しレンとは、推しレンジャーの事)。
もう一人のレッド、パトレン1号こと朝加圭一郎は、ルパンレッドとは対極の熱血漢、正義の警察でありパトレンジャーのリーダー、基本的には叫んでいたり怒っていたり、大体のセリフに濁点が付く、日本のドラマやアニメによく出てくる感じのTHEデカ!って感じです。好意を寄せてくれる女性に面と向かって「俺は不器用だから警察と恋を同時にはできない!」なんてことを言い放つほどの不器用男です。でもオンオフがしっかりしてて、誠実で真面目で笑うとかわいいとか子供が大好き(なのに子供には好かれない)とかいろいろな要素により人気がドガっと跳ね上がって、最初はルパンが人気のメインとスタッフ側も考えてたところ、予想を反してパトレン1号人気になりました。
次いでサブリーダー枠のブルーと2号。ルパンブルーはクールな料理人(宵町透真)パトレン2号はおちゃらけ後輩キャラの陽川咲也。この二人はよくネタにされるパターンが多く、キャラとして本当に立っていたと思います。どこか壁を作る魁利に踏み込みすぎずいい距離を保つ父親的な存在なブルーと、濃すぎるキャラの圭一郎を困らせることで上手く立ち位置を作った咲也、どちらも全然違うタイプですが、漢を魅せる瞬間が多々あり、ベクトルの違うかっこよさを見せつけてくれました。レオタードコンビです。
そして女性陣。イエローとパトレン3号は美少女と美女です。イエローは元モー娘。だったかな?アイドルらしいかわいらしさと、幼さを備えつつ、芯の強いムードメーカーの早見初美花、3号は凛としたクール&ビューティーでもかわいいモノが大好きで、人知れずぬいぐるみにもふもふしちゃうギャップ萌えさんな明神つかさパイセンです。
そして、金銀な追加戦士がトリッキーなルパンX及びパトレンX。
ダブル戦隊の追加戦士ってどうなるの??を力業で解決したキャラクター高尾ノエル(通称オーララー)です。怪盗であり警察であり警察であり怪盗であるとか反則wおフランスからやってきたのでメルシーとかオーララーとかよく言ういし、唐突なパルクールを披露する体操のお兄さんです。「おとうさんといっしょ」に出てた人。怪盗であり警察である事は当分気づかれないように話が進むのかなと思ったら、登場回で速攻バラしましたwそれ悪手じゃね?ってのは今でもちょっと思いますw

理由:バトルがヤバい

戦隊モノの華といえばやっぱりアクションです、華麗なアクロバティックなアクションは目を見張るものがありますが、ルパパトはさらにカメラワークが斬新かつ挑戦的です。おそらくドローンを使ってるであろう低アングルから高度アングルへハイスピードで移動するカメラ、そのカメラの上をアクロバットで飛び越えながら銃撃を行う怪盗、トリッキーな怪盗らしいバトルを見事にカメラワークが演出する、ハリウッド映画でもなかなか見れない戦闘シーンが毎週無料で見れるとか本当におかしいんじゃない??って感じです。マジで一見の価値ありです。やっぱり目を引くアクションっていうのは、安易にCGやワイヤーに頼るんじゃなく、工夫と拘りと積み重ねてきた確かな技術の合わせ技なんだなぁとシミジミ思いました。僕は昨今のワイヤーアクションがあんまり好きじゃありません、ワイヤー使うと軽く見えるんだよねぇ。 
そしてそして、二つの戦隊が敵対しながらも、共通の敵と戦うっていう設定がバトルにも生きる!ギャングラーからお宝を奪い返すのがルパンレンジャーの目的で、街や人々を守るのがパトレンジャーの目的、共通の敵といいつつも目的が全く違うので、警察はギャングラーがお宝を持っていようがいまいがお構いなし、全力で実力を行使しにいきます。そんな警察に大事なお宝をぶっ壊されたらたまらないので、警察より先にお宝を奪わなければならない怪盗、時にはあえて警察の攻撃からギャングラーを守ったりするから、警察を邪魔してると思われたりするんだけど、この攻防がなかなか面白いんですよ、対峙してえいやぁとーで倒すだけじゃなくて、お互いの駆け引きみたいなのがちゃんとあって、警察と怪盗はギャングラーと戦いながらお互いとも戦いあうみたいな流れがグッとくるんですよ。

