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Creepy Nuts/阿婆擦れの歌詞考察

ジャズとヒップホップの親和性が高いことは周知の事実だ。個人的にはSOIL & "PIMP" SESSIONS feat. RHYMESTER/ジャズィ・カンヴァセイションでジャジーヒップホップの格好良さに気づいた。新参者も新参者の部類だ。

「阿婆擦れ」は、昨年11月16日に配信が開始されて、今月に入ってMVが公開された。放送コードギリギリのタイトルで、分かりやすく直訳すれば「ヤリマン」である。
配信当初、Creepy Nutsの公式LINEアカウントから流れてきた動画内で、Creepy Nutsは「男女関係を何かになぞらえた歌」といった旨を述べていた。その例えは果たして何なのか、というところに着目しながらリリックを見ていこう。

Creepy Nuts/阿婆擦れ

なぁ、俺はキープかアッシーか?
所詮はSucker MCか?メッシーか?
お前が俺としたいのは口喧嘩
ただのディベート相手でしか無いってか?
大した武勇伝も無い俺じゃ
洒落たお前と釣り合わないもんな

「大した武勇伝もない俺」が、「お前」イコールある女に対して語りかけている様子から始まる。
この「女」は洒落ていて、洗練されていて、「俺」とは違うステージに住んでいる。釣り合わないことは分かっているけど、現状の口喧嘩をする仲から先に進めたいもどかしさが感じられる。

早速、2小節目からSucker MCというワードが飛び出し、HIPHOPを女に例えていることが見て取れる。

「俺」は女(HIPHOP)に対して、自分はキープなのか、アッシーメッシーなのか、その程度の男なのか、と問う。
そして、自分に求められているのは「口喧嘩」=MCバトルで、HIPHOPから愛される存在ではない、と卑下する。
「大した武勇伝もない」と言うが、R-指定はUMB3連覇のフリースタイルの「神様」(呂布カルマ曰く)だ。今と比べてかなりアングラだったフリースタイル界隈で10代から「HIDADDYに睨まれながら」大阪で活躍して、日本一になった物語は、傍から見れば充分な武勇伝だとは思う。

文脈に沿って言えば、フリースタイルは「口喧嘩」でしかなく、HIPHOPの本質ではないと言いたいのだろう。人間性で言えば、R-指定には暴走族の総長だった過去があるわけではなし、少年院に入っていたこともなし、薬物でパクられたハクもなし。HIPHOP界隈では、「悪いこと」イコール通過儀礼のような風潮が残存している。ここ一年間だけでもUZI、SIMON JAP、アマテラス、D.O.といった有名どころが逮捕されていることからも分かる。そんな文化圏の中で、R-指定が「(俺とは)釣り合わない」と弱音を吐くのも頷ける。

また、「なぁ、俺」は「名折れ」と掛かっているダブルミーニングではないだろうか。
名折れとは不名誉を意味し、キープである自身の立ち位置が不名誉だと考えられる。

2小節目「Sucker[sʌ́kəə] MC」については、ほぼ同音異義語「Soccer[sɑ́kər]」に、「メッシ」を掛けている。

韻について。
キー」「アッシーか」「MCか」「メッシーか」「くちーげん」と発音の強勢音によって語尾で[i-a]の韻を踏んでいる。

「お前が俺としたいのは口喧嘩
ただのディベートあいてでしかないってか
大した武勇伝もないじゃあ
洒落たお前と釣り合わないもんなあ
と、要所要所で[ai]でも踏みつつ、小節のケツで[aa]と落とす。

やっぱ何だかんだ言ってイカちぃのが良いのか?
胸板も財布も厚ぃのがいい?
オモロなさそうなアイツらより
聞けよ俺のべシャリ、話長い?ゴメン。

ヤンキーの女はギラギラしたものを好む。「洒落たお前」の横にいる男は、羽振りがよくて、成金主義的な車に乗って、鍛えていて、スポーティで、どこか自信に満ち溢れている。当然、胸板も財布も「俺」より厚い。
自身が「アイツら」より勝てると自負している面白さなんて、「お前」は目もくれない。
話しかけたところで、面倒臭そうにあしらわれるだけだと諦めている。

