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観劇記録

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#北陸の演劇

俳優座劇場プロデュース『十二人の怒れる男たち』

1954年に放映されたアメリカのテレビドラマが元となった作品である。同時期に他でも上演されていたので、そちらを見た人もいるかもしれない。長く上演されている作品なので過去に見た人もいるかもしれない。私は映画も舞台も見たことがなかった。
 
一般的に主役と言われるのは陪審員8号である。だが、この俳優座プロデュース公演では8号が主役かと言われると首を傾げる。8号は満場一致で有罪となるだろ

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プロレタリア川柳作家T.AKIRAの過去と現代

石川県旧高松町出身の鶴彬(つる・あきら)。県内出身だからこそ名前を知っていたんだと思うけど、県内出身だと認識していなかったし、日本画家か何かだと思っていた。プロレタリア川柳作家と呼ばれる鶴彬は、その川柳が治安維持法に触れるとして収監され獄中で赤痢に感染して亡くなる。劇中で彼の川柳が映像で映し出されるのだが、作品だけを見るとどうして法に触れたのかわからない。治安維持法がそういう法律だったのだろうけど

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チャリカルキ公演『居場所』

(ネタバレがあります。ご注意ください)

小松の街並みはかなり古く範囲が広い。金沢をしのぐほどだという文章をウェブ上で見たのはいつだっただろうか。町の中心には加賀藩三代目藩主前田利常の隠居城小松城の天守閣跡があり、その周辺にある教育機関や公共施設は小松城跡地に建つ。チャリカルキ公演の会場であった「こまつ町家文庫」は小松城址に程近い商店街にあった。手前に店舗、土間を通って中ほどに古本の本棚があるスペ

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岩松了『市ヶ尾の坂-伝説の虹の三兄弟』を観てきました。(修正しました)

(2018年8月13日に修正しました)
実は岩松了さんと松村武さんがごっちゃになることがよくある。そんなの私だけだろうか。今回、この舞台を見てめでたくちゃんと覚えることができた。もう間違えない。 
3兄弟は市ヶ尾の坂にある一軒家に住んでいた。そこに訪れる芸術家の妻・カオル(麻生久美子)と次男・隼人(三浦貴大)の会話がまどろっこしくてリアリティがあった。同じような年齢なのだろうか。お互いを意識してい

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『コント鍋フェス』~コントとは…?

座った席がとにかく演技スペースに近くて、どこを見ていいかわかりませんでした。目の前の出演者のお腹辺りを見てたかなぁ。隣に座っていた友人も首辺りを見てたと言っていました。『コント鍋フェス』は金沢市芸術村里山の家で行われました。土間から家に上がると板の間があって、その奥の和室と繋がっています。一つの空間に演技スペースと観客スペースがある感じ。椅子席もあったのですが、半分以上は座布団席。その最前列だった

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ピュアマリー『殺しのリハーサル』をみてきました

 能登演劇堂で上演される芝居は結構好みだ。軽すぎず重すぎず、そしてちょっと見てみたいなと思う俳優が出演する作品が上演される。『殺しのリハーサル』はもう一度見てみたいと思っていた山口馬木也が主演だった。
映画で活躍していた女優モニカ(サヘル・ローズ)が主演舞台の初日に自殺をした。初日の劇評が芳しくなく、それを苦にした自殺だった。結婚間近だった恋人で劇作家のアレックス(山口馬木也)は自殺ではなく殺人だ

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