#249 一切喋らせてもらえない対談
「よろしくお願いします。」
ロックバンド「ブルーホワイト」のボーカル、ケンジがスタジオに入ってきた。
「お待ちしてました。」
先にスタジオで待ち構えていたミュージシャンのジャガー・ミヤザワはケンジに握手を求めた。長年日本の音楽シーンを引っ張ってきた大物2人の対談企画が遂に実現する瞬間だった。
「どうぞ座ってください。」
ジャガーは向かい側にあるイスを指して、ケンジに言った。ケンジはゆっくりとイスに座る。
「いやー、今日はブルーホワイトのケンジくんとの対談てことでね。まああのー、色々聞きたいことあるんだけど。まあお互いね、色々苦労してきたこととかあるだろうし。なんていうか、ケンジくんの音作りっていう部分には昔から興味があって。どういう風に音作ってるんだろうみたいなさ。今日はそういう事聞いていけたらなって思ってるんだけど。ちなみにどう?こういう対談とかって、今までやったことってある?」
「えーっと何年かm・・」
「まあなかなかね、こういう機会ってね?なかなかないと思うんだけどさ。まあなんていうかお互い気になってる部分はあると思うから。まあ全然音楽に関すること以外でもね、まあそれこそ〜・・・僕はケンジくんが普段何食べてるんだろうとかもすごい気になるんだよね。なんか変な話、何かを食べるイメージとかがなくてさ、はっはっは。なんか普段どういうもの食べてるの?」
「なんでしょうね、まあ普通n・・」
「さすがにカップラーメンとかは食べないでしょ?なんかケンジくんがカップラーメンとか食べてる姿が全く想像つかないのよ。まあきっとファンのみんなとかもそうだと思うんだけどさ。カップラーメンとか食べてる姿が想像できないのよ。どう?食べる?」
「え、全z・・」
「そもそもコンビニとか行くの?雰囲気的にコンビニとか行ったことなさそうな感じ出てるっていうかさ。やっぱりカリスマ性がすごいじゃない?もうホントにスターって感じだからさ。どう、コンビニとか行く?」
「あー、もうz・・」
「僕はもう毎日コンビニ行くんだけどさ。僕に関してはもう庶民だからっはっはっは!ちょ、ていうか、ふふっ、こんな話いいんだよ!はっはっは!音楽の話聞きたいの!そう!で、どう?今年でデビュー20周年なのかな?なんかこう、デビュー当初と比べて一番変わったところってどういうところ?」
「・・・・・」
「どう?あんまり考えたことない?」
「・・・・・」
「え?無視?」
「・・・・・あの〜、n」
「ちなみに僕はさ、曲の作り方も全然変わっちゃっててさ。昔は詩を先に書いてそこにメロディー当てはめてく感じだったんだけどさ。今はもう逆だもんね。メロディーが先でさ。いつそうなったのかとかは覚えてないんだけど。そういえば昔、ブルーホワイトがデビューしたての頃?一回ライブ一緒だったよね?」
「・・・・」
「あれ?違うか。でもさ、なんていうかその〜・・・・・」
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