古田 亘 流鏑馬が見たいんだよね。 [第10回] 「天長地久」
2019年10月27日、神奈川県庁前 日本大通。
宇宙が永遠であるという証拠はない。人間が死ぬことに疑いがない。時間は過去から脈々と続いていて、それを僕らはどんどん忘れていく。
宇宙の果てを距離があるものだと考えていたけれど、実は時間と距離の関係は一緒に考えなくてはならないのかもしれない。さらに記憶も仲間なのかも。
流鏑馬神事の冒頭で行われる儀式の中に「天長地久の式」がある。師範が矢を大空に、そして大地に放つ姿勢をとる。
大きな空の下に僕らはいて、大きな大地の上に僕らはいる。天と地はただそこにある。僕らもただそこにある。
なにか大きな存在に抱かれているよう。しかし自分で立たなければならない。
(この連載は毎週火曜日に更新予定です)
古田 亘(ふるたわたる)
1971年、静岡市生まれ。制作会社にて様々なメディアコンテンツのプロデュース、ディレクションを手がけ、2001年に独立。浅野忠信初監督作品「トーリ」(’04年)のプロデュースや、サーフドキュメンタリー映画「アドア」(’07年)の監督として注目を集めた。テレビ番組、舞台演劇、映画などの写真、デザイン、映像演出を数多く手掛ける。2020年7月、写真集「YABUSAME」を刊行。神奈川県葉山町在住。
https://www.watarufuruta.com
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