優しさが優しさであるために
父は何を差し置いても困っている人を助ける人だった。
台風で水で使えなくなると、近所中に水を買って配ったり、腕っ節もよく、身体も大きく強い人だったので、あらゆる場面で仲裁に入る事の多い人だった。
会社もしていたので多方面に知り合いがおり、多忙な人で家を空けている事も多かった。
従業員を、家に泊めたり、従業員の方たちの隅っこでわたしは夕飯を食べたりしていた。
それを、見続けていたわたしは、知らず知らずにそれが全て正しいかのように捉えていた時が長くあった。
父も、トラブルが多かった。
わたしも、トラブルが多かった。
何でも手を出して、何でも助ける。
相手は人間で、その都度違う人、まして、自分には家族がある、そんな事を冷静に判断する間もなく、身体が反射的に動くようになっていた。
今思えばお節介な事もたくさんあっただろうと思う。
ありがとうと親切として受け取ってくださった方には本当に感謝している。
優しさを受け取れる方もやはり、器がいるのだと、ありがとうと言える人の心の広さには、本当に感謝している。
優しさが、本当に相手の助けになった時はお互いに気持ちの良いやり取りで終わる。
けれど、当時は、相手の状況やタイミング、本来自分で何とかした方がいい時なのか、助けがいる時なのか、境界線が見えず、自立への道筋が見えず、その人本来の軸が見えないまま、皆、平等に、自分の事もほったらかして直ぐに走って行っていた。
時に、それは、相手への期待を大きく持ったり、受け取り方に不誠実さや、期待外れの反応が起きた時、どうしようもない怒りが込み上げてトラブルになる。
困った事に、弱い者いじめや、集団のいじめはダメだが、一対一のケンカならしてもいいと思っていた。
それは、支配欲とコントロール欲の強さともいえるものだった。
コントロール欲と支配欲の強さを持ちつつも、わたし自身は、わたし自身の人生より困っている人を探して助ける。
これが、一時、人生のほとんどを占めていた。
10代20代は、過程環境や親との不仲など、なぜが苦しみを抱えている人が多く周りに居たが、未熟な事に、自らその様な人を探し助ける事で、自分の寂しさや価値を保っていた部分もあったのではないかと思う。
相手が必要としているか、していないか、何が大切なタイミングなのかお構いなしだった。
見方を変えれば、人の事は頑張れるが、自分の事を頑張れない自分になりかけていた。
トラブルの度、何かがおかしい。
わたしは、何かがおかしいと、本を読み漁ったり、自分の心を探ったり、家族の中での一人一人との関係性を紐解いていった。
そして、優しさは優しさであるように、人の人生とわたしの人生をすり替えないように、他者と自分との区別が出来るように、少しずつ元の価値観を崩し、新しく構築するを繰り返して行った。
大人になるに連れて、人はそれぞれに力を持っていて、そうそう駆けつけるような事はない事も知っていく中で、誰かに何かをしたくなった時、冷静に観察して、それでも何かをしたくなった時、厳しいようだが、一度自分に訪ねる。
この優しさは、賄賂ではないですか?
期待外れや、思った反応と違った時、受け取ってもらえなかった時、怒りや怨みの感情は出ませんか?
と聞く。
わたしは、その人が好きだ。
その人がどうかではない、これは、自分のための行動だ。
まして、その人がどんな人でも、全てを受け入れられるほど好きだ。
受け取らなくていいほど、元気なら嬉しい!
と心が答えれば、心のままに動く。
全く期待外れや、受け取ってもらえなかった時を、想像するとなんだか怒りの感情が湧きそうなら、やめる。
だとすると、その人との距離に問題があったり、わたしが、まだ、その人に対しては、別のものとしての認識が薄い可能性がある。
そちらの修正に、取り掛かる。
何か、嫌な反応が起きるのは、だいたい自分の心の中の引っかかりのヒントがあるからだ。
そうして、優しさが幸せを産むように、怒りや怨みを生む事がない様に、今は、自分の事を頑張りながら、人の事も快く気持ち良く、過ごせるようになって来た。
また、人の優しさや受け入れが、とても深く泣けるほど愛情として感じられるようになったので、厳しい指摘や意見も含めて、優しい人が大好きで、見守ってくれてる目線や、気持ち。
離れていても、伝わる愛情。
手を出さなくても、出しても、続く信頼。
それらが、何よりも愛しい宝となって来ている。
鳳凰堂鍼灸院さんのこの記事が、また、思い出させてくれました。
陰の気は、広がりやすく残りやすい。
(鳳凰堂鍼灸院さんの言葉です)
まさに。
信頼と愛の中に、生きられている今に、心から感謝しています🙏
それから、そこまでわたしを導くために出会って、数々のトラブルを共に経験してくれた方へ、ありがとうが届きますように。
ひどく未熟なわたしと、共に生きてくれていた、皆様にありがとう。
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