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「普通」を捉え直して「ぎゅっと」を聞けるようになるまで

Sexy Zoneの「ぎゅっと」という歌があります。

「いつでもちゃんと見てるから 大丈夫」というサビの歌詞に何度も励まされてきました。しかし唯一聞くたびにモヤっとしていた部分があります。

それが1番のここです。

普通に就職して だれかと結婚して
普通に帰って 普通に眠る

いや、それ全然普通じゃないんですが!?

少なくとも私にとっては、だれかと結婚するのも普通に帰って普通に眠るのもそんなに普通じゃない。

結婚して子どもを持って〜みたいなことを普通だと言われたら鼻で笑ってしまう人間です。過去を振り返ると、帰り道で「このままここでぶっ倒れたい」と思ったことも電車の中で泣きながら帰ったこともあります。上手く眠れなくて明け方になったり、寝付けない割に早朝に起きて睡眠時間を確保できなかったりなんてしょっちゅうです。

逆に「普通に就職」はできた側だからスルーできるけれど、きっと「普通に就職して」にダメージを食らう人もいるでしょう。だからこの普通シリーズに少しだけモヤモヤしますし、好きな歌詞がある割に自分からはあまり聞けませんでした。

そんな細かいことで……と自分でも思います。まあモヤモヤするなら聞かなければいいんです。Sexy Zoneだけ見ても他にたくさんの曲がありますし、世界にはSexy Zoneの曲以外にも音楽があります。合わないなら別の曲を聞けばいいのです。いや〜、いろんなエンタメがあるって素晴らしいことですわ。

しかし先日、どうしても「ぎゅっと」を聞きたい日がありました。仕事がしんどい日の帰り道、どうしてもSexy Zoneに「いつでもちゃんと見てるから 大丈夫」と歌われたかった。他の歌じゃダメだったんです。

すがるような気持ちで再生し、流れてくる歌詞を脳内で追いかけました。

普通に就職して だれかと結婚して
普通に帰って 普通に眠る
まぁいっか またまぁいっか
なんてねなんてね 言うね

「あ、『まぁいっか』だわ」と思いました。

普通に帰って普通に眠れていない今だけれど。仕事のことで頭がいっぱいで、同世代が恋愛や結婚の話をする中でだれかとそうやって過ごすイメージが何一つ湧かないけれど。もしそれが「普通」で、逆に今の自分は「普通」じゃないんだとしても「まぁいっか」。そう思いました。

すると歌詞の「普通」シリーズへの違和感がスルスルと溶けていきました。それは「ぎゅっと」が自分の中で腹落ちした瞬間でした。

「普通」でもまあいっか。「普通」じゃなくてもまあいっか。本当の君でいいじゃん。自分にだけは嘘をつかないで。自分だけは絶対離さないで。いつでもちゃんと見てるから、大丈夫。

そんな風に思いました。

きっとこれは拡大解釈です。「普通があるから特別がある」「日常があるから非日常が楽しい」。そういうニュアンスを感じる歌ですし、作詞で関わった風磨くんがライブの曲前にそういう話をしていました。「普通でもまぁいっか」がストレートな聞き方でしょう。その聞き方で救われる人もきっとたくさんいます。

だから自分のような解釈をすべきだなんて思いません。そう解釈できるSexy Zoneの歌詞って素敵〜〜♪とも言いません。多様性のアイコンになりやすい彼らだからこそ、なんでもかんでも結びつけないほうがいいかなあとも思っているので……。

でも私と同じ理由で「ぎゅっと」を聞けない人がいたら「こんな風に考えてみることもできるのでは?」とお伝えしたいです。だからあえて筆を取りました。

この拡大解釈をぎゅっと抱いて、自分なりに「ぎゅっと」を聞いていきたいと思います。