見出し画像

【雑感】2022/10/23 浦和vs長野(weリーグ-第1節)

浦和レッズが構えるフットボール本部による強化には男子のトップチームだけではなく育成年代やレディースも含まれるのですが、なかなかそこまで見切れていませんでした。ただ、クラブ全体で強化を掲げているのだから出来るだけ全体を観たいよね、ということでレディースの方も出来る範囲で観ていければと思います。

で、ある程度書かないと内容は自分の頭に残っていかないし雑感程度ですが記録もしていきたいので、どれだけ続くかは分かりませんが、始めないことには続きもしないですし、まずは書いていきます。


試合を通して浦和の保持vs長野の非保持という構図でしたね。浦和の前半は塩越をアンカー、柴田と猶本がIH化した4-1-2-3のような形が基本配置だったと思います。長野はミドルゾーンに4-4-2で構えて、2トップが中央を閉めてアンカーを消したところからスタートして、その脇のスペースにはSH(特に右の菊池)が積極的に縦スライドしていく、さらに浦和のIHが下りて行けばCHがそのままついていくようなイメージ。

浦和は右SBの遠藤が斜めに中へ入って行ってSHの清家が外に張った状態から裏を狙ったり、遠藤がそのまま外に留まって清家がSH-CHのゲート奥で待ち構えたり、内外を流動的にしたことで長野は左SHの三谷が2トップ脇に縦スライドしにくかったように見えました。なので、長野は右SHの菊池が高橋まで出て行って、2トップの片方が塩越について、もう片方が遅れ気味に石川へ出ていくという場面が多くなったと思います。

この時に石川はきちんと相手の正面から外れた上で距離を取っていたのでオープンにボールを持てることが多く、そこからグラウンダーで中盤のゲートを通したり、奥へ蹴って清家を走らせたり、逆側まで飛ばして展開を付けたり、浦和の保持の起点になっていたように見えます。

浦和の左側は菊地が高橋まで出ていくことが多いので、上野・安藤vs奥津のような構図をもっと作れると効果的に前進する回数が増えたかもしれません。ただ、何度か石川から上野までボールを飛ばした場面ではボールが届くまでに奥津が上野まで出て最終ラインがスライドしていたので、長いボールで打開していくのは難しそうでした。


2点目は相手ボールのスローインから高い位置でボールを奪っての得点でしたが、そのスローインになる前の高い位置でのボール奪取から逆サイドへ展開してクロスを入れた決定機の流れはとてもきれいだったと思います。

中央で猶本がボールを突いて塩越に渡った時にすぐに塩越が広く空いたサイドの方に体を向けたこと、塩越からのパスを高橋が手前に空いたスペースに入りながら受けたこと、高橋がオープンに受けられることと右外のスペースを見つけて遠藤が素早くアクションを起こせたこと。遠藤のクロスを安藤がボレーで決めたりしていたら最高でしたね。


ボールが高い位置でスタート出来ればこの決定機であったり、1点目、2点目のように狭いスペースでボールを繋いでペナルティエリアに侵入できる上手さはあるので、五分五分のパスを出すよりももう少し後ろから運んで相手を押し下げていって高い位置にボールも人数も用意しても良かったのかもしれないとは思いました。

ただ、石川の速いパスで相手を置き去りに出来たり、スペースを残しておくことで清家のスピードを活かせたりもするので、この辺りは状況に応じて使い分けてもっと試合全体を支配できるようになる伸びしろですかね。


後半になるとアンカー役を塩越から柴田に変更し、右IHに塩越、左IHに猶本という形になって、長野の菊池、奥津が前に出ていくアクションを利用しようとする回数が増えたように見えました。

水谷は菊地が高橋まで出ていくならその脇を取る、出て行かない(高橋にはFWの選手が対応する)なら手前に引いて菊池のロック対象を引き受ける、いずれにしても菊池を引き出すアクションを起こすことで、その背後に安藤が入って、そこへSBの奥津が出てくるなら、さらにその背後へ猶本が出ていくという縦関係での3vs2を作ろうとしていたように見えました。

前半は左IHの位置には柴田が入ることが多かったですが、こうした裏へ出ていくアクションを起こすなら猶本の方が向いていると思いますし、強くアクションが起こせる上野よりも静的なプレーが出来る水谷の方が菊池や奥津への影響を意図的に与えやすかったのかなと後半に向けての選手、配置の変更は解釈しました。


60分に栗島が右SBに入りましたが、彼女もまたSBの位置から内側に入ってプレーすることが出来て、85'55はパスがズレてしまいましたが長野の左SHが石川を意識して前を覗いているその背後でボールを受けようとしていました。この試合で起用された浦和のSBはどの選手も内外関係なくポジションを取ってプレーしようとしていたので、もっと静的にプレーをする回数が増えれば、もっとボール保持から試合を支配しやすくなりそうだなと思います。

心なしか、ボールを早くさばかないといけないという焦りというか、せわしなさがあったように見えるので、もう少しボールをビタっと止めてしまって、味方がポジションを取る時間を作ったり、相手がアクションを起こすのを観察してからボールを動かしたりというのが、僕がイメージする"静的なプレー"なのですが、そうしたものがあっても良いなと思ったりします。

これはあくまでも僕の好みですが、男子のトップチームでリカルドが目指しているのはそういう方向なので、それがクラブとしての方針であるならば女子の方もそういう方向へ進めると良いなと思いました。


さて、塩越がリーグ杯決勝に続いてCH起用されていましたが、決勝の後に楠瀬さんが言っていたのは「うまい人間がボランチをやるべき」「彼女は自分も生きますけど人を使えるようになってほしい」ということでした。

先制点のように相手ゴールに近いところで前向きに仕掛けるところに彼女の強みがあるわけですが、先述のSBのアクションしかり、誰がどこでプレーするのかをあまり固定せずにやれるようになることで、全体のバランスを保ちながら選手間の流動性を作れて相手の目線をずらせるようになるので、このチャレンジに対しては前向きに見て行きたいなと思います。

恐らく、ビルドアップ隊の中でプレーする経験があまりなかったのだろうなというのが見えたのが77'05~のビルドアップでした。柴田はアンカー役としてSBやIH役と繋がるのが上手くて、高橋→水谷の次でオープンにボールを引き取っています。

この流れで長野の陣形が浦和から見て左に寄ったので柴田は右側で浮いた石川にボールを出していて、柴田は石川→塩越の次にまたオープンにボールをもらってさらに逆側であったり、同サイドでも清家を裏に走らせたり出来そうな場面でした。

"使われる"だけでなく”使う"ことも出来るようになってもらいたいという楠瀬さんの思惑があるとすれば、この場面では柴田を"使う"ことが出来ればチーム全体としてもっと多くの選択肢が持てたかもしれない場面でした。

とは言え、今まで前線でプレーしてた選手がいきなり中央で複数の味方と繋がったり、それを意識してプレーすることの難易度は高いと思うので、そこはここからの伸びしろとして期待したい部分かなと思います。


失点は2点ともCBの技術的なミスに括られてしまうものだったかなと思いますが、それ以外は失点する雰囲気はなかったですし何より勝ちながら課題を見つけて克服していくサイクルが理想ですから、まずはきちんと開幕節で勝ち点を失わなかったのは良かったですね。

男子の方はシーズンがもうすぐ終わるので女子の方も少しずつでも見る回数を増やしていければと思います。多分最初の方は観た数が少ない分、想像できる範囲が狭いので的外れなことも多々あると思いますが、そのあたりはご容赦ください。


今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?