「女」をHIPHOPに変換して読むと、

所謂、"Money, Power, Respect."を重んじるHIPHOPカルチャーに対して、うまい言葉遊びやリリックメイキングこそ格好いいんだとセルフボーストしている。

韻について。
やっぱ」「なんだかんだ」で[a,a]で踏んで、
言って」「ちぃ」「のがいい」「も厚ぃ」「のがいい」で[i]で頭韻しつつ、[oai]でまとめている。

また、「べしゃり」「はなし」「長い」と[(a)ai]で重ねている。

お前を知りたい一心で お前の過去をほじくり返したり
お前を近づきたい一心で 無理に慣れない英語で話したり
お前を振り向かせたい一心で 柄にも無く悪ぶり出したり

もはやストーカー紛いの行為で自身の犯罪歴を吐露しているとも取れる一節。
あの「女」の過去はどうだったのか、英語も話せる「女」と話を合わせるには自分も英語を喋らなければ、あんな悪そうな奴らが好きなら俺も悪ぶらなきゃ…。
涙ぐましいまでの努力が感じられる。

変換すると、

こっちの方が本筋に思える。
HIPHOPを自分に振り向かせるために、ひたすらクラシックをdigって知識をつけ、USのHIPHOPも聞き漁り、B-Boyと呼ばれる格好もしてみた。

オーバーサイズ on my mind 被りはじめたニューエラ
ブカブカのジーンズ引きずって繰り出してみたアメ村
(だがそれでいい)

高校生の頃のR-指定の努力が綴られている。

韻については省略。

血迷ったり 道に迷ったり
出たり入ったり 狂わされた男ばかり
綺麗で卑猥でドギツくて
知的で繊細でどこかトチ狂ってる
よそ見しながら「早く済ませてね〜」
それでも必死で腰を振り続ける

そんな「阿婆擦れ」な女にたぶらかされた男たちは数知れず。とにかくみんなこの魔性の女に人生を狂わされたのだ。
知的で、見た目も綺麗で、華やいでいるのに、卑猥でドギツい狂った女。朱に交われば赤くなる、ミイラ取りがミイラになる。みんな「自分は大丈夫」だと思っていても、気付けばイカレている。
かく言う「俺」も例外ではなく、おざなりなセックスに終始する「女」に夢中になっている。

変換すると、

HIPHOPには中毒性がある。ラップに人生を救われた。DJが人と関わる術だった。R-指定もDJ松永もそうだ。グラフィティも極めればアートになるし、ブレイクダンスだって同じだ。そんな文化に魅了された男たちは、狂ったコミュニティの中で各々の格好良さを追求する。

バース全てが2つの意味に掛かっていて面白い。

韻について。

血迷ったり」「道に迷ったり
文句なし。
「出たり」「入ったり」「男ばかり」と続く[ai]の脚韻でライミングする。

綺麗で猥でドギツくて」「知的で細でどこかトチ狂ってる」と、小節まるごと踏み倒す荒業も披露。

もっと俺から奪って
もっと俺を蝕んで
もっと俺を欲しがって
跡形も無いくらいに
もっと剥き出しになって
もっと馬乗りになって
阿婆擦れ擦れ
be my baby
初めての夜みたいに
初めての夜みたいに

HOOK部分。直接的な表現が並んでいるので裏読みする箇所は見つからない。

R‐指定はHIPHOPを「阿婆擦れ」と表現している。

いつもたぶらかして はぐらかして来る
ファム・ファタールの名はMUSIC
(合法的トビ方ノススメ)

以前、R‐指定は音楽を「ファム・ファタール」、魔性の女と表現した。
R‐指定のHIPHOP観は一貫しており、それは「ドツボにハマって人々を破滅させるほど魅力的」なものだと捉えていることが分かる。

