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海保のディーゼル・セスナ(1)

5機のセスナはディーゼルエンジン搭載機。海上保安庁の選択。

(2019年8月時点の「やぶログ」記事です。)

2019千歳基地航空祭は8月4日、朝からいい天気です。魅力的な展示が多い中、今回は海上保安庁のセスナ172Sに注目しました。あまり目立たないけど、コレです。

ディーゼル・パワー

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▲ セスナ172S JT-AJA394A。隣はボンバルディアQ300(DHC-8-300)

かなり昔からよく見かける形で、小型飛行機なら何でも「セスナ」といわれた(る)ほどの有名機です。172(スカイホーク)シリーズで、現在は「テキストロン・アビエーション式 172S型」となっています。その172Sの中でも、海保が2018年に導入した5機のスカイホークは、いずれもターボ・ディーゼル仕様の「JT-A」モデルなのです。

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JT-A, DIESEL POWER

エンジンフードの表示から、ディーゼルエンジン搭載機であることが分かります。なぜ飛行機にディーゼル?と思うかもしれません。いま日本国内の空港では、航空ガソリン(AVGAS)の入手が容易でないという状況があります。入手できても高価だし。それに比べ航空ディーゼルエンジンの場合は、ほとんどの空港で調達できるジェット燃料(JET A-1)が使えます。そして燃焼効率が高く、実は環境にもサイフにも優しいという利点があります。機体価格がやや高価なことなどとトレードオフになりそうですね。海保が「172S JT-A」に決めた理由は分かりませんが、そのあたりも考慮したことでしょう。(JT-Aって何の略かと思ったら、Jet-Aらしい)

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▲ 航空祭会場の説明パネル(誤りあり!)

ディーゼルエンジンなので、いわゆる「燃費」が良いのですが、この説明に書かれた「航続距離:1,185 km」は 航空ガソリンを使うライカミング IO-360-L2Aエンジン(180 hp)のスペックです。

コンチネンタルCD-155ディーゼルエンジン(155 hp)を搭載したJT-Aモデルの航続距離は 1,639 km(885 nm, Cessna)ですから、担当者が勘違いしたのでしょう。それにしても、日の出から日没まで飛び続けられそうな「高燃費」ですね。

クローズ・アップ

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▲ プロペラは3枚、MT-Propeller製の複合材

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▲ ディスクブレーキ

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▲ 右主翼端

前縁寄りのNavigation light(緑)と 突起状のAnti-collision strobe light。黒っぽい仕切り板状のものは何でしょう? 衝突防止灯の閃光でパイロットがまぶしくならないようにするためかな?

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▲ Stall warning vane と Tie-down ring

接地直前の迎え角で減速していくとピーピー鳴ります。失速警報。

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▲ 左主翼の付け根

キャビンへの空気取り入れ口、冬でも日差しで大汗をかきました。

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▲ 左主翼にLEDランディングライト。背景にはローカライザー。

このように、外観は私が訓練で使用した古い172Pと大きくは変わらないようです。でも、写真は撮れませんでしたが、ガーミンG1000を装備したコックピットは大違いなンでしょうね。今どきのパイロット養成では、初めからグラス・コックピットに慣れておくことも重要視されるようです。そのパイロット養成のハナシは、引き続き(2)をご覧ください。


※ 写真はすべて、2019年8月4日、やぶ悟空撮影


海保のディーゼル・セスナ(2)へつづく


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