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「浦和レッズ三年計画を定点観測」~#7-2. 2020 J1 第2節 vs横浜FM アンケート結果 & 振り返り~

まずは今回の試合後アンケートにご協力頂いた方々、ありがとうございます。
この数ヶ月の間で唯一観られたのは町田戦ということで不安に思っていた方も多かったかもしれませんが、大槻さんが言ってきた「主体性」「狙いをもって」というのがよく見えた試合になりました。

アンケート結果はこちらです。

私の回答

まずは私のアンケート回答からご紹介します。

Q1.<保持/非保持 共通>個の能力を最大限に発揮していたか?
→ 5点

大槻さんのこの日の得点プランは、マリノスが保持では超ハイライン、ネガトラ時に密集して即時奪回を目指す、という人のいる場所といない場所をハッキリさせるプレーモデルであるということを利用して、
マリノスの選手が密集してきたら人がいない逆サイドへ一気に展開したり、DFラインの背後へ一気にボールを飛ばしたりして、なるべく早く大きく展開してゴールを目指すというとても明確なものでした。

その展開の先にいるのは左外のレーンは汰木、右外のレーンは橋岡というお互い狭い局面をコンビネーションで抜け出すよりも、広いスペースで大きく仕掛けるのが得意な2人。
また、FWも2トップ表記ではあったものの、杉本と興梠は縦並びで杉本は下り目、興梠は上がり目の4-4-1-1として杉本は足元の技術を活かして展開の経由ポイント、興梠は抜け出しの上手さを活かして超ハイラインの背後を狙う。

また、DFラインもビルドアップでしっかり運んで相手のズレを作る鈴木大輔ではなく、ロングボールを配れる岩波とトーマス。柏木ではなく青木の起用も守備のタスクもあったとは思いますが攻撃のタスクにおいてもロングボールの意識を考えると青木の方がこの試合には合っていたと思います。

このように相手の特性を利用しつつ、選手の長所を発揮しやすい配置にしており、その通りの働きをしてくれました。
正しく選手個人の能力を活かす配置と戦術プランだったと思ったので5点をつけました。

Q2.<保持/非保持 共通>前向き、積極的なプレーをしていたか?
→ 4点

何を「前向き」「積極的」と捉えるかは人それぞれだと思いますが、なるべく自陣ゴールゴール方向に走る時間を減らすためにマリノスの保持では裏のスペースを消した上でブロックを作って構えて「前向きな守備」を心掛けていた点では評価出来ると思います。
マリノスのCBや降りてきたボランチがボールを持っても興梠と杉本の2トップは無闇にアクションを起こさず(前に出過ぎないことを積極的に行えた)、相手の超ハイラインを尊重して背後のスペースを残しておくことでボール保持に転じても前向きにプレーをすることが出来ました。

ただ、非保持の中でマリノスにSB-CB間を抉られてライン際まで進まれてしまったり、それよって後ろ向きの守備に追われた回数は前後半ともに多く、その部分はマイナスになってしまいますね。

Q3.<保持/非保持 共通>攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをしていたか?
→ 3点

Q1でも書いた通り、この試合の得点プランは非保持→ポジトラ→保持のスムーズさが肝だったと思います。54分台の橋岡がロングボールをカットしたところからの長澤が密集の中で前を向く、前のオープンスペースへ橋岡が走り込みそこへロングボールで展開、杉本と興梠も非保持の時のポジションバランスの延長で2人揃ってゴール前まで出て行くという流れでした。
また、ボール保持でも前に人をかけ過ぎない分、ネガトラ時の安定が保たれ、カウンターで一気にゴール前までいかれてしまうというのは無かったと思います。

以前、大槻さんのユース監督時代のゲームを観た時にも書きましたが、大槻さんは基本的に選手のポジションチェンジはあまり行わず、4局面の循環がスムーズに行われることを好んでいます。
この試合も杉本と興梠は極力、中か内のレーンに留まったり、セットプレーやボールがゴール前まで来ている局面以外ではSB、SHは自分のサイドの内と外のポジションバランスを守っていたり、4局面をスムーズに移行させるバランスを保っていました。
そう意味で攻守の切れ目はあまりなかったように思います。

しかし、攻守の切れ目がなくてもボール保持で落ち着ける時間も、非保持で相手の動きを止める時間も短く、柴戸と青木の走行距離が表すように相手を休ませないよりもこちらが休めない状況が長かったのはこれからの連戦を考えてもとても気掛かりです。
今節の相手はマリノスだったので、そこへの尊重もあってのゲームプランだったとは思いますので、仙台戦、鹿島戦でどのようなゲームプランを立ててくるのかはしっかり見ていきたいと思います。

Q4.<保持>運んだり、味方のスピードを活かしたりしていたか?
→ 4点

マリノスはネガトラ時に即時奪回を目指してゲーゲンプレスで来るので、なかなか運ぶ場面は少なかったですが、橋岡の14分05秒からの前にスペースがあった時にどんどん運んで全体を押し上げて行くプレーは素晴らしかったですし、オープンスペースでスピードを出せる汰木、橋岡への展開と周りのポジションバランスは良かったと思います。