Verse2へ。

浮気性で飽き性 荒い気性
若いツバメ捕まえ たまに試乗
やはり異常なリピドー 「またイキそう」
アノ子が欲しいと毎日 花いちもんめ

「女」の人間性が洗い出される。
ドギツくてトチ狂ってる阿婆擦れだけあって、「浮気性で飽き性 荒い気性」。
さらに、「若いツバメ」という表現から、「年増な女が年下の男の子を引っ掛けている」という状況。
そりゃ性欲モンスター、とんだ大バカ変態野郎。相談もなしにアノ子コノ子を乗り換えている。

変換すると、

HIPHOPは流行り廃りのサイクルが短い。
HIPHOPの名作を「クラシック」と言う。和訳すると古典。近年リリースされた名作、ケンドリック・ラマー『DAMN.』、ドレイク『Scorpion』でもクラシックだ。名作もすぐに古典扱いされてしまう。
長い歴史の中で、その時々によってトレンドは移り変わる。今の三連符・トラップの流行もいつまで続くやら分からない。BAD HOPやKID FRESINO、Normcore Boyzのような「若いツバメ」が流行している勢力図も明日には塗り替わっているかもしれない。

韻について。

細かい韻と脚韻が絡んでいる。分かりやすいところでは、
荒い気性」「たまに試乗」「『またイキそう』」「花いちもんめ」と、4小節続けて[aaiiou]と踏んでいる。
また、関連した韻で言うと、
「うわきしょう」「飽き性」も[aiou]、「若いツバメ」は[aai]。「やはり異常」は返し韻で[aaiiou]。続いて「なリピドー」も[aiiou]。

バメかまえまに試乗」は[t]で頭韻し、「ツバメ」「捕まえ」で[uae]の子音踏み。
あの子」「がほしい」も頭韻。
もはや気持ち悪いくらい大胆に繊細に踏みまくっている。

ポイポイ、捨てる次から次へ
オイオイ、骨の髄から髄まで
お前抜きじゃ無理な身体に
してから突き放すあっちゅう間に
fuck you, pay me 誰もが餌食
realかfakeかの線引き

「女」は男を取っかえ引っ変えよろしくやっている、という流れを受けての1小節目。
魔性の女は、男を骨抜きにして離さない。それでも女はひとたび興味を失ってしまえば、簡単に男を突き放す。果てには、男はその女の存在すら嘘か真か分からなくなる。

オイオイ」は「追々」と掛かっている(はず)。呼びかけの意と、「男は毒牙に罹ったら、追々身体の芯まで食らってしまう」という意味になる。阿婆擦れは遅効性の毒なのだ。

「お前抜き」は「ヌき」も含意しているのではないか。
「お前がいなければ〜」、「お前の手技以外では満足出来ない」というダブルミーニング。

「あっちゅう間に」というセンテンスについて。
はじめは、FIRE BALL『あっちゅうま』に掛かっているのではないか?と考えた。FIRE BALLはレゲエグループであり、R-指定が自身のバックボーンをもうひとつ提示しようとしているのでは、と邪推したのだ。
しかし、該当部分のHOOKのリリックを見ると、

あっちゅうまに "a" choo ma
あっちゅうまに夜が明けちまうぜ
あっちゅうま あっちゅうま
Everybody Wants To Rule The World

本作の「あっちゅう間」と表記が違う。男女間の情愛を歌った曲という表面的な共通点はあるものの、偶発的なものだと判断した。

変換すると。
前の部分、後の部分と同義。

韻について。

ポイポイ、〜次へ」、「オイオイ、〜〜」と、それまでの韻の流れを切り崩す。そして、「次」「髄」「抜き」「無理」「突き」と短く[ui]と畳み掛ける。

「からだに」「あっちゅうまに」、「あっちゅうまに」「fuck you」と重ね、「pay me」「餌食」「fake」「線引き」の[ei(i)]の連打。
噛み砕いていくとほぼ全部分でライミングしている。

(realかfakeかの線引き)
それも時代次第 いや気分次第
なのに皆んな本物を演じきる
毎年抱かれる、男を変える
半年、一月と早くなってく
で、明日は誰?で、俺はいつ?

