見出し画像

初心者のための、8つのシンプルな美容鍼灸処方

はじめに 〜美容鍼灸を取り入れないのは勿体無い〜

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
本記事では、シワの基礎知識を解説した後、額のシワ、目尻のシワ、口元のシワ(マリオネットライン、ほうれい線)に対するシンプルな8つの美容鍼灸処方について、イラストを交えながら紹介していきます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

現在、日本の鍼灸業界では、「美容鍼灸」というコンテンツが大きな盛り上がりを見せています。

一昔前は特殊な技術だった美容鍼灸も、街中にある鍼灸院の「美容」「美顔」を看板に掲げるようになりました。

「鍼灸師なら美容鍼灸ができて当たり前」という時代は意外と近い将来の話かもしれません。


いやいや、中には、

「てやんでぇ、美容なんてしゃらくせぇ!」というポリシーの向きもおられるでしょう。
 
事実「美容鍼灸」という言葉が広がり始めた十数年前には「あんなもん鍼じゃねぇ」という言葉で揶揄されたりもしました。
 
ですが、鍼灸を受療している利用者からしたら、どうでしょう?


美容鍼灸と言うものを聞いて、見て、興味を持って、勇気を出して「美容鍼灸を受けてみたい」と訴える利用者に何もできず、終わってしまうのでしょうか?

ポリシーで片付けるには、勿体無いことだと筆者は考えます。

しかし、いざ美容鍼灸をやってみようにもノウハウがない。
 
学ぼうと思ってみても多様化した美容鍼灸…どれを学んでいいのかわからないし、受講費が高くて二の足を踏んでいる…という方も多いのではないでしょうか。
 
この記事では、そんな「やったことないけど美容鍼灸を導入してみたい」と考えている鍼灸師の方に向けた、シンプルな美容鍼灸メソッドを紹介していきます。

その都合上、この記事をオススメするのは、○○式、○○流などに拘らず美容鍼灸を実践したい方となります。
 
すでに美容鍼灸を行っている人からすると、当たり前のことが書いてあったり、自分が習ったものと違う、自分の考え方と違う手法が登場すると思います。
 
それに違和感を覚える方にはオススメしません
 
本記事の価格についても、美容鍼灸施術1回で元が取れる値段に設定いたしました。
 
500円のハウツーを読んで、5,000円分の施術を行うことができれば元が取れる…という簡単なことではないと思いますが、足がかりには十分な情報を記載しています。

尚、実際の刺鍼に当たっては自己責任での施術をお願い致します。

上記のことをご理解下さった場合のみ、本記事の内容をご覧頂けたらと思います。

シワの正体

日常生活で、人が「シワ」と認識するものは、大きく次の3つが存在します。

①小ジワ

②表情ジワ

③真皮のシワ

この記事では、上記3つのシワに関して、基礎的な情報を紹介していきます。

ここを飛ばしてしまうと、利用者に対して行うインフォームド・コンセントにとって大きなマイナスになりますので、美容鍼灸を実践する場合、必ずご覧頂いた方がいいかと思います。

①小ジワ

人間の皮膚は、角質層に存在する脂質が水分を蓄えることによって潤いを持ち、ハリを保っています。

ところが、皮膚が乾燥するとハリは失われ、地面のひび割れのように小さなシワが発生します。

これが「小ジワ」です。

例えば、冬場だけ目尻に小さなシワができるという人は、乾燥による小ジワの可能性が高いと言えます。

乾燥具合や皮膚の状態にもよりますが、化粧水などで消える、薄くなるシワは、小ジワと考えてよいでしょう。

②表情ジワ

表情ジワを理解するためには、表情筋について知らなければなりません。

表情筋は皮筋を構成し、付着部位が皮膚に入り込むことを特徴としています。 

通常の骨格筋は骨と骨に繋がり関節運動に働きますが、表情筋の機能は「皮膚を動かす」ことになります。

この表情筋が収縮することにより、生じるのが「表情ジワ」であり、喜怒哀楽などの情動を伝えるためのシワです。

一旦、表情筋が収縮すると皮膚がヨレてシワが生じますが表情筋の弛緩に伴い、皮膚のシワは消退します。

③真皮のシワ

表情ジワが固着し、消退しなくなったシワが「真皮のシワ」です。

上述の通り、表情筋の収縮によって作られたシワは、弛緩に伴い消退します。

ただし、表情ジワが消退するのは弾力のある皮膚だけです。弾力の低下した皮膚では表情ジワが真皮にまで刻まれ、消退せず残ります。

では、弾力を失った皮膚とは具体的にどのよう状態なのでしょうか。更に細かくみていきましょう。

紫外線のチカラ

真皮に存在するコラーゲンやエラスチンは、皮膚を裏打ちして弾力を持たせています。

これらの線維が変質してしまう要素としては、加齢紫外線が挙げられます。

40歳前後からコラーゲン量は減少し、エラスチン線維も切れてしまい、皮下の網目構造が壊れてハリや弾力を失います。

これを加速させるのが紫外線です。

紫外線によってコラーゲンを分解する酵素が活性化して、コラーゲン量自体が減少します。網目構造が壊れた皮膚に表情筋の収縮が加わることで真皮のシワへと移行していくのです。

表情筋の特殊性

当然、加齢自体は避けられないものですので、日常的には紫外線対策がシワの発生予防には不可欠です。

また、先述の通り、表情筋は皮筋を特徴的としていましたが、さらに特殊な性質も有しています。

それは「筋紡錘の欠落」です。表情筋は筋紡錘を欠き、収縮と弛緩のプロセスが通常の骨格筋と大きく異なることが挙げられます。

その都合上か、表情筋の収縮を頻繁に起こす人や、同じ表情を繰り返したり持続したりする人は、表情筋が硬くなります。

つまり、シワに関して言えば表情筋を狙うことが美容鍼灸の目標になります。

そこで今回の記事でポイントとなる表情筋の模式図を紹介します。刺鍼する際、大まかな表情筋の位置をイメージしてみて下さい。

実際の刺鍼

それでは早速、実際の刺鍼部位と刺鍼方法を紹介していきましょう。

尚、刺鍼深度は0.8〜1㎝程度を想定しています。

①巨髎 ②顴髎 ③地倉 ④迎香
⑤夾承漿 ⑥攅竹 ⑦瞳子髎 ⑧陽白

上記の8箇所でオーソドックスなシワの愁訴に対応できます。
一つずつ確認していきましょう。

ここから先は

966字 / 16画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?