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#130 汚した理由によっては怒られるクリーニング屋

マサオがクリーニング屋の自動扉の中に入ると、受付に白髪のおばあさんが立っていた。

「いらっしゃい。」

受付のおばあさんの笑顔はとても優しかった。

「すみません。このYシャツのしみ抜きをしてほしいんですけど。」

マサオは大きなコーヒーのシミが付いたYシャツをおばさんの前に出した。

「あら、これはすごいわね。」

「しみ抜きで落ちますかね?」

マサオが心配そうに尋ねるとおばあさんはニコっと笑った。

「うん、大丈夫よ。」

その言葉にマサオは安堵した。

「それにしてもこんなに大きなシミ一体どうやって付けたんだい?」

おばあさんが尋ねるとマサオは恥ずかしそうに答えた。

「コーヒー持ってよそ見して歩いてたら電柱にぶつかっちゃって。酔っ払ってたのもあったんですけど、それで入ってたコーヒーが全部かかっちゃいました。」

するとおばあさんの表情から優しい笑顔が消えた。

「しょうもないねぇ。」

「はい?」

「そんなしょうもない理由でこんなにでっかいシミ付けて!服が可哀想だよ!!!」

おばあさんはマサオを怒鳴りつけた。

「え?あ、すみません。」

マサオは戸惑いながら頭を下げた。

「すみませんじゃないんだよ!どうせ女のケツでも見てたんだろ!やらしい!」

「いや、そんなことありませんけど...」

「ほんとしょうもないシミだねぇ!!!」

「あの、いくらですか?」

マサオは早くこの場を切り上げようとおばさんに尋ねた。

「いくらですかじゃないんだよ!!!しょうもないシミだって言ってんだよ!!!服が可哀想だって言ってんだ!!!」

「いや、それはあのー、あれですけど。え?僕客ですよ?」

「なんだその態度!?客ですよってなんだ!!そういう横柄なところがこの大きなシミを付ける原因になってるんじゃないのか!!!えぇ!?」

「・・・」

「シミを抜く前に、心の汚れをとったほうがいいんじゃないかい!?」

「なんでこんなに怒られないといけないんですか?」

「しょうもないシミだからよ!!」

「もういいですよ!!持って帰ります!!他所で頼むんで!!」

マサオはおばあさんからYシャツを取り戻そうとした。しかしおばあさんはそれを阻止する。

「ウチでやるよ!!!どうせあんたみたいなのは他所に持っていく時に、またもう一個ぐらいシミ付けるんだ、女のケツ追っかけて!」

「追っかけてねえよ!」

「ウチで丁寧にやる!!!このYシャツは渡さん!!!」

「じゃあ早くやってください!いくらですか?」

「反省してんのかよ?」

「はい?」

「こんなでっけえシミ付けて反省してんのかって聞いてんだよ!!!」

「いや、反省もなにも・・」

「返事は!!!!!」

おばあさんは凄みを利かせた。

「は、はい。」

「おう、じゃあウチでやっておくから。明日の昼以降に取りに来るように。わかったな!!!」

「本当に最初と同じ人ですか?」

おばあさんはまだ一人でブツブツと文句を言っている。

「あのー、いくらですか?」

マサオはおばあさんに尋ねた。

「ああ、20円だよ。」

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