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届くはずのないあなたへ


あなたへ


届くはずがないからこそ、ここに、
あなたへの手紙を書こうと思います。
長くなるけど読んでくれると嬉しいです。


あなたと「仲良く」なってからもうすぐ3年になるね。出会ってからは5年くらいたつね。その間で、わたしたちは何が変わって何が変わってないんだろうね。

どうして、わたしはどんなに辛くても虚しくなると分かっていても、あなたに会いたいと思ってしまうんでしょう。どうして、わたしはあなたを想って何度も何度も涙を流してしまうんでしょう。
それは本当に本当に、あなたを大好きだからです。愛していたからだと思います。


キッカケを作ったのは確かにあの日、あなたでした。あなたの誕生日にみんなで飲みに行った帰り二人きりになったときに手を引っ張って道を渡ってホテルに行ったこと、あの時に戻って、こんな関係嫌だと叫んで泣けば良かったと思ったこともありました。立ち入り禁止ゾーンだったのに、無理矢理こじあけたのは多分きっとお互いだったような気がします。
あなたは普段女性と接するにあたりかなり距離をとって警戒していたのに、どうしてわたしには近づいてきたんだろうなって今でも不思議です。

その日以来、あなたはわたしに猛烈にアタックをしてきました。毎日のようにLINEをくれて、土日も普通にLINEができたので、わたしは変な錯覚を起こしてしまいました。好きだと、愛してると言ってくれたことをあなたは忘れてるだろうけどわたしは覚えています。
一度、わたしが紹介された男の人と飲むのを待っていてくれてそのあとに会って朝まで飲んだことがあった時、「ずっと考えてたよ。僕、ちゃんとするから付き合ってほしい。」と言ってくれたこと、きっとその場のノリだっただろうし酔っ払っていたからだと思うけれどすごく嬉しかったです。深入りしちゃいけない、となんとかまだ自分を留めていたから、「応えられなくてごめんね。」とそうわたしは答えたと思います。


そこから、どんどんわたしのことを知っていく中で嫌わずに優しくしてくれてありがとう。
あなたにとってわたしはすごくすごくめんどくさくて、意味不明だったのにいつもなんとか分かろうとその時だけでも寄り添ってくれていたであろうことを感謝しています。

そんな中、わたしが異動になり落ち込んでいたときも毎日毎日寝れるまでLINEしてくれました。あれがなかったら本当にわたし前の部署に通うことも嫌になっていたと思います。
でも、ちょうどその時期にコロナが始まって、そしてその時に大事な友達の結婚式があって、色んなことを考えてわたしはあなたとの関係を絶とうと努力しました。このままではいけない、あなたをちゃんと正常な場所へ戻そう、今ならわたしもまだ引き返せる、そう思っていました。


どっちにしてもコロナになって会えなくて、家の時間が増えて、きっとあなたは今まで以上に家族を大事にする時間が増えただろうなって想像できたからもう限界だなと感じました。毎日のようにあなたとのLINEのやりとり見て毎晩一人でベットで泣いていました。
誰にも言えなくて。

その夏に久しぶりに会って、わたしは別れを告げるためにデイユースでホテルを予約して夕方に会いました。
多分あの時もわたしは少しだけ涙をこぼしました。あなたにわたしはわたしなりに向き合ったつもりでした。わたしはあなたのことが好きだから先のことを考えたいよ、みたいなニュアンスを伝えたけれど、あなたは「子供が大事だよ」と返事をしました。
そのくせに「ずっと会いたかった。幸せ。」と言ってわたしの手をぎゅっと握ってきたことを覚えています。
その日、わたしはもう二度と会わないと決めて行ったんです。かわいいドットのワンピースを着て。ちょうど同じ時期に、同じような恋愛をしている友達も別れを告げると言っていたのでわたしも便乗した形でした。
でもなぜか、わたしはその次の日になんだかすごくあなたにムカついてはじめてすごく傷つけることをLINEで送ったと思います。
どうして分かってくれないの?と、サイコパスだよ、と。そしてあなたも、僕はサイコパスなんだよごめんなさいと言ってもう返事をくれなくなりました。


