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第3回ニシオギ俳句部 2020.1.19_レポート

BREWBOOKS(@_brewbooks)さんでのイベント、第3回ニシオギ俳句部 2020.1.19に参加した。

第3回目のイベントですが、私は初参加。
俳句はそんなに詳しくもなく、俳句を作ったこともほとんどない。
しかし、新しいことをしてみたい!という本当に気軽な気持ちで参加した。

今回のテーマは「なりきり句会」
過去2回は実際に外に出て吟行をしていたが、今回は完全室内スタイルの「なりきり句会」。「もしもあなたが●●●だったら?」という縛りありの、特別な句会だ。


しかも、なりきりのお題は「職業」
正直、なりきりとはどうすれば良いのか?しかも職業…。サラリーマンしかしたことないぞ…。
と不安な気持ちのまま会場入り。

会場はBREWBOOKSさんの2階。畳のお座敷。
今回は、部長や私を含めて6名の参加。皆さん、アルコールを片手にお菓子をつまみながら和やかな雰囲気で開始。この時点で前日からしていた緊張もほどけ、あぐらをかかせていただく。

はじめに部長とMさんの作成したレジュメを読み込む。
テーマは「新年」。新年の季語を詠み込んだ句が20句ある。
それぞれどの句が好きか、または気になるポイントを発表していく。
6名いれば好みも異なる。気になるポイントも異なる。皆さんのコメントに部長が解説を加える。より読みが深くなる。雑談の延長のように話せるので何より嬉しい。

6名それぞれ話していくと、たっぷり45分経過。
時間が経つのがとても早い。手元のメモもどんどん増えていく。
これだけで2時間経過してしまうかもと思う。

そして、いよいよ本題。「職業」になりきって俳句を詠む。


まずは職業を選び、短冊に記載する。
少しだけ緊張の一瞬。正直、事前に選択していかなかったので、思いついたものを書きつける。
そして、全員分をシャッフルし3枚ずつランダムに選ぶ。
私は想像もしなかったものを引いてしまった…。衝撃のお題は後ほど。

皆さん、淡々と選び、黙々と考える。制限時間は15分間。季節は「冬」もしくは「新年」。
歳時記を片手に黙々と熟考。ネットで季語を調べるのもOK。何より楽しんで作ることがこの句会のモットーだ。

部長が15分経過の合図を告げる。
みんなが息を吐き出し、延長を希望する。普段俳句は「なりきらない」ので一工夫必要だ。
私はだいぶ苦戦。これはいける!と思っても文字数が合わなかったり、言葉の取り合わせが納得いかなかったり。しかし、17文字でこれだけ悩めるって貴重な機会だとも思う。

やっとのことで完成。そして選句、選評へ。
各々清書した紙をどんどん隣の人に回していく。自分が良いと思った句に自分の名前を書き隣の人へ。一周したらおしまいだ。

自分の句がどのように評価されるかを考えると緊張するが、皆さんの句を詠むことが面白い。
苦心の跡がにじみ出る句もあれば、すんなりできたであろう爆発力のある句まで。思考の跡がより如実に出るのが俳句か、とも実感した。

自分の句が手元に戻ってきたら、皆さんの選評を聞く。
自分で句を詠みあげ、点を入れてくれた方のコメントをもらう。
ここが句会の醍醐味だろう。
自分の読みと同じ方がいると嬉しかったり、逆にまったく異なる解釈、しかも正反対だったりすることも。そんな時でも解釈を聞けば情景が浮かんできて、イメージを共有できる。
たった17文字でもこんなに受け取り方に違いがあって、それぞれ個性があることに感心しきりだ。

しかも今回は「なりきり句会」。
何の職業かも推測しながら聞くので、皆さんの解釈はより聞き応えがある。
そして職業が明かされた後でも職業感の違いや、その職業の人が仕事をしている時なのか、オフの時なのか。じわじわと分かる感覚が新鮮だ。
終始和やかな雰囲気で、様々なイメージがお座敷を飛び交っていた。

ちなみに私が作成した句と、部長の句を紹介。

まぼろしかあかきベルトのオリオン座

これ、職業はなんでしょう…!?



答えは「セミ」。斜め上過ぎて、面食らった…。
冬なので土の中で過ごすセミ。ベルトが目印のオリオン座は噂には聞くけど、見たことがない。そんな星座、あるのかしら?という気持ちを込めて作った。セミになりきるのはもちろん初体験。
まだまだ修行が必要だ…。精進します。

続いて部長作。

判型の小さき冊子や冬の空

この句の職業は「デザイナー」。比較的広義なお題。
小さい冊子と冬の空の対比。冊子を作成する人の背後に広がる寒々とした冬の空。悲しげな情景が良いと思った。

※部長の許可を得て掲載しています。

皆さんの選評が終わる。
今回、飛び出したお題は、消防士、ロックミュージシャン、外科医、数学者、体育教師、銭湯で働く人、ペット、セミまで、本当に多種多様。
選んだ職業について、こんな風に書いて欲しかった!との要望も出る。

と、ここから話は発展する。

俳句におけるフィクションはありか?なしか?
俳句におけるフィクションはあまり良くないとする風潮があると。ただし、今回のように「誰かへの仮託」を前提とすることを宣言しておけば良いのでは?

という話から、
・文学作品における虚構性とは?
・作者を作品に介入させるか?否か?
・作者や作者の背景を知った上で、俳句や小説を読むのはどうか?
のような、深いお話も飛び出す。みんなが思い思いに意見を述べる。

さらに、俳句における「切なさ」と「刹那」のお話から、お金持ちは俳句を作るのか?といった素朴?な疑問まで飛び出し、ワイワイと話をする。
難しいようなお題でも、みんなが気張らず楽しく。議論というよりは、雑談をしている印象で、本当に部活動をしているような時間だった。

楽し過ぎて1時間ほど時間が押してしまった。この話たちを発展させるにはまだまだ時間が足りない!と後ろ髪を引かれながら終了。

歳時記欲しいな、そして、今回いただいた意見を持ち帰って推敲したいな、と思いつつ、Macbookを立ち上げた次第。

【感想】
初めて参加した句会。
少し特殊な句会だったが、とても楽しめた。歳時記が欲しくなった。
前日までは割と緊張していたが、終始和やかな緩く和やかな雰囲気だったので、心配は杞憂となった。嬉しい誤算。
次回があればまた参加したい。部長!企画をよろしくお願いします。笑


もし、参加を踏みとどまっている方が、このレポートを読んで参加を決意していただいたら何よりです。

※写真は参加者のMさんよりご提供いただきました。ありがとうございます。

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