「女」が求めるモノ/男はその時々によって変わる。それなのに、男は誰もが本物=realを演じて、着飾った自分で勝負する。
そんな男のサガと「女」の気性を皮肉りながら、いつか自分に振り向いて欲しいと、斜に構えつつダサさを自白している。

変換すると、

時代によって、変わりゆくトレンドに沿った良作&駄作が量産されている。結局、トレンドなんで一時的なものでしかないのに、自分なりに咀嚼・解釈せずに時代に尻尾を振るのはダサいと価値観を提示している。
近年はCDの売上が漸減し、ダウンロードからサブスクリプションに比重が移っている。音楽が消費されるスピードが早くなり、必然的に流行のサイクルのひと回転あたりの時間も短くなる。多くのアーティストに光が当たる機会が増えたことは喜ばしいし、自らもその機会を心待ちにしている。
そして、fakeと蔑まれようとも自らを貫き通したいという気概を感じる。

韻について。

時代」「次第」「いや」「次第」「皆んな」と、[ia(i)]と細かく踏む。
続いて、「抱かれる」「変える」「なってく」と[aeu]で踏む。

その次には、「んとし」「とつきと」「やくなってく」と[h]で子音踏みの頭韻。

生まれも育ちも
肌の色も貴方のままでいいのよ
ってあの言葉
鵜呑みにしたまんま
ココまで来ちまった嗚呼…泥沼
散乱する屍の山
お前の足元には彼岸花
そのイケてる次の被害者達と
せいぜい幸せにやんな〜
阿婆擦れ

「女」は、全てを肯定してくれる。ただし、その「男」に興味がある間だけ。
その束の間の自己肯定感を鵜呑みにしてしまうと破滅に向かう。「女」が興味を失くしたその先では、「男」は自分の存在価値を見失った屍に成り下がる。

彼岸花は、死人花・地獄花とも呼ばれ、「情熱、あきらめ、思うのはあなたひとり、追想」といった花言葉を持つ毒花。
ここには二種の解釈がある。
・「女」自体が「彼岸花」で、触れるもの全てを殺す存在である
・「女」の過去の「男」が死屍累々となり、血塗られた赤い「彼岸花」に例えられている。
どちらにせよ、「男」は「被害者」となり、屍の山の藻屑となる。

そんなイケてる「男」を羨みつつも、「せいぜい幸せにやんな」と強がっている。

変換すると、

HIPHOPは全てを受け入れてくれる。

金持ちボンボンもガリ勉の奴も
マイクを握れば平等なチャンス
(MONSTER VISION/漢 a.k.a. GAMI)

というように、HIPHOPはどんなバックボーンを持とうが関係ない文化だという言説はよく語られる。
その文脈に応じて、オタク的に知識を増やし、フリースタイルを極めて「ココ」まで来てしまったからには、もう真っ当な人生には戻れない。
HIPHOPから一時の寵愛を受けていないR‐指定は、骨抜きにされて死に体になりなくないとスピットする。
それは強がりかもしれない。でも、愛するHIPHOPに対して、紛れもない本音でもある。

韻について。

」「あなた」「まま」「まんま」「来ちまった」「嗚呼」「散乱」「しかばね」「」「」「しあわせ」「やんな」「阿婆擦れ」と、[aa]を軸に展開している。

その他、「彼岸花」「被害者」も不完全ながら踏んでいる。

HOOKはVerse1と同じなので省略。Verse3へ。

移り気なお前の今、一番好きな服や髪型
一番好きなかぶき方
飲み方トビ方キマリ方
お前の今、一番好きな踊り方、
お前の今、一番好きな歌い方、
お前の今、一番好きな生き様
全部でシカトでありのまま…
って、無理かな?

