RUN3.0と言ってみる。

早野さんと僕

2018年11月1日にJAAF RunLinkプロジェクトが発足し早野忠昭東京マラソンレースディレクターがチーフオフィサーとなりプロジェクトを進めることになりました。早野さんと僕はほぼ毎日LINEであーだこーだ、連絡を取り合っています。僕たちが今必死こいてやっているのが、「東京マラソンの次」の価値観を考えるということです。僕たちは勝手に”RUN3.0”と言っています。

2007年に東京マラソンが開催され、全国各地に大規模マラソン大会が生まれ、笹川スポーツ財団から出ているジョギング・ランニング人口(年1回)の数字では2006年606万人から2012年1009万人と倍近く増加しました。けれど2012年をピークに減少傾向2016年に893万人まで減少してしまいました。オリパラ開催が決定し各地で気運醸成イベントが行われているにも関わらず。。。行政担当者もスポーツ人口が増えません、、、と頭を抱えている状況です。2018年再び盛り返しましたが、オリンピック特需といった感じもしていますし、何もしていないと再びダウントレンドに戻ってしまうのではないかと危惧しています。

BOTTOM5COUNTRY

昨年6月にWA(世界陸連)からのレポートが出ました。恐らく世界陸連公認のマラソン大会のリザルトデータから分析した結果なのですが、なんと日本は女性の参加率が低い「BOTTOM5COUNTRY」だと言われてしまっているのです。超悔しいです。トップ5に入っているイギリスは女性参加率が58%です。一方日本は17%です。マラソン大会主催者と会話しても年々年齢層が上がり40代、50代が大半を占めているし、男女比は大体8:2ぐらいだと聞いていますので、世界陸連のレポート通りの感じがしています。



コンセプトはFusion Running

どうやってこの課題解決に向かうかというと、早野さんのオリジナルの考え方で「Fusion Running」という考え方があります。走りながら音楽を聞いてテンションを上げたい人もいれば、走った後のビールが楽しみで走る人もいる。"Fuse Anything You Like into Running=あなたの好きなものをランニングに融合させる」という考え方です。早野さんはアシックス時代も今の東京マラソンでも一貫してこの考え方で仕事をされています。

RunLinkでも昨年6月に渋谷を中心に「Running Week」というイベントを開催して、走った後にビールを飲んだり、ライブをやったり「陸連に怒られそうなイベント」を各地で開催してみました。規模は小さいですが、女性や、あまり走ったことない人たちも参加してくれて、脱体育会みたいなノリが必要だなぁと思いました。そういうことを体育会の総本山みたいな陸連がやることにひとつ意味があると自負しております。

原体験は"Bolder Boulder"

早野さんがFusion Runningの考えに至った原体験はアメリカのBolder Boulderというイベントです。僕は行ったことがないのですが、とにかく自由なランニングライフがあって、大会でも沿道でバンド演奏があったり、ランナーもそれぞれ自由な格好でとにかく楽しそうに走っている。歯を食いしばって走っているような日本のスタイルとは全然違った光景に衝撃を受けたそうです。ちなみにボルダーは高地トレーニングの聖地になっていますが、早野さんが30代に先生を辞めてボルダーに留学した際に現地コーディネーターをしたところから始まったそうです。


OTTに見る東京マラソンの次の価値観

(スポーツビジネス界でOTT(OverTheTop)というとDAZNとかネット配信のことを言いますが陸上界でOTTはオトナのタイムトライアルのことを言います。)それはさておき、OTTが良いところはトップ選手がペースメーカーになってくれることも魅力のひとつではあるのですが、一番は「手作りであること」ではないしょうか。

マラソン大会のようにきっちり舞台が用意されていてお客さんとしてただ走るだけでは物足りなくなってきているのではないかと思っています。ネット用語ですがUGC(User Generated Contents)の考え方、このnoteもそうですがユーザー自身がコンテンツを作っていく形がネットの世界では主流になりつつありますが、オフラインのイベントの世界にもこの流れがきているということなのでしょう。

フルマラソンやハーフマラソンを手作りでやるのは至難の業ですが、10K、マイル、トラックレースならできると思います。他にももっといろんな形があって良いし、別に公認レースじゃなくても良いとも思っています。