終わったな、と思いました。終わらすことが目的だったはずなのに、心がえぐれました。
それが確か2020年の6月でした。その夏は泣いていた記憶しかありません。誰にも言えず、毎日仕事から帰ってきてはベットでLINEを見返して泣いていました。
仕事もしんどくて本当に退職しようかなと思っていました。秋くらいにそのことでわたしが確かLINEをしてしまい、3ヶ月ぶりくらいに会いました。でもなんとなく、そっけなかったこと覚えています。


そこから、もうわたし会うことを絶対にやめようとこれほどにないくらい固く自分に誓って次の年の夏まで一度も会いませんでした。
その間、幾度か数えるくらいLINEはしたし、すごくつらくて涙も流したけれどもちろん言えるはずありませんでした。

去年の夏に10ヶ月ぶりくらいに会って、そのあと誕生日におめでとうと連絡をして、また会うようになりました。
一線を完全には超えてないにしろ、かなり濃密になってしまって、わたしはあなたが帰ったあと一度だけ号泣しました。虚しくて情けなくて惨めで、仕方なかったです。あなたがわたしのものにならないことなんて、分かりすぎるほど分かっていたのに、わたしだけなにも得るものがないことも分かっていたのに会うことをやめられない自分が不甲斐なさすぎて疲れました。


わたしはどこまでいっても、何度飲みに行っても、あなたにとってオモチャであり、雑誌の付録みたいななくてもよくてあったら嬉しいみたいな、そんな都合の良い存在だということを知っていたのにやっぱり頭の中で完全に理解しきれていなかったのかもしれないなと思います。


昨年の12月、クリスマスイブに会いたかったんです。会ってそれを最後の思い出にしようと決めていました。でも、あなたはごめん会えなくなったと断ってきました。
ごめんね、わたしあなたがその日会えない本当の理由を知っていたの。大事な子供の誕生日だったよね、ごめんなさい。でも、2年前のクリスマスイブはあなたがわたしに会いたいと言っていたのにおかしいね、笑っちゃうね。

そして年末にありがとうございましたとLINEを送ってあなたを非表示リストに入れました。
もう、わたしから連絡はしないと決めて。

そして3月末まで、わたしは一度も連絡しませんでした。非表示リストにも入れっぱなしであなたのLINEを開くことも一度もしませんでした。
何度か聞いてほしいなと思うこともあったけれど、甘えたら終わりだと自分を奮い立たせていました。自分を変えたくて3月にある手術を予約していたこともあり、自分の気持ちをそれに向けて整える日々を過ごしていました。それが終わったら4月から必ずもう一度婚活を前向きに再開させようと決めていたのもあって、なんとなくそれなりに忙しくていい感じに忘却しかけていました。

なのに、あなたは3月末の金曜日夜中に電話と「会いたいな」とLINEをしてきました。
飲み会だったんだろうなと検討はつきました。わたしは土曜出勤だったので寝ている時間でした。絶対にもう連絡は来ないと思っていたから、正直びっくりしたのと嬉しかったことを今でも思い出せます。おかげで土曜の仕事は、そのことが気になってあまり集中できませんでした。


その数日後にわたしは異動を告げられて、あなたに連絡するか迷った挙句できませんでした。
社報であなたは知って、わたしもその時に連絡をしました。そのあと電話があって3ヶ月ぶりにあなたの声を聴きました。


そのあとGW前に会って、その時もわたしが最後ワガママ言ったような気がしてブロックしました。もう終わろう、と。基本的に連絡は来ないと知っていたから、3週間ほどブロックしてもういいだろうとブロック解除した時に、またLINEが来ました。ニアミスで会えなくて、電話をしました。


そして先日会いました。
いつものように飲みに行ったあと、わたしの宿泊するホテルに行って飲んでました。酔いが回ったのももちろんあるけれど、わたしはなんだか本当に心底哀しくなってきて思いっきり涙を垂れ流してあなたのことを好きだからこそ辛いと伝えたつもりです。でもわたしの涙はあなたの大事なものを浮き彫りにしただけで、あなたの大事なものをわたしという存在を通して確認するためのものだった気がします。
あなたはその日、最近仕事で色々あって忙しいと疲れていました。平日に飲みに誘ってごめんね。わたし6月の土曜日は全部お見合いが入っていて金曜日は遅くまで飲みに行けないの、だからだよ、そんなこと言えませんでした。金曜日が無理なの、とそれだけを伝えていました。婚活していることも伝えられるわけありませんでした。