「貴方のままでいい」と肯定された「男」は、「女」の好みに媚びることなく生きて、ありのままを受け入れてほしいと本当の希望を明かしている。たぶん叶わないであろうことを知りながら。

変換すると、

HIPHOPにありのままの自分を受け入れてほしいと訴えかけている。

俺がチラつかせるのは
どこぞの誰かの後ろ盾
金 武勇伝 どれでも無え
自慢できる経歴も前科も無え
腕っ節弱えもんで喧嘩も御免
(中略)
Hardcore捻り潰すNerd
Hey エリートの坊ちゃん
地元じゃ有名なヤンチャ
その拳でへし折れると思うな
一糸纏わぬこの刃と言の葉
どうだ?見下してた根暗の足元に
這いずる気分は
挫折ってやつを味合わせる
自慢の彼女の前で恥かかせる
(R.I.P./R‐指定)

Creepy Nutsを組むより前から、R‐指定は「ありのままの自分への受容の渇望」をリリックに紡いでいる。
それが「R.I.P.」であり、「みんなちがって、みんないい。」であり、「生業」であり、「阿婆擦れ」である。

韻について。

「移り気な」「」「いちばん」「好きな」「かみがた」「かぶきかた」「飲みかた」「トビかた」「キマりかた」「踊りかた」「歌いかた」「生きざま」「シカト」「あまま」「むりかな」と、形を変えつつ[ia(a)]を軸に踏んでいる。グルーヴ感で最高にアガってラストのHOOKへと繋がる。

きっと時は移ろって
お前もボロボロになって
ほら、やさぐれぐれ
What your name?
お呼びかからぬみたいね…
ならばいっそ振り出しに戻って
髪を振り乱し踊って
Come on 阿婆擦れ擦れ
be my baby
初めての夜みたいに
初めての夜みたいに

HOOKが二度繰り返される。一度目は通常通りのHOOKで、二度目は時間軸を変化させている。

「女」は時を経て老婆になって、美貌も世間からの興味も失ってしまう。それでも、人生は続いていく。
「阿婆」とは、中国語で老婆のことを指す。世間に擦(ス)れた老婆は、また初心に返って踊ればいい。
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」との慣用句もある。どうせ同じなら、「男」も老婆も、世間に踊らされてみるのもいい。初めてこの世に触れて、心躍った夜みたいに。

変換すると、

ヒット曲を飛ばしたアイツも、表舞台で活躍していたアイツも、時が経てば誰からも指を指されないただの人。名前も威光ももはや無く、イベントのお呼びもかからない。
そんな時は初心を思い出せばいい。誰しも最初は、クラブに誘われてHIPHOPにハマったか、ラジオから流れる曲に心を奪われたか、そのあたりが関の山だ。踊るだけで楽しいと思えたあの頃を思い出して、また一から始めていけばいい。だって、HIPHOPは誰でも受け入れてくれるんだから。

韻について。

いっそ振り出しに戻って」「かみを振りみだし踊って」とざっくり踏んでいる。

また、「かからぬみたいね」「振り出し」「振り乱し」「be my baby」「よるみたいに」と[(u)iai]で不完全韻で踏んでいる。

アウトロは分かりやすくクラシックをサンプリングしている。

yes, yes, y'all and you don't stop
to da beat y'all and you don't stop
I love hiphop だが hiphop don't love me
引っ叩かれてもっとfuck me

ここに来て、「女」イコールHIPHOPという解が文面に示されている。
また、サンプリングについては二種の意味が込められていると考える。
1つ目は以下の通りだ。

yes, yes, yes, ya'll and ya don't stop
to the beat ya'll and ya don't stop
one, two Com Sence'll be the sure shot, c'mon
(I used to love H.E.R./Common)

この曲は94年に発表されたCommonの曲だ。序盤から「彼女」への愛と馴初めを語っているのだが、ラストでこんなネタバラシがある。

But I'ma take her back hopin that the shit stop
Cause who I'm talkin bout y'all is hip-hop!!!
(I used to love H.E.R./Common)

俺はこんなに彼女を愛している。どんなにジャンキーになって数々の男に犯されても俺は彼女を愛し続ける。なぜかって?俺が今まで語っていた「彼女」はHIPHOPのことなんだぜ!

