水辺にて②

控えめなギター。ピアノの音に額を撫でられるようで、頭のそのさらに奥をストリングスが覆う。
そこに溶け込むボーカルは、まるで愛しい人へ手紙を書くように、一字一句を丁寧に追う。

陽が差してきた。
音が跳ねる。私の胸も、つられて跳ねる。

今日はうちに帰ったら思いの丈を綴ろう。紙とペンはどこに仕舞ったっけ。筆が滑るままの言葉はきっと、私の心を穏やかにしてくれる。この木々も、バス停の看板も、波も風も、潮の匂いも全部、文字に刻みつけるのだ。いつか読み返して、きっと思い出す言葉のタイムカプセルになる。

キュッと踵を鳴らした。
そっと服の袖を捲る。
涼しかった風はもう熱を帯びて、季節の移ろいを知らせているみたいだった。背中が熱い。

今日はどんな日になるかな。

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