未成年者のSNS出会い事件対策の啓発について

小学6年女児のSNSによる出会いの事件が風化してしまわないうちに。
※2019/12/14 利用規約・アプリレーティング資料追加

■私が子どもと保護者に提案している対策

私は以下のような対策を子どもたちおよび保護者に提案している。

1.スマホ・ネットは必要なことに限定して必要な時間分だけ使う
必要が無ければ使わない。
利用機能、利用時間にスクリーンタイム(iOS)、ファミリーリンク(Android)等で必ず制限を掛け、保護者に管理してもらう。

2.利用者(つまり子ども)が利用規約を読み、理解して同意し、順守する。
利用規約はもちろん、アプリに示される年齢制限も順守する。保護者はアプリの年齢制限を子どもが守れるように設定する。

3.子どもがSNSを利用する必要がある場合には、その利用方法と利用内容について保護者の許可をもらい、保護者は投稿内容のチェックとリスクからの保護を子どもに約束する
アカウントは保護者が取り、保護者はアカウントへのログインができ、書き込み内容は常にチェックできるようにしておく。
第三者へのプライバシー保護と悪意のある大人が近寄るのを防ぐために、プロフィールには「保護者チェック中」と記載しておく。
※なお、このような保護者のチェックは、子どもの同意があり、SNSを通じて知り合う人への告知があれば、プライバシー侵害にはならないと考えるが、プライバシー保護などに詳しい方、確認お願いします。

保護者が責任を持つため、子ども自身が身を守るためには、上記のような対策が最低限必要だと考えている。
私は「利用規約を読んで理解できない者は、そのアプリを利用する能力はない。」と考えている。


アプリレーティング(令和元年12月版)①

アプリレーティング(令和元年12月版)②

■事業者、社会の責任

これらのことを、子どもと保護者の責任に押し付けるのは、社会として無責任だ。
スマホ等の販売事業者、ネット事業者は以下のような対策をすべきであり、社会はそれを各事業者に要請、あるいは法制化するべきだと考える。

1.未成年者のスマホ・ケータイは通話専用を初期設定とし、保護者が子どもとの話し合いで1機能ずつ解除する手順を徹底する
保護者に子どもとの話し合いのやり方を解説して保護者が許可した範囲で機能制限を解除する方式にする。1週間に1つ以上の機能解放はできないようにするのがベター。

2.未成年者の利用を認めるアプリは、利用対象下限年齢の利用者の平均的発達段階に応じた利用規約を提示する。
利用規約を理解できない場合、利用規約を守れない場合は、利用を認めないことを明記する。スマホアプリの場合は、スマホ利用者の年齢に合わせてアプリをインストールさせず、また動作もしないようにする。

3.アカウント取得 および 情報発信を伴うアプリ・サービスは保護者の同意と内容確認を必須とする
現在のSNSは犯罪や社会に対する影響力を考えたとき、単に年齢制限だけではリスクの回避もトラブルが起きたときの対応もできない。保護者の同意と書き込み内容チェックを必須とする。保護者であることを確定的にするためには、iOSのファミリー共有、Androidのファミリーリンクのような仕組みを経由してでなければ未成年者のアカウントは作成できないようにする。

これだけやれば、今回のような事件は激減すると思われる。
(ただ、ここまでやっても、多分ゼロにはならない)

■こんな啓発はやめて欲しい

ネットリスク、ネットモラル、ネットリテラシーを啓発してる方の中に、

SNSで仲良くなった人に会いに行く場合には、親や友人に伝えてから、日中に人が多い場所で複数人で会うことを約束させておく。

などという対策を提示している方がかなりいらっしゃる。マスコミもこれらの対策を「上手な使いかた」として報道している。
これは、小中学生の出会いを保護者が認め、リスク回避にはならないどころか、友人も一緒に危険に巻き込まれる「対策」なので、広めるのはやめて欲しい。

・SNSを小中学生が使うのは時代の流れ
・オンラインだけの知り合いがいることは普通
・仲良くなり会いに行くケースも多い

だから、より現実的な対策を提示しているという感覚なのだろうか?
ただ現実の前になし崩しになり、そのリスク感覚、モラル感覚が麻痺して、リテラシーが崩れているに過ぎない。

モラル・リテラシーを説くのであれば、スマホ、ネットのアプリ・サービスを利用するには、何にも優先して、まず「利用規約を読み、理解し、順守すること」を伝えるべきだろう。
これらサービス提供者との約束(契約である)のほうが、保護者との約束より優先するのがネット社会という大人社会だ。
また、アプリ規定の制限年齢を守ることはリスク対策でありモラルである。
アプリ規定の制限年齢が利用規約に明記されてないアプリは、モラルハザードのあるアプリとして、Appストア、GooglePlayは、許諾してはならないと考える。

また

・悪用する大人がいること
・ネットでは年齢・性別・職業などを偽ることができること
・ネット経由で知り合った人に会いに行くリスク

これらのことを子どもに伝え、自衛できるよう教育すべき、としている方もいる。そして「それらの教育は小学生でも遅い」とする方も。
一見正しそうに見える。

しかし、子どもが、ネット社会というリスクの高い大人社会に触れてもよい発達段階に達するまでは ~ それは、高校生でも早いのかもしれない ~
この大人社会に子どもが近づかないように、社会的なハードルを設けることが、子どもの権利を守ることであり、大人に課せられた責任であると考える。

子どもには発達段階に応じて「守られる権利」がある。

「ネット社会のリスクを伝える」ことはあってよいだろう。
しかし、「それらのリスクからあなたたちを守るために、大人はこれこれをする」と合わせて伝え、子どもをリスクから守ることが可能な厳重な対策を取る責任が大人にはある。
社会性の発達段階からして、幼児期、小学生低学年の時期までは、スマホやネットに触れさせるべきではない。
小学生高学年や中学生でも、本人が特に望み、社会性が十分発達していない限り、保護者が厳重に管理し一人で使わせてはならない。
リスクを冒してでも大人社会にアクセスする必然性のある中学生と、大人社会へのステップを踏む高校生は、大人の保護を受けながら段階的に大人社会に入っていけばよい。

すくなくとも、「無責任」あるいは「保護者・子どもに責任転嫁する」ネットリスク、ネットマナー、ネットリテラシー啓発は、してはならないと考える。


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