かなり端折って要約すると上のようになる。つまり、アウトロにI used to〜をサンプリングすることで、「阿婆擦れ」の対象のネタバラシをしているのだ。

また、2つ目の解釈については以下の通りだ。

U LUV HIPHOP?
だが HIPHOP DON'T LUV U
引っ叩かれて速攻FUCK U
(公開処刑 feat. BOY-KEN/キングギドラ)

一般層にもリーチしている超クラシック。ご存知ZeebraがDragon Ashをdisしたバースからのサンプリングだ。
R‐指定はZeebraを信奉している。俺のHIPHOPの始まりはジブさんなんだ、という「初めての夜」の提示、とも考えることができる。

そんな中、主語を二人称から一人称に変えている。
HIPHOPよ、俺をもっとメチャメチャにしてくれ、そんな覚悟と愛を感じる。

以上が「阿婆擦れ」の考察だ。
最後にリリックをまとめて表示しよう。

Creepy Nuts
阿婆擦れ

なぁ、俺はキープかアッシーか?
所詮はSucker MCか?メッシーか?
お前が俺としたいのは口喧嘩
ただのディベート相手でしか無いってか?
大した武勇伝も無い俺じゃ
洒落たお前と釣り合わないもんな
やっぱ何だかんだ言ってイカちぃのが良いのか?
胸板も財布も厚ぃのがいい?
オモロなさそうなアイツらより
聞けよ俺のべシャリ、話長い?ゴメン。
お前を知りたい一心で お前の過去をほじくり返したり
お前を近づきたい一心で 無理に慣れない英語で話したり
お前を振り向かせたい一心で柄にも無く悪ぶり出したり
血迷ったり道に迷ったり
出たり入ったり狂わされた男ばかり
綺麗で卑猥でドギツくて
知的で繊細でどこかトチ狂ってる
よそ見しながら「早く済ませてね〜」
それでも必死で腰を振り続ける

もっと俺から奪って
もっと俺を蝕んで
もっと俺を欲しがって
跡形も無いくらいに
もっと剥き出しになって
もっと馬乗りになって
阿婆擦れ擦れ
be my baby
初めての夜みたいに
初めての夜みたいに

浮気性で飽き性 荒い気性
若いツバメ捕まえ たまに試乗
やはり異常なリピドー 「またイキそう」
アノ子が欲しいと毎日 花いちもんめ
ポイポイ、捨てる次から次へ
オイオイ、骨の髄から髄まで
お前抜きじゃ無理な身体に
してから突き放すあっちゅう間に
fuck you, pay me 誰もが餌食
realかfakeかの線引き
それも時代次第 いや気分次第
なのに皆んな本物を演じきる
毎年抱かれる、男を変える
半年、一月と早くなってく
で、明日は誰?で、俺はいつ?
生まれも育ちも
肌の色も貴方のままでいいのよ
ってあの言葉
鵜呑みにしたまんま
ココまで来ちまった嗚呼…泥沼
散乱する屍の山
お前の足元には彼岸花
そのイケてる次の被害者達と
せいぜい幸せにやんな〜
阿婆擦れ

HOOK

移り気なお前の今、一番好きな服や髪型
一番好きな傾き方
飲み方トビ方キマリ方
お前の今、一番好きな踊り方、
お前の今、一番好きな歌い方、
お前の今、一番好きな生き様
全部でシカトでありのまま…

って無理かな?

HOOK

きっと時は移ろって
お前もボロボロになって
ほら、やさぐれぐれ
What your name?
お呼びかからぬみたいね…
ならばいっそ降り出しに戻って
髪を振り乱し踊って
Come on 阿婆擦れ擦れ
be my baby
初めての夜みたいに
初めての夜みたいに

yes, yes, y'all and you don't stop
to da beat y'all and you don't stop
I love hiphop だが hiphop don't love me
引っ叩かれてもっとfuck me

#音楽 #歌詞 #HIPHOP #CreepyNuts #阿婆擦れ #コンテンツ会議

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