距離は一緒でも仕掛ける人が異なれば違うものになると思います。なので、もっと自由に気軽に自分たちのランニングイベントを作れる環境が必要なのではないか?それが結果的にFusion Runningのコンセプトの実現に繋がるのではないか、ということです。"RUN3.0"ってこんな感じではないかと思っています。

OTTはビジネスにならなかった笑

ではRunLinkでOTTみたいなことをやってみよう、ということで2月22日・23日に「Running Day」という夢の島競技場でやる予定です。

今回やってみて最大の発見は「外注ではOTTができない!」ということです。5000mのトラック記録会をやろうと思って色々見積もりを取ってみたのですがOTTの2倍~3倍コストがかかることが分かりました。

OTTのコストを勝手に計算すると参加料が3,000円で参加者数1,000人=収入300万円。これでイベントが運営できているので、多分200万円~250万円ぐらいのコストだと思います。(もしかしたらもっと安い)

その想定で僕が企業に対して「MAX300万しか出せません」って言っても「そんな金額じゃ受けられません」と平行線。イベント運営をするような企業からしたら完全に割に合わない仕事だったのです。

フルマラソン・ハーフマラソンであれば総予算が数千万円~億単位の規模になりますので企業もビジネスになりますが、1000人規模の10Kやマイルやトラックレース等を広げていこうとするとビジネスでは解決することが難しいということが分かりました。

小さいイベントは協賛金や助成金を当てにすることは厳しいですから、参加料でペイできる仕組みを作らないといけないです。つまり、"RUN3.0"を実現していくには、コンセプトやアイディアだけでなく、実際に運営もできないといけないのだと。

今後具体的にやること

ひとつは「レースディレクター」を増やしていきたいと思います。将来的には陸連の資格みたいにしたいですが(イギリスにはレースディレクターの資格があります。)資格にすると時間がかかってしまうので、まずできるところから勉強会・講習会的な感じでやっても良いのではないかと思っています。イベントの準備段階・当日・事後それぞれやるべきことのノウハウをシェアして安全安心を前提としたイベント運営ができる人が増える仕組みを作りたいと思います。

もうひとつは陸連が「レースディレクター」に対して機材、必要備品、システムを安価に提供できる仕組み作りです。そうすればコストミニマムにイベント運営ができるようになり参加料でペイできるようになるかと。AmazonのAWSみたいな感じをイメージしております。どんどん使ってもらって、陸連も投資を回収していく。公益法人ですし儲かる必要なないのでトントン目標で安価に提供していけたら良いなぁと思います。

23日(日)お手伝いさん募集

RunningDayは22日(土)、23日(日)の2日開催ですが、23日(日)に僕は記録計測システムを動かしてみる予定です。コストがかかるのは記録計測。ここがDIYでできてしまえば、ローコストで運営ができるはずです。23日(日)に操作方法をレクチャーいただけることになっており、僕も実際にやってみたいと思います。そして当日教わったことをまとめて「初めての計測」的なガイドも作りたいと思っています。そこで一緒に計測学んでみたい方いたら、ご協力いただけないでしょうか。当日色々こき使いたいので、できれば僕より若い方希望です。笑 僕も偉そうなことは言えなくて、僕もめっちゃこき使われています笑

RUN3.0まとめ

ということで早野さんと僕は日々トライ・アンド・エラー(ほとんどエラー!笑)をしながら、「東京マラソンの次」を考え少しずつアクションをしており、こんな感じかなぁとまとめた図を貼っておきます。ラジオではほとんど話していませんが、僕の本業こんな感じです。笑 横田さんとか新谷さんとかアスリートの世界で同世代が頑張っていますし、いつまでも早野さんに頼っててもいけないと思っているので、裏方の世界で僕も頑張りたいと思います。

まだ、思っているだけで、実現するた為には長く長く険しい道のりを歩んでいかなければなりません。なかなか理解が得られなくて、しょっちゅう心折れています。もし協力くださる方がいれば是非。


お金もったいないのでサポートしなくて大丈夫です。笑