「どうでもいいよ」
「もう大事なものはないから」とあなたは言ったけれど、本心はそうではないよね、きっと。
あなたにとって家族は、子供はとてもとても大事なもので、どうでもいいものではないでしょう。大事なもののほんの隙間にわたしが存在していただけで、わたしはあなたの何にもなれていなかった。どこまでいっても、ただの会社の人、他人。

「どうでもいい」のはわたしだったね。


多分、あなたと二人で飲みに行った回数って数えられるくらいです。
20回も行ってないです。そんな中で私たち、なにを話していたんだろうね。思い返すとわたしの話がほとんどだったね。いつもいつも聞いてくれてありがとう。先日も、「元気?元気そうでよかった」と言ってくれたね。


隙間にいたわたしという存在はもういい加減身を引こうと思います。あなたにとって大事な存在になれなかったわたしは、特段、今までも誰にとっても大事な存在にはなることができなかったし、孤独が当たり前だから大丈夫です。またひとりぼっち、に戻るだけです。


あなたとは感性や本が好きだという趣味嗜好が似ていて居心地が良かったです。最後に、流浪の月が面白いよねと話したこと忘れません。
「文くんと更紗ちゃんが10個違いで、僕これ読んだ時あなたを思い出した」と言ってくれたね。
わたし、更紗ちゃんになって、文くんの隣にずっとずっといたかったです。流浪の月はわたしもたくさん読破してきた中でもかなり上位ですごく心揺さぶられてしばらくその世界観に浸った小説でした。元はと言えば、沙也加ちゃんがYouTubeでオススメしていてすぐに読んだ本です。
今、流浪の月は映画がちょうど公開されていて評価も高くわたしも気になっていました。あなたはボソッと「映画も気になるなあ」と言ってたことも取りこぼさずにきっとずっと覚えています。
普通のカップルだったら、そのあとの会話は「わたしも見たい!ねえいつ行く?」だったね。

わたしは一人で見に行こうと思います。
絶対泣くし、感想をあなたに伝えたくなるだろうけど、伝えられないのでまたnoteにでも書こうと思います。


長くて短かった約3年、ありがとうございました。たくさんごちそうになって、感謝しています。
いつもごちそうになる代わりにと先日、わたしは最近読んでわたしが気に入った本を渡しました。
ホワイトカメリア、ちゃんと読んでくれたらいいな。それがわたしからの最後のラブレターです。

わたし、あなたに出会いたくなかったよ。

終わる日がくること、ずっとずっと先延ばしにしてごめんね。
「仲良し」だとあなたはいつも表現していたのはきっとこの関係をあなたの中で「悪」なものにしたくなかったんだと思います。でもね、許されないものは許されないの。いつでも好きな時にLINEできないこと、電話ができないこと、金曜日の夜しか自由に長く過ごすことができないこと、個室を探すこと、人の目を気にすること、未来のことを語れないこと、そういうことに疲れた時もありました。それでも、それでもやっぱりわたしあなたがそれ以上に好きだったんです。

あなたとの関係を通してわたしは誰かを愛することの尊さと同時に刹那さや切なさ、哀しさ、好きだけれど許されないから別れるしかないもどかしさや辛さ、一度で全ての感情を味わいました。時にあなたを憎いと思った日々もありました。
あなたはなんにも無くすことなくわたしである程度を満たせていた時期があったとしたのなら、わたしはやっぱり都合が良かったと思います。

いっそ、「お前は最初から遊びだった。都合が良かった。家族が大事に決まってるだろ。」と罵声を浴びせられる方が良かったのかも、と思います。


わたしはいつの日かあなたを忘れたいです。
記憶や思い出は、誰かと共有するからこそ強固になるものであって、一人だけで思い続けるとどこかで美化されて装飾されているから意味がない気がしています。でも、あなたはどうかわたしのことは忘れないでください。


なんて、届かないからこそ正直にあなたへの言葉を綴れました。かなり長くなったね、ごめんね。

どうか、これからもあなたはあなたの幸せの中で幸せでいてください。
15年後、文くんと更紗ちゃんみたいに出会えることがあったらその時はどうかわたしと真剣に向き合ってください。


好きになって、ごめんね。

今までありがとうございました。






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