理由:頭がおかしい回が頭がおかしい

戦隊モノ名物、気が狂ってしまったのか?脚本が今回もちゃんとある。
ギャングラーに騙されて咲也と透真がレオタード着せられてエアロビをガチで踊る回。クールな透真のトラウマ。
透真と初美花がギャングラーの能力で心配性になって、キツツキが飛んでくる回。透真の発想力が狂気
そして、クリスマスのチキンを鮭に変えるギャングラーの鮭レシピ動画回。

ちょっと意味不明すぎて笑えるし引くw マジで頭おかしいから見たほうがいい。

理由:ストーリーが熱い

ざっくりストーリーを説明すると、ある日大事な人を目の前で奪われた三人が怪盗になってルパンコレクションっていうお宝を全部集めれば、大事な人たちは取り戻せるって言われてギャングラーからお宝を回収するって言うストーリー。警察は警察のお仕事をするために、怪盗と同じルパンコレクションを使ってパトレンジャーに変身するんだけど、ルパンコレクションを全部集めなきゃな怪盗は警察の武装も奪わないといけなかったり、普通に美術館とかにあったりもするから、結構ガチな盗みも(結果盗まないで譲り受けるけど)したりするから、警察は怪盗も犯罪集団として追わなきゃいけないしであれよこれよとやってくうちに、パトレン1号こと圭ちゃんに失った兄を見る魁利、圭ちゃんの正論を真っ向から否定して、警察に頼れないやつが怪盗になると言い放ち、熱血で正論で正義な兄や圭ちゃんをうらやましく思いながらも自分はそうはなれない事を自覚し飲み込んで「俺は怪盗向いてるわ」と怪盗であることを誇ることでルパンマグナムに認められるシーンはグッと来た。ラスト付近で正体がバレてしまい身を隠している中、魁利が圭ちゃんに会いに行き、ちゃらけてみせるんだけど感情が溢れて「怒れよ!なんで怒んないんだよ!!」なんて掴みかかる子供っぽさに、圭ちゃんは「君を救えなかった自分の不甲斐なさに怒っている!」とどこまでも熱血漢を見せる圭一郎、最後の最後まで二人の軸はブレないし、二人の関係性も近からず遠からずで良い。仲良しこよしで全部チャラにならないのが本当に素晴らしかった。どっちも信念を貫き通してるんだよね。

理由:最終回が尊い

最終回がもう本当にさぁ尊い
大事な人を取り戻したのに、自分たちが犠牲になる選択をした怪盗。
怪盗を助けられず、彼ら毎ボスを倒さなければならない選択を強いられる警察。怪盗たちのやりきった感満点のすがすがしさの反面、警察側のやりきれない思いを噛み殺して引き金を引くシーンのなんとも熱い事か。しかし、ラスボスも怪盗も爆発四散でエンディングじゃぁ成り立たないので、結果ラスボスを捕縛幽閉するっていうのも警察っぽくて素晴らしいアンサー。そうだよね、日本の警察は射殺しないで逮捕するほうがメインだもんね。いつか救い出す望みも兼ねてね。怪盗が閉じ込められた金庫を開けろ!という警察の咆哮にドグラニオ・ヤーブンの被せ気味の「断る!」も、こいつもある種信念を持った組織のトップだったんだなぁっていう格を感じたし、警察の絶望感を助長する素晴らしい演出だった。
なんやかんやあって戻ってきた怪盗に、良かったと安堵しつつも、怪盗を続ける彼らに対して「おのれ怪盗!!!」(厳密には「お”の”れ”か”い”と”う”!!!)」と仲良しこよしではなく、最後まで怪盗と警察の関係が続くという引きは秀逸。
仲良しこよしにしちゃいけないんだよこういうのは、仲良しこよしが悪いんじゃなくて、テーマが薄れちゃう。仲良しこよしにしたいなら最初から正義VS別の正義をしちゃいかん。信念を持つもの同士がぶつかったのなら、最後まで信念を貫き通すのが筋であって、しっかりと筋を通したルパパト。
本当に最高の戦隊モノでした。

1年間ありがとうございました!

いやほんと素晴らしい作品だった、全てがチャレンジングで斬新で、でもしっかりと古きよきものがあって。温水さんが分裂したときはどうしようかと思ったよw いやマジで面白かった~。次のリュウソウジャーはプレッシャーだろうなぁ



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