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かたおか徹治「ファミ魂ウルフ⑤」初単行本化+完結

わんぱっくコミックリバイバル1月配信。かたおか徹治「ファミ魂ウルフ⑤」。電子書籍版はこちら↓
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 ファミコントーナメントも富士山の裾野で全国大会を迎え、いよいよ第2部がスタート。全国から8人の地区代表選手が集まり、総当たり戦を迎えた。北海道からは怪力の戸堂力(15歳)、東北からは居合斬りの達人・伊達政宗(15歳)、中部からは忍者の子孫・飛騨忍(12歳)、近畿からは動物と話せる三千院琴美(14歳)、中国四国からは妖術使いの出雲トキ(16歳)、九州からは天草四郎、沖縄からは拳法の達人・金城広達(14歳)。しかしここで悪の組織U・H・H(ウルトラ・ヘル・ホール)が本格的に牙を剥く。選手の数人は洗脳され、野生命知狼を罠にかけようとする。中でも野生命知狼の家族である狼・ジロを誘拐して脅迫する。危機に至る野生命知狼だったが、U・H・Hの息がかかっていない選手たちの助けで難を逃れる。世界征服のネックとなった野生命知狼を倒すため、U・H・Hの真の主役であるレーヴェが登場。会場を富士山爆発の恐怖に陥れる。果たして野生命知狼たちはレーヴェから人類を救うことができるのか⁈
 壮大なるファミコン漫画が遂にフィナーレを迎える。実はここからが第二部で、初単行本化の見せ場であった。おそらくは掲載誌である「わんぱっくコミック」の休刊に向けて結末を繰り上げたのだろうが、想像を絶する展開が待っていた。本作品は一貫したテーマを持っている。それは大人に操られて優れた技能を持つ少年少女たちの、大人たちからの卒業である。どんなに高い技術を備えていても、しょせんはロボット。社会的倫理を逸脱しようが、人をペテンにかけようが、勝てばいいという勝利至上主義。そこに風穴を開けたのが野生命知郎である。その名の通り、育ての親である狼たちの自然の導きが、欲と金に塗れた大人の論理を打ち砕くのである。少年少女たちの覚醒は、SF的昇華を以って描かれる。その巨大なスケール感と精神性は大作にふさわしい宇宙的な黙示録である。

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