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足関節背屈制限の原因になりやすいショパール関節

距骨

捻挫後など足関節の背屈運動が問題になることは臨床上よく見かけます。

よくある原因として背屈運動の際に距骨が後方に滑らずにつまってしまいます。

距骨には筋が付着していません。
つまり、距骨の後方への移動は周りの筋、靭帯など軟部組織の状態の影響を受けます。

軟部組織の状態を整えること、そして踵骨の異常な傾きがないよう整えていきましょう。
(立位時に後方からアキレス腱と踵骨の角度がまっすぐかどうかチェックしましょう)

また、荷重時に距骨は踵骨に対して内旋して関節の適合性を高めます。

しかし、距骨が過度に内旋位になることが臨床上多いです。

そうすると脛骨がバランスをとるために外側に傾き(過度に外旋もします)、O脚となり膝の内側は圧縮ストレス、外側は伸張ストレスが起こります。

足はヒトが移動する時に唯一地面に接している部分です。
足部のアライメント異常や機能低下が、膝の痛みや腰の痛みの原因になったりします。

これを防ぐために距骨が正常に機能するよう、周囲の軟部組織を整えることは重要です。

しかし、臨床上それだけで解決しないことも多いです。

そんな時はショパール関節の動きやアライメントをしっかり評価してアプローチすると上手くいくかもしれません。


ショパール関節

ショパール関節(横足根関節)は、踵骨と立方骨で構成される踵立方関節と、距骨と舟状骨で構成される距舟関節から成ります。

運動は回内・回外方向に動きます。
この動きが正常にでていないと距骨の動きに影響を与えます。

立方骨と舟状骨といえば、足部のアーチのキーボーンですね。

外側縦アーチでは立方骨が下方に落ち込んでいる人が多く、そうなるとショパール関節は回外してしまいます。

回外したまま荷重をすると支持面が狭くバランスが取りにくいので、内側縦アーチや横アーチが扁平化することでバランスをとろうとします。

扁平足などは内側縦アーチの低下でそこにアプローチする方は多いですが、外側縦アーチにも注目してアプローチしていきましょう。

内側縦アーチが潰れることによって舟状骨が落ち込むので、距舟関節を繋ぐ靭帯に牽引され距骨が前方かつ内旋方向に偏位してしまい、距骨の正常な動きを阻害してしまうのです。

このように、ショパール関節の問題が距腿関節の動きにも影響を与えているので、きちんと評価してアプローチできるようになりましょう。


外側縦アーチの評価

捻挫後で荷重をかけると痛みがある場合など状態によっては、荷重下での評価はリスクが伴います。

荷重下での評価と比べるとやや正確性は欠けますが、簡易的な評価で第五中足骨頭と第五中足骨底の高さや可動性をチェックしましょう。

立方骨が落ち込んでいるなら第五中足骨底が骨頭より落ち込んでいます。
また、背屈方向への可動性はありますが、底屈方向への可動性が乏しかったりします。

荷重が可能な状態であれば、指を立方骨の下に突っ込んで立位をとってもらいます。
立方骨の高さに問題がなければ指が抜けますが、立方骨が落ち込んでいる場合は指がつぶされて抜くのに苦労します。

このようにして外側縦アーチの評価をしましょう。

立方骨の落ち込みが確認されたら、立方骨の下にある脂肪体や小趾外転筋が癒着して滑走不全を起こしていることがあります。
ここを丁寧にリリースしてあげましょう。

加えて、徒手的に立方骨を押し上げたり、ペンなどを立方骨の下に入れて荷重をかけるなどの方法も行っていきましょう。

また、長腓骨筋・短腓骨筋の機能低下も確認し、必要があれば筋力訓練や滑走性などの問題を解決する必要があるのも忘れずに。

まずは外側縦アーチに対してアプローチしてから内側縦アーチに対してアプローチしていく方が効果がでやすいです。



内側縦アーチ

内側縦アーチの問題では、舟状骨ではなく内側楔状骨がアーチのトップになることが多いです。

まずは、舟状骨と内側楔状骨の高さをチェックしましょう。

母趾外転筋との間の滑走性が低下しやすいのでしっかりとリリースしましょう。
また、舟状骨を下から押し上げ、楔状骨を回内方向に動かして舟状骨がアーチのトップになるように徒手的にも操作します。

さらに、後脛骨筋や前脛骨筋もアーチ形成に重要ですのでこれらの機能低下がみられたら、筋力訓練や滑走性の改善を図りましょう。


終わりに

足関節の背屈制限は、捻挫の既往がある人は残存していることが多いです。

これは痛みがとれたからと、リハビリが不十分な状態で終了してしまっていたり、捻挫はほっとけば治るなど安易に考えてしまっている方が多い傾向にあるからだと思います。

冒頭にも述べましたが、足部の問題によって膝や股関節、腰痛などの問題に発展している方はとても多いです。

適切に対処すればほぼほぼ改善できる問題です。
痛みがないから良しとするのではなく、しっかりと機能回復していきましょう。


お読みいただきありがとうございました。


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