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真夏の青さへ かけてゆくひと

高校時代、
つき合っていた先輩が所属するハンドボール部が
インターハイ出場することになり
マネージャーとして大会について行った。

舞台は富山、氷見。
海沿いの民宿のようなところにお世話になった。

肝心のインターハイはたしか一回戦敗退で
あまり記憶に残っていないのだけれど、
試合が終わって、盛岡へ帰る前夜に
みんなで浜辺で花火をしたことは
はっきり胸に焼きついて覚えている。


浜辺といっても、
宿泊していた民宿から道路を渡ってすぐ
みたいなところだった気がするけれど、
花火のあと、先輩たちが去った後
1年生の皆と後片付けをして
ふと、同じクラスで仲のよかったKと
帰り道の夜空を見上げた。

「あっちのベガと
ここからまっすぐのアルタイル
で、ちょっと斜めにいったあそこにあるデネブで
夏の大三角形」
インターハイと
ここにくるまでの練習の日々ですっかり日に灼けた腕を
まっすぐ伸ばして指さしたその先にある
真夏の星たち。

その指先の先を見るふりをして
ちらっと彼の横顔を見たとき
恋に落ちた音がした。


結局、高校卒業まで、
クラスメートとして、つかず離れず
とくにどうということもなく過ごしたけれど、
その後も長く続くことになるこの恋の
はじまりはあのときだったと
確信をもって言える。

私のハートを ひとりじめして
あなたは遠くで 微笑んでいるだけ
ほかのひととは ちがうまぶしさ
そうよきっと そうよきっと


恋に落ちた瞬間を覚えていますか?
(ノートや手帳の端で構いません
ひとこと書き留めておきましょう)



避暑地の出来事
作詞:荒井由実
作曲:荒井由実

『14番目の月』 1976/11/20

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