個人的には町田戦でもビルドアップで相手のプレッシャーの矢印を外してボールを運べたトーマスや柴戸、以前からそこに定評のあった青木が起用されたので、相手のプレッシャーの動きを止めて運ぶプレーを増やせるのではないかと思っていたので、少し「運ぶ」ところへの不満は残るので5点はつけませんでした。

Q5.<保持>数的有利を作っていたか?
→ 1点

ビルドアップでの運びはせずに大きく展開することを選択するゲームプランだったため、数的有利を作る局面よりも汰木(マルティノス)と橋岡に広いスペースでの1vs1を用意してあげるシーンが多かったですね。
汰木が外で持った時は山中が必ず内側から追い越して瞬間的には汰木と対峙する選手に対して2vs1のような形とも見えますが、基本的には数的有利を作ろうとはしていなかったと思います。

良いか悪いかではなくて、マリノス相手のこの試合ではその方が得点できそうということだったと思います。

Q6.<保持>短時間でフィニッシュまで行っていたか?
→ 4点

ここまで書いてきたものと重複するので簡単に済ませてしまいますが、マリノスの超ハイライン+即時奪回を目指してどんどん前に出てきてくれるので、一度ひっくり返せれば一気にフィニッシュまで行くことが出来ました。

今さらながら、短時間というのはどのくらいなのだろうかのいう疑問が出てきてしまいますが。。

Q7.<保持>ボールを出来るだけスピーディに展開していたか?
→ 5点

フィニッシュではなく展開ということであればこの点は5点で良いと思います。
ボールを奪ったらまずは相手のいない広いエリアへ展開。展開後に相手が戻ってきて前が詰まったら逆サイドへロングボールで展開。
必ず外レーンに人がいることで、展開にスピード感が出て、展開先からゴール付近へボールを入れ込むことが出来ていました。

Q8.<非保持>最終ラインを高く、全体をコンパクトにしていたか?
→ 4点

マリノスのゴールキックだけは全体的に前へ人数をかけて人を捕まえるように守りましたが、流れの中では最終ラインはペナルティエリアにかからない程度の高さで自分たちの背後のスペースを消すことを優先していたため、ラインの高さはありませんでした。
しかし、65分頃から給水タイムまでの両軍オープンタイムを除けば全体のコンパクトさはしっかり保てていたと思います。

マリノスの遠藤が外に張ってボールを受けた時に橋岡が対応する場面もありましたが、長澤がポジションを下げて遠藤がボールを受けた時に遠藤のいる高さに入ることで橋岡-トーマスのチャンネル間が空きにくくしたり、チャンネル間を抉られた時にもボランチがこの間を埋めて、ボランチがチャンネル間を埋めるために空けたスペースへ杉本が下がったり、全体をコンパクトにしていたからこそ、誰かが動いて空けてしまったスペースを周りが埋められていました。

開幕節の湘南戦は55分過ぎから間延びしてしまうと最後までそれが修正出来ませんでしたが、この試合は前後が分断される時間は少なく、コンパクトさはしっかりキープ出来る様になっていたので、チームとしての成長、前進を感じましたら。

Q9.<非保持>ボールの位置、味方の距離を設定して奪っていたか?
→ 3点

「奪う」までいけたシーンは正直少なかったと思いますが、相手の選択肢を限定する追い方、立ち方は出来る様になって来ていると感じました。
10分10秒あたりからのCB間に下りた喜田→實藤のパスが出た時に汰木が出ていきましたが、實藤がボールを受けた時に汰木は實藤の正面に立てています。

正面に立てると、實藤はボールを自分で運ぶことが難しくなります。1vs1をがっつり交わすことになり、最終ラインの選手がそこで交わせずにボールを奪われてしまうと後方にカバーがいないので一気にピンチになります。

基本的にはそのリスクを避けたいので、正面に立たれてしまうの寄せて来た選手の左右どちらかにパスを出すことを選択します。
つまり、プレッシャーをかけた選手の後ろにいる選手は次に出てくる場所はその選手の左右2択になります。
この2択に2人掛けられればどちらに出てきてもボールを捕まえられるということです。

汰木vs實藤になったシーンは實藤が強引に汰木を交わしにいって引っ掛かり、汰木の抜け出しに實藤がたまらずファウルで難を逃れることになりましたが、實藤が汰木の左右どちらかへパスを出そうとしても柴戸がついていってるので、實藤がパスを選択してもマリノスのチャンスにはなりにくかったと思います。

汰木、長澤、杉本はこのような感じで相手の正面に立てる場面が多かったので、マリノスの後方の選手が運んで崩すシーンは少なかったと思います。
ただ、そこに立てなかった時には特に畠中からバシッと縦パスが入ることがあったので、しんどいとは思いますが、この相手の正面に立つ意識は継続してくれると、マリノスよりもボール保持のポジショニングが上手くできなかったり、ボールの出し手の能力が低ければこの試合以上にインターセプトからのカウンターとなる機会は増えるはずです。

