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【はじめてのIT勉強会】 地方(仙台)でフリーランスITエンジニアをする難しさと良さ

この記事は【はじめてのIT勉強会 Advent Calendar 2020】の2日目の記事です。

TL;DR

・地方ではITエンジニアとして自身の技術を磨いていくのには難しさはある
・一方でコミュニティの間口が広いため他業種にも目が行くので視野が広がりやすい
・なので、地方に移ってみるのもひとつの選択肢になるかも

筆者について

社会人になって以来ソフトウェアエンジニアをずっとやってきました。退職に伴いフリーランスになったこともあって東京にいる必要があまりなくなったので、2019年8月に東京から仙台に移住しました。
半ば勢いだけで東京を出ることを決めただけの1人の身軽な引っ越しです。

私にとって仙台に特に思い入れはなく、いくつかあった引っ越し先候補の中から「東京にアクセスしやすい」「引っ越し先候補の中では生活が楽そう」という理由で仙台を選んでいます。

仙台について

仙台市は宮城県の県庁所在地で、人口は109万(2020年)の東北で唯一の政令指定都市です。
東北大学をはじめ大学や専門学校が多いため、主に東北地方からの進学者が多く、19〜22歳人口が全国の平均に比べてかなり多いのが特徴です。
仙台と東京の距離はおよそ350キロほどで、仙台駅〜東京駅間は新幹線だと最短89分。政令指定都市の中では短時間で東京に出ることができます。

仙台がどんな感じの街かについては下記の記事に書きましたので、興味があれば見てみてください。

はじめてのIT勉強会 in 仙台について

はじめてのIT勉強会 in 仙台は、仙台で毎月第4水曜日に定期開催している勉強会です。
この勉強会は『いろいろな不安があって勉強会への参加を躊躇っている方が気軽に参加し、「一歩目」を体験しつつ、明日から役立つ知見を獲得するための勉強会です。』という主旨になっており、間口の広い勉強会です。

私はソフトウェアエンジニアになってもう長いですし、仙台に来る以前からIT系勉強会には参加していたので、「はじめてのIT勉強会」の対象からは外れています。しかし、本勉強会の間口が広いのと、仙台で定期開催していることもあって、空きがあればちょくちょく参加させてもらっています。

仙台のIT界隈の状況(私感)

私はフリーランスとして東京の仕事を個人でやっているために仙台のIT界隈については伝聞が大半なのですが、私が見聞きしている限りでは下記の通りの印象でした。

・東北電力関係か、東京のSIの下請的なものが多い
・なので、SES(System Engineering Service)も盛ん
・ウェブ関係は地元の会社のホームページをWordPressで作成するのが中心
・言語としてはJavaとPHPをやる人が多そう
・Railsについては今後増えそうだけれど、今はRailsをやる人は少なそう
・同様にKotlinもJavaの代替として今後増えていくかも

(個別個別で見ていけば上記に当てはまらない勤め先や案件もありそうではありますが)

ゆえに「Rustをやりたい」とか「ブロックチェーンやりたい」みたいなエッジの効いた技術を勉強したいと思ったときの受け皿がなくて独学だけでなんとかする必要に迫られたり、Pythonでの機械学習といった東京圏ならそれなりに人の層の厚そうな分野でもやっている人はみかけなかったりします。

地方でエッジの効いたITエンジニアは生きていけるか

私自身はAndroid/iOSのスマートフォンアプリ(ネイティブ、Flutter、たまにUnity)を作るのがのが主なお仕事です。自分が特殊な技術を扱うエンジニアだとは思ったことはないし、東京圏ならばスマートフォンアプリを作って仕事をしている人は珍しい存在ではありません。
しかし仙台(または東京圏以外の地方)だと、スマートフォンアプリをやっているエンジニアは少ないです。おそらく仙台だと10人いるかどうか(ゲーム系を除く)でしょう。多くても15人を超えないと私は見ています。

なので、仙台だと私のような普通のスマホアプリエンジニアでもエッジ側になってしまいます。スマホアプリを開発する同志がいないので、技術のことを身近に相談できる人はいないし、スマホアプリ開発の勉強会といったものものも存在しません。
こういう状況なので、どうやってエンジニアとして腕を磨いていくかは地方における仕事上の課題だったりします。

とはいえ、最近では良い書籍やオンラインの勉強会も増えてきたこともあり状況はよくなっています。

他業種が身近であるという強み

地方では人の層が薄いのでITエンジニアとしてどのように自身の技術を磨いていくかという難しさはあるものの、人の層が薄いことから勉強会やコミュニティの間口がどうしても広くなるために、コミュニティにいる人は多様です。

「はじめてのIT勉強会 in 仙台」の参加者にも、ウェブ関係でガチガチ技術をやっている人から、VR/ARやってる人、SI関係の若手、ゲーム関係の人、情シスの人、IT系コミュニティをやっている人、人事の人、他業界から転職してきた人など多様です。
東京圏だと狭い技術範囲でもそれなりに人数が居るためにコミュニティが成り立つのですが、狭い技術範囲ですらコミュニティが成り立ってしまうために多様性のあるコミュニティは成り立ちにくいように思います。

私自身、東京に居るときには情シスの人やSESの人とは全くといっていいほど付き合いがなかったのですが、「はじめてのIT勉強会 in 仙台」を通して付き合いができるようになりました。
事業や人材育成、企業内の統制や法律の話といった今まであまり聞くことのなかったような話も本勉強会などで聞くことが増えました。
東京に居た頃には技術と自分の生活を考えていればよかったのに比べても、今の方が目先が広がっているのを感じます。

「はじめてのIT勉強会 in 仙台」の外に目を向けてみても、コミュニティの間口が広く他業種との壁が低いところが多いように思います。

地方の強み

地方ではITエンジニアとしてどのように自身の技術を磨いていくかという縦の方向に進む難しさはあるものの、コミュニティの間口が広いことから他業種にも目が行くことにより横の方向に歩を進めやすい状況です。

「東京でエンジニアをやっていたけれども、それなりに経験を積んだし、じゃあ次どうしようか」みたいな壁にぶつかったときに、東京を出て地方で暮らしてみると別の視点も得ることができるので、地方に移ってみるのも面白い選択肢のひとつだと思います。
その地方にとどまるにしろ、東京に戻るにしろ、または別の地方に移るにしろ、一定の経験とスキルを得たあとでの「東京を出た」という経験は無駄にならないでしょう。

ちょっと覗いてみよう

仙台におけるIT関係だと「はじめてのIT勉強会 in 仙台」は間口が広いので、地方や仙台への移住を考えているならば参加してみるのもよいかもしれません。
最近はオンライン参加の枠もありますので、遠方からでも参加しやすくなっています。