Q10.試合全体の満足度は?
→ 4点

ここまで読んでくれた方はもうお察しでしょうが、試合へのプランが明確かつ、それが選手の特徴を活かすものであったので満足度は高いです。

でも、やっぱり勝って欲しかったですね。ピンチも何度もありましたが、6分過ぎの汰木のカットインからのシュートや54分台の杉本のヘディングなど浦和にも大きなチャンスはあったので、こちらにも勝つ可能性は十分にあったので、もしこの内容で勝てていれば5点をつけたかもしれません。
それくらい意図の見える起用と選手の動き方でした。

アンケート結果

続いて、皆さんの回答結果を見ていきたいと思います。

Q1.<保持/非保持 共通>個の能力を最大限に発揮していたか?
→ 3.8点
Q2.<保持/非保持 共通>前向き、積極的なプレーをしていたか?
→ 3.3点
Q3.<保持/非保持 共通>攻守に切れ目のない、相手を休ませないプレーをしていたか?
→ 2.5点
Q4.<保持>運んだり、味方のスピードを活かしたりしていたか?
→ 2.8点
Q5.<保持>数的有利を作っていたか?
→ 2.2点
Q6.<保持>短時間でフィニッシュまで行っていたか?
→ 4.2点
Q7.<保持>ボールを出来るだけスピーディに展開していたか?
→ 4.0点
Q8.<非保持>最終ラインを高く、全体をコンパクトにしていたか?
→ 3.3点
Q9.<非保持>ボールの位置、味方の距離を設定して奪っていたか?
→ 3.8点
Q10.試合全体の満足度は?
→ 4.0点

Q.クラブが掲げていたプレーコンセプトに則ったプレーが出来ていた、あるいは行おうとしていたプレーを教えてください
・右CBから対角の汰木を走らせるプレー
・コンパクトな守備からのカウンターは前半では随所に観られコンセプトに則ったプレーが出来ていたと思います
・ボールを持ってからは積極的に前へ運ぼうという意識が全員全体を通して感じ取れた。守備も中へボールが入れば積極的に奪いに行き、サイドへ追いやる意思を感じたが、守→攻からもう一度守への切り替えについては統一された素早さを全員からは感じられなかった。試合を重ねていくうちに速くなることを期待したい。

Q. 試合全体の感想やこのアンケート/取り組みへのご意見などがあればご自由にお使いください
・後半最後の方は疲労が見えたり、関根のスルーパスが雑だったり、少し残念な場面もありましたが、全体的に見てもナイスゲームだったと思います
・常に次に危険になる場所を嗅ぎ取れるデンは当たり。キープやターンだけでなくなんだかんだで後ろから展開も作れる興梠はやっぱり変態。組長はもう少し橋岡に優しく……。

やはりコメントでもあった通り、皆さんもボールを持った時の大きな展開については高評価な一方で、運ぶところや数的有利を作る面では今ひとつといった感じ。
それでも試合自体の満足度は平均4.0点と高めでした。

昨年はホームもアウェーもボロボロにされたマリノス相手に無失点かつチャンスを作れたところや、今年目指している部分が見えたところへの評価でしょうか。

また選手個人でもトーマスへのコメントがありました。いや、彼は本当に良い選手だと思います。
この試合で何度も予測の良さやスピードを活かしたカバーリングでピンチを防いでくれました。正直、マリノスのチアゴにも引けを取らない出来だったと思います。
再開初戦、しかも昨年王者のマリノス相手に起用しているわけですから大槻さんからの期待も大きいと思いますので、今後どのように試合に絡んでくるのか楽しみです。

この試合では久しぶりに橋岡が足をつりましたが、やはり大槻さんは代えませんでしたね(笑)
後半アディショナルタイムでは明らかにスプリントのスピードが落ちてましたし、試合終了の笛が鳴った時には倒れ込んでましたし、本当に良く走っていたと思います。
でもDFの控えが宇賀神だけなので、最初から橋岡を交代させる可能性はゼロだったんでしょうし、それくらい期待と信頼をしているってことですよね。
運ぶプレーでも言及しましたが、54分台のクロスやその他の大きなサイドチェンジを受けた時の相手からは届かない、自分にとっては前でクロスを入れやすい位置にボールをトラップして置く力はしっかりついてきているなと感じました。
酒井宏樹のようなサイズがあるダイナミックなサイドバックとして、今年は更に成長していくかもしれません。超過密日程の連戦なので必ずしも毎試合出るわけではないでしょうが、ここからどこまで成長するのか楽しみに応援したいと思います。

最後に

次は7/8(水)のベガルタ仙台戦です。
また次回もアンケートを出しますので是非ご協力をお願いします。
それまでに仙台vs湘南を観てその感想と次節の展望も出せたらと思います。

今回は投票内容を確認出来るようにメールアドレスの記入欄を設けましたが、もしかしたらそこに面倒くささや抵抗があった方もいたかもしれません。
アンケート告知の記事の閲覧数は湘南戦と同じくらいでしたが、ご回答頂いた数は少し減ってしまったので、勿論告知も頑張りますが、もう少し気軽に参加できるようにもしたいと思います。

皆さんのご協力あってのコンテンツなので、次回もよろしくお願いします